1. トップ
  2. 恋愛
  3. 「自分勝手だなと思う」 ゲストに負担を強いる“デスティネーション・ウェディング”とは?

「自分勝手だなと思う」 ゲストに負担を強いる“デスティネーション・ウェディング”とは?

  • 2023.10.8
  • 4129 views

航空券に服装に宿泊費……フランスでも、近しい人の結婚式に出席するために月の予算が底をついてしまう招待客がいるようだ。その額は数千ユーロに上る場合も。

電話先で29歳のエマ*は少なからずいらだちを隠せない。若い彼女はもうすぐ友人の結婚式に出席する。問題は、式が3週末に渡って行われることだ。「さすがにやり過ぎよね……」と彼女はため息をつく。「私のパートナーは新郎の独身最後のパーティーのためにまずアイルランドに行かなければならないの。その後、ふたりでブルターニュ地方で行われる市民結婚式に出席し、次にクリスチャンの儀式はコルシカ島で挙げるんですって」

なかなかお金のかかる旅路だ。エマはコルシカ島行きの飛行機で200ユーロ、ホテルは500ユーロ支払っている。更にブルターニュに行くためのレンタカー代と200ユーロのホテル宿泊費。合計で1,000ユーロ(2023年10月7日のレート換算で15.8万円)以上だ。

平均予算が912ユーロ

エマのように親友の結婚式のために大金を支払わなければならない招待客は少なくない。フランス南西部地方で行われる式のために高額な電車や飛行機の運賃を払わなければならないパリジャンたち、新婦の“テーマ”に沿うよう求められている花嫁介添人、コートダジュールでお手頃な価格のホテルを見つけるのに苦労する学生たち……。

このテーマについての統計は少ないが、2022年6月にsavoo.frのサイトが500人のフランス人に行った研究によると、結婚式の招待客は1週末に行われる式の場合、平均的に912ユーロ(2023年10月7日のレート換算で14.5万円)費やしているそうだ。Opinion Wayの調査によると、更に新郎新婦へのプレゼントで平均的に134ユーロ(2023年10月7日のレート換算で2.1万円)使っているそうだ。

“デスティネーション・ウェディング”

招待客によっては、更に高額な支払いが待っている場合もある。30代前半のジュリアは4年後にタヒチで挙げられる友人の挙式のためにすでに貯金を始めている。せっかく行くならば2週間滞在しようと、4,000ユーロほど(60万円以上)の予算を立てている。

「楽しそうな旅だし、新郎新婦は貯蓄する猶予を与えてくれたから助かったわ」と彼女は冷静に受け取る。「でもそこまで近しい人のためでなかったら、タヒチまでは行ってなかったと思う」。もしこの予定がなければ資金は他の用途に充てていただろうと彼女は言う。自分が行きたい場所への旅行や、アパートメントを購入する積立金の一部などに。

親友が海外で式を挙げたい気持ちは理解しているが、最近の“デスティネーション・ウェディング”というお金のかかる海外挙式の流行には賛同できないと言う。「カンクーンで式を挙げるアメリカ人のイメージが頭に浮かぶけれど、自分勝手だなと思うわ」とジュリアは指摘する。

一度に複数の結婚式

33歳のカミーユは多くの式に招待されたが、このようなイベントは単なるわがままだと考える。「招待客にはプレッシャーだし、移動費やホテル代に掛かる費用は自分持ちでなかなかの高額だもの」

初めて参加した結婚式では1,000ユーロ使った。当時まだ学生だった彼女はスペインのバルセロナに住んでいた。「親友たちはブルターニュの島で式を挙げたので、移動費だけでも500ユーロかかったわ」と彼女は思い出す。「私は立会人だったので指定のドレス、帽子、アクセサリーや靴も買わなければならなかった」。そのため、前もって準備を始めた。「とにかく期間をずらして購入するようにしたわ」と彼女は思い出す。「ドレスはその前のバカンスの時に、航空券は数カ月前に、というようにね」

結婚式が続くこともあったので、用心が必要だった。「ある夏には友だちのグループとアヌシーでの式に招待されたわ。そして次の週末にはサン・マロで別の式があったの。別々のドレスが必要だったし、親戚もいない交通の不便な場所への移動もあったし、休暇も一週間取らざるを得なかったわ」

Facebookや古着を活用

幸いなことに、このような旅行のコストを下げるための方法はいくつかある。カミーユは人里離れた式場に相乗りして行けるよう招待客同士をつなげてくれるFacebookやWhatsAppグループがあることを教えてくれた。現地でキャンプできるケースもあるそうだ。エマとジュリアはそのままバカンスを兼ねて現地に残ることにした。savoo.frというサイトは節約のために専門店を避けて古着を購入することや、早めに計画し、予算を立てて分割払いにすることなどを提案している。

新郎新婦へのアドバイス

もうすぐ夫婦となるふたりが招待客の費用を抑える手段を講じることもできる。最初のステップは開催場所の選定。「スペインとポルトガルはフランスよりも幾分物価が安い国です」と3年前からウェディングプランナーとして活躍しているマリア*は教えてくれた。「新郎新婦にとっては、とりわけ食事の費用が抑えられるので、その分例えば招待客の移動費に充てたりするのはどうでしょう」

White Eventsというウェディング専門企業のイザベル・ノエルは「費用を減らすためにはできるだけ招待客をグループにまとめると、旅行会社やホテルの団体割引を利用できるようになります」。いずれにせよ、招待客はなぜこのカップルの結婚式に参加することを決めたのか、その理由に考え直してほしいとマリアは言う。近しい人と“特別な”時間を過ごす機会を逃さないでほしいそうだ。「素敵なパーティーや美味しいお食事が待っていますよ」とウェディングプランナーである彼女は言う。「ここに来たのは、まずは愛する人と一緒に過ごすためなのですから」

*名前は仮名。

元記事で読む
の記事をもっとみる