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「歴代最強だと思う強肩キャッチャー」ランキング!3位「城島健司」、2位「古田敦也」を抑えた1位は?【プロ野球ファン100人に聞いた】

  • 2024.1.19
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写真:PIXTA

野球というスポーツにおいて、「扇の要」と称されるポジションがキャッチャーです。

バッターの狙いを読み取り、ピッチャーの配球をリードする頭脳――。160キロを超えるスピードボールや鋭い変化球を文字通り「体を張って」受け止めるフィジカル――。あらゆる要素が必要とされる特異なポジションであるキャッチャーですが、特に注目を集めるのが「肩(肩力)」です。ランナーが盗塁を試みた際に、セカンドもしくはサードへ矢のような送球を放ち、進塁を阻止する姿は、キャッチャーの“ハイライトシーン”と言っていいでしょう。

日本のプロ野球界にも過去、そして現在「強肩キャッチャー」と呼ばれる選手は多く存在してきました。そこで今回はプロ野球ファン100人に「歴代最強の強肩キャッチャーといえば?」というアンケートを実施。その結果をランキング形式で紹介します。

なお、「最強の強肩」の定義は二塁送球タイムや盗塁阻止率といった数字ではなく、あくまでも投票者の主観に委ねていますので、投票理由は多岐にわたります

果たして、野球ファンが選ぶ「ナンバーワン強肩キャッチャー」は誰か?さっそく、結果を見てみましょう。

【第3位】城島健司(17票)

プロ野球の福岡ソフトバンクホークス、阪神タイガース、メジャーリーグのシアトル・マリナーズでプレーした城島健司捕手が第3位にランクイン。

1994年ドラフト1位で福岡ダイエーホークス(現福岡ソフトバンクホークス)に入団すると、プロ3年目にはレギュラーに定着。日米通算292本塁打を放った豪快なバッティングも印象深いですが、その「強肩ぶり」も特筆モノでした。「強肩」の目安のひとつとなる「盗塁阻止率」では、2001~2004年まで4年連続でパ・リーグトップを記録。また、メジャー移籍2年目の2007年にも.465でア・リーグ最高をマーク。日米で盗塁阻止率リーグ1位を記録したキャッチャーは、過去を見渡しても城島捕手ただ一人です。

中でも特徴的だったのが、日本人離れした「地肩」の強さです。アメリカ人や中南米系の選手と比較して、どうしてもフィジカル面で劣る日本人は、キャッチングからスローイングまでのスムーズな動きや送球時のコントロールで「地肩」の部分をカバーする傾向がありますが、城島捕手はキャッチングしてから座ったまま二塁送球を行えるほどの「地肩」の強さを誇りました。本来持つ肩の強さに、日本流の技術を併せ持ったハイブリッド型キャッチャーだったからこそ、メジャーリーグでも盗塁阻止率1位を獲得することができたのではないでしょうか。

座ったまま盗塁を刺しているイメージが強く、肩だけなら歴代キャッチャーの中で一番だから。(32歳・男性)
座ったままとんでもない送球をして盗塁を刺す姿が今でも目に焼き付いています。メジャーでもレギュラー捕手として出場し盗塁阻止率ナンバー1を数年続けて記録していました。他にも強肩と言われるキャッチャーは何人もいますが、その中でもズバ抜けてナンバー1の強肩キャッチャーだと思います。(58歳・男性)
日本人としては珍しい大型捕手でプレーがダイナミックだったから。MLBで活躍した日本人捕手の代表格ともいえると思います。(55歳・女性)
座ったままでステップをせず、肩の力だけの驚異的なスローイングで盗塁を阻止していた印象があります。強肩という部分だけで歴代最強のキャッチャーは彼だと思います。(38歳・男性)

【第2位】古田敦也(25票)

第2位は東京ヤクルトスワローズ黄金時代を築いた稀代の名キャッチャー・古田敦也捕手です。

プロ通算2097安打、217本塁打、打率.294、首位打者1回、最多安打1回の卓越したバッティング技術。野村克也監督の薫陶を受け、セ・リーグのバッターたちを翻弄した頭脳的なリード。キャッチャーとして必要な技術、能力を高いレベルで兼ね備えた古田捕手ですが、その「強肩」ぶりも歴史に名を残すものでした。

盗塁阻止率1位は現役を通じて実に10回。1993年に記録した.644という驚異の阻止率は、今も日本記録として君臨しています。また、通算盗塁阻止率.462も歴代1位。古田捕手の場合、「地肩」そのものの強さはもちろん、キャッチングからスローイングまでの速さ、さらには送球コントロール全てを兼ね備えたタイプで、それが異次元の盗塁阻止率につながったと言えるかもしれません。

絶対的な安心感のあるキャッチャーだったし、盗塁阻止率の高さも群を抜いていたから。(32歳・女性)
盗塁選手をいとも容易く刺すあの送球は綺麗でとても魅力的に思います。古田選手を超えるキャッチャーはなかなか出てこないと思いますし、それだけ素晴らしい選手だったと思います(30歳・男性)
史上最高の捕手と言われています。遠投の距離は100m超えで、地肩の強さも有名です。いわば捕手の教科書的存在です。(68歳・男性)
頭脳プレーができてチームを統率する力もありますがそれでいて強肩というのは申し分がないです。(48歳・男性)

【第1位】甲斐拓也(27票)

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写真:CTK Photo/アフロ

2位の古田捕手にわずか2票差。僅差の末でしたが「強肩キャッチャーランキング」1位に輝いたのが現役で活躍する甲斐拓也捕手(ソフトバンク)です。

2010年育成ドラフト6位でソフトバンクに入団すると、育成選手から這い上がり、プロ3年目のオフに支配下入り。プロ7年目の2017年にようやく一軍に定着した苦労人でもあります。

そんな「甲斐拓也」の名が一躍全国に轟いたのが2018年のこと。この年、盗塁阻止率.447でリーグトップをマークした甲斐捕手は、広島東洋カープと対戦した日本シリーズで広島が6度試みた盗塁をすべて阻止するという離れ業を見せます。ちなみに、6連続盗塁阻止は日本シリーズ新記録。甲斐捕手はこのシリーズ、6試合でわずか2安打、打率.143ながらシリーズMVPに選出。まさに「肩」でつかんだMVPと言えるでしょう。

あまりの強肩ぶりは「甲斐キャノン」と呼ばれ、他球団からも恐れられました。以降、「○○キャノン」という呼称は強肩キャッチャーの代名詞となっています。

盗塁阻止率などの「数字」だけを比較すると、2位の古田捕手のほうが上かもしれませんが、現在のプロ野球界は盗塁企画数がそもそも減少し、盗塁阻止率の平均も低くなってきています。また、前述した「肩の強さで日本シリーズMVP」「シリーズ6連続盗塁阻止」といったインパクトの強さも、票を集めた要因かもしれません。

そして最後に、驚きの事実をひとつ。実は甲斐捕手、本当に「肩が強かった」のは一軍レギュラー定着後ではなく、まだ三軍でプレーしていた新人時代だったそうです。

野球ライターの花田雪氏によると、以前、同期入団で三軍時代からバッテリー組んでいた千賀滉大投手(現ニューヨーク・メッツ)から取材時にこんな話を聞いたことがあるのだとか。

三軍にいたころは、今よりも(肩の強さは)エグかったですセカンドに投げるときは腰の高さくらいからボールがまったく落ちないイメージ。一度、肩を痛めたことがあって、それを機にちょっと(肩は)弱くなったかな、と思います」(千賀投手)

日本中が「甲斐キャノン」のすさまじさに驚愕したにもかかわらず、実はそれは「ちょっと肩が弱くなった」時期だったという衝撃の事実。いったい、三軍時代はどれほどの強肩だったのか……いまでは確かめるすべはありませんが、プロ野球史に残る「強肩」を誇る甲斐捕手のランキング1位も、納得できるのではないでしょうか。

甲斐キャノンという言葉もうまれるくらいの強肩で、私は他のチームのファンだが、甲斐捕手から盗塁なんて出来ないだろ…と諦めたくなるくらいの選手だと感じる。(32歳・女性)
甲斐キャノンのあだ名がぴったりなくらい強肩であり、盗塁を刺すのが今まで見て来た中で1番うまいから。(33歳・女性)
盗塁阻止率の高さがすべてを語っているが、一塁牽制時のモーションの速さとスローの正確さも歴代随一だと思います。(60歳・男性)
強肩のキャッチャーは沢山いると思うのですが、”甲斐キャノン”という異名を名付けられたのは彼ぐらいだと思うので。自分の贔屓球団の選手も、甲斐キャノンに何度も刺されています(苦笑)。(44歳・女性)
盗塁した選手を余裕で指したプレーに、さすが甲斐キャノンとの異名通りだなとうなりました。(53歳・女性)

4位以下の選手とコメント

阿部慎之助(7票)

スローイングの安定度も非常に高く、巨人でも素晴らしい盗塁阻止率を誇っていましたし、またバッターとしても強打者として素晴らしかったので、「最強の強肩なキャッチャー」なのではないかと思います。(22歳・男性)

谷繁元信(5票)

中日ファンとしては谷繁さんを挙げないわけにはいきません。コントロールも抜群で盗塁阻止する姿はまさに強肩キャッチャーです(44歳・男性)

小林誠司(5票)

守備に関しては日本一のキャッチャーだと思う。盗塁阻止率も高くスローイングが安定していて肩も強いイメージが強烈にあります。(29歳・女性)

中嶋聡(3票)

盗塁阻止率なら古田敦也だと思うが、強肩なら中島聡だと思います。テレビ画面越しからもわかるボールがホップするような送球をしていました。(50歳・男性)

結果はこちら

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ランキングは「甲斐キャノン」の甲斐捕手と、歴代最高峰のキャッチャー・古田捕手の二人で総得票数の過半数を集める結果に。また、4位以降には阿部慎之助捕手(元巨人)、谷繁元信捕手(元中日ほか)、中嶋聡捕手(元オリックスほか)など、一軍監督経験者が名を連ねました。

現役では1位の甲斐捕手意外に5位タイ(5票)で巨人の小林誠司捕手がランクイン。現在もプロ野球界には「強肩」をウリにする若手キャッチャーは多く、彼らが一軍で活躍するようになれば、このランキングにも変化が生まれるかもしれません。ピッチャーが投げる剛速球や鋭い変化球、スラッガーが見せる特大のホームランはもちろん“野球の華”ですが、キャッチャーの「腕の見せ所」である肩の強さに注目すると、野球観戦はより一層、面白くなるはずです。


調査方法:インターネットサービスによる任意回答(記述式)
調査実施日:2023年12月22日
調査対象:全国の20代~60代
有効回答数:100

※記載している回答は原文ママ

※2024年1月18日時点での情報です。記事内の画像はイメージです。

※現在現役・引退をした選手に関わらず敬称は「捕手」で統一しています。

※サムネイル写真出典:PIXTA