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伝統芸能のメタバース活用 地方の文化を仮想空間から

  • 2023.10.7
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Spatial上の「石見神楽館」の様子
Spatial上の「石見神楽館」の様子(J-CASTトレンド)

メタバースを活用し、伝統芸能について発信する試みが増えている。2023年10月6日には、島根県西部に伝わる伝統芸能「石見神楽」を題材にしたメタバース空間の体験会が開催される予定だ。

この「石見神楽館」を主催しているのは、建設コンサルティング業務会社「日本ミクニヤ」(神奈川県川崎市)のサテライトオフィス「あさひひまわり工房」(島根県浜田市)。同オフィスで空間制作を担当している齋藤めぐみさんに取材した。島根県の邑南町出身という。

「能楽」に「神楽」

石見神楽館は、3Dモデル化された神楽の演者(鬼など)やお面、大蛇(おろち・神楽で用いる巨大な蛇のオブジェ)といった神楽の要素をふんだんに取り入れて構成されている。笛や鼓によるお囃子(はやし)が流れ続ける賑やかな空間だ。浜田市内の写真も飾られている。

齋藤さんによると、制作にあたっては神楽や地元関連団体が協力。浜田市観光協会からは、市内の写真を、島根県立大学の学生による神楽団体「舞浜社中」からは、演目の動画の提供を受けている。加えて、3Dオブジェクトを作るにあたり、面や衣装に身を包んだ演者のモデルとして、撮影の協力も得ている。

幼少から親しんだ伝統芸能を

齋藤さんによれば、石見神楽館は1年以上前から公開。都度、コンテンツの追加や改良を重ねてきた。内容が充実してきたタイミングで、交流を目的とした体験会を開くに至った。

「石見神楽の魅力を伝え、コミュニケーションを楽しんでもらいたい。また、若い人(学生)たちが伝統芸能に取り組んでいる姿も発信して広めたいとの思いがあります」

空間の公開先は、メタバースプラットフォーム「Spatial」だ。米国発のサービスのため、国外ユーザーの訪問も視野に入れているとのことだ。

「神楽には幼少から親しんできた」という齋藤さん。現在も石見神楽のお囃子を聞くと気分が「ノリノリ」になるという。近ごろは仕事で3D制作に力を入れているが、この技術を生かせないと考え、石見神楽館の制作に至った。所属するあさひひまわり工房が浜田市の地域活性化活動に力を入れていることも刺激になった。

「人同士が(オンラインを通して)つながれるメタバースの魅力を伝えたい」との考えもあるという。

ただ、空間にアクセスできる人数は50人まで。人数を超過した場合や回線が混雑する場合は入館できない可能性があるため、注意が必要だ。体験会は6日21時~22時に実施するが、この時間帯以外でもオープンはしているため、石見神楽館へのアクセス自体はいつでも可能だ。

このほか、福岡県みやま市に伝わる「幸若舞」でもメタバースの取り組みをしている。「幸若舞」は、鼓の音に合わせ、扇を持って舞う伝統芸能だ。同市では1月、メタバース上で幸若舞の実演の様子をパブリックビューイングしたり、練習風景や衣装、道具の紹介を行なったりする実証実験を行なった。伝統芸能の宣伝や観光振興におけるメタバースの可能性を探るのが目的だ。

また能楽の伝統維持や発展のため活動している能楽協会は同じく1月、メタバース上で「『能楽×VR』体験展示会」を実施。仮想空間への公演動画、写真の展示や、能楽師による解説イベントを実施した。

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