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巨人ドラ1ルーキーの「西舘勇陽」と過去の大卒ドラ1投手とは決定的に違う2つの指標とは?

  • 2024.1.29
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写真:PIXTA

プロ野球は各チーム、西武ライオンズを除き、2/1(木)にキャンプインを迎えます。プロ野球開幕までの約2ヶ月間で、スタメン争い、ローテション争い、守護神争いなど熾烈なポジション争いでしのぎを削ります。

日本野球の最高峰である"プロ野球"のポジション争いは非常にハイレベルではありますが、もちろんルーキーの選手もその座を掴みにいきます。特に、巨人は昨年ドラフトで支配下指名された5選手(①西舘勇陽選手、②森田俊哉選手、③佐々木俊輔選手、④泉口友汰選手、⑤又木哲平選手)の全員がキャンプ1軍スタートとなり、注目を集めています。

そんな中、やはり注目度No.1は、ドラフト1位の西舘勇陽選手ではないでしょうか。

西舘勇陽とはどのような投手か?

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写真:PIXTA

高校時代は、花巻東に入学し1年夏からベンチ入り。2年時には140キロを超えるまでに成長を遂げ、3年夏の岩手県大会決勝戦では、佐々木朗希選手率いる大船渡高校と対戦し、佐々木選手は登板しませんでしたが、エースとして甲子園出場に導きました。ただ故障も多く、3度出場した甲子園でも目立った成績を残しておらず、当時は“未完の大器”でした。

高校卒業後は、中央大学に進学。スピードはありながら、なかなか安定しないというシーズンが続いていいましたが、3年春にようやく初勝利をあげると、その秋には5勝と大ブレイク。ベストナインも受賞しました。

4年秋のリーグ戦では、最初の登板で春の日本一である青山学院大を相手に7回を1失点、10奪三振で勝利すると、その後も安定したピッチングを披露。最終的に勝ち星こそ3勝にとどまったものの、防御率はリーグ2位となる1.11をマークし、先発投手であれば1.00を切れば超一流と言われる1イニングあたりの被安打と与四球で示すWHIPは、0.58という驚異的な数字をマークしました。

走者がいなくてもクイックで投げるスタイルで、速いモーションでも150キロを超えるボールを楽に投げることができるため、打者はタイミングをとるのが非常に難しい投手です。そして最終学年に大きくレベルアップしたのが変化球で、スライダーとカットボールでカウントを整え、鋭く落ちるスプリットも一級品です。

過去の大卒ドラ1と成績を比較してみた

巨人は直近の10年で、西舘投手を含む6人の大卒投手をドラフト1位で指名しています。
2015年の桜井俊貴選手(立命館大学)、2017年の鍬原拓也選手(中央大学)、2018年の高橋優貴選手(八戸学院大学)、2020年の平内龍太選手(亜細亜大学)、2021年の扇田大勢選手(関西国際大学)に続き、西舘勇陽選手が1位指名されました。

今回、チームの主力として登板する大学4年時のみの成績で、5人のドラ1投手と西舘選手を比較してみました。

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もちろん所属リーグの差もあるため、純粋な比較はできないものの、桜井俊貴選手が防御率、勝敗で好成績をあげ、1年目から守護神として活躍した大勢選手が脅威の奪三振率を記録しています。
しかし、西舘選手が過去の大卒ドラ1投手と比較して圧倒的な成績を収めているのが、「K/BB」と「BB/9」の2部門。

K/BBとは、「1打席あたりで四球に比べて奪三振が何パーセントポイント多いか」を表す指標であり、三振数が多く、かつ四球が少ない投手であることがわかります。
この指標を見ると、西舘選手は、他のドラ1投手と比較しても、非常に高い数字を叩き出しています。

今シーズン、セ・リーグの新人王とMVPを獲得した阪神の村上頌樹選手がセ・リーグ1位となる9.13と驚異的な数字を残し、最多勝を獲得したDeNAの東克樹選手が8.87で2位、最多奪三振を獲得したDeNA(今シーズンからカブス)の今永昇太選手が7.25で3位と、この指標がいかに重要かがわかります。
同じチームの、戸郷翔征選手は3.62、山﨑伊織選手は4.24を記録しています。

続いて、BB/9とは「9イニングの間(1試合27個のアウトを取る間)に、いくつの四球を与えてしまったか」を表し、コントロールの良さを示す指標の1つでもあります。
この指標でも、DeNA東選手が1位、阪神村上選手が2位、阪神伊藤将司選手が3位と、好投手には必須の指標となっています。

このように、大学時の成績とはいえ、西舘選手は、K/BBとBB/9で好成績を収め、1.00を切れば超優秀と言われている「1イニングあたりに何人の出塁を許したか」を表す"WHIP"でも0.86と、非常に良い投手であることがわかりますね。

ドラフト1位とはいえ簡単に好成績を収めることができないプロの世界。果たして西舘選手はどのような成績を残すのか。
今シーズンは非常に楽しみですね!


※本記事は、1/29執筆時のものです

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