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もしも「坂本勇人」がメジャー挑戦していたら…年俸はいくらになる?「日本人内野手の価値」を覆すことができたのか

  • 2024.1.2
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写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

大谷翔平選手の10年総額7億ドル(約1000億円)、山本由伸投手の12年総額3億2500万ドル(約455億円)など、日本人メジャーリーガーの高額契約が話題となっています。

この2人以外にも、近年メジャー移籍した日本人選手の多くが高額な契約で海を渡っていますが、日本のプロ野球界には「メジャーでも通用するのでは?」と言われながらチームに残留し、日本球界に骨を埋める決断をした選手も多くいます。

でも、もしも――。そんな日本球界の一流選手が海を渡る決断を下していたら、いったいどんな未来が待っていたのか。ここでは、そんな「妄想」を交えて現役一流選手の「もしも……」を書いてみたいと思います。

もしも坂本勇人選手がメジャーに挑戦していたら…

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写真:AP/アフロ

読売ジャイアンツの所属する坂本勇人選手は、2015年に国内FA権、2016年に海外FA権を取得しましたが、現在まで権利を行使することなく巨人一筋を貫いている超一流選手のひとりです。

2007年にドラフト1巡目で巨人に入団すると、プロ2年目に原辰徳監督の大抜擢を受けてショートのレギュラーに定着。3年目にはシーズン打率3割、4年目にはシーズン30本塁打をマークするなど、早い段階で一流選手の仲間入りを果たしました。

2016年にはショートの選手としてはセ・リーグ初の首位打者を獲得し、2019年には40本塁打を記録(ショートとしてはNPB史上2人目)。2020年には31歳10カ月で通算2000本安打を達成(史上二番目の年少記録。右打者としては最年少)。

2023年終了時点で、通算2321安打を積み重ね、将来的にはNPBで張本勲選手しか達成していない通算3000本安打を期待する声もあるほどです。

そんな坂本選手が、“もし”メジャー移籍を果たしていたら……タイミング的にはFA権を取得した2015~2016年あたりがベストだったはずです。当時の坂本選手は27~28歳と油も乗り切っており、2016年には前述のとおり首位打者も獲得。それでも、所属する巨人への愛着は強くメジャー移籍に関しては“噂”すらほとんど聞かれていませんでした。

日本人内野手がメジャーで活躍する難易度の高さとメジャーの評価

その背景には、日本人内野手の評価の低さもあったかもしれません。2023年は大谷選手がアジア人初の本塁打王に輝き、吉田正尚選手、鈴木誠也選手がチームのレギュラーとして活躍していますが、彼らはみな外野手か指名打者。日本人野手の成功例はイチロー選手、松井秀喜選手といった外野手がほとんどで、日本人“内野手”のメジャーでの評価は「底値」に近い状況でした。

実際、2014年オフには坂本選手と同じショートで球界を代表する選手だった阪神タイガースの鳥谷敬選手が海外FA権を行使してメジャー移籍を目指しましたが、条件面で折り合わずに残留したというケースもありました。

また、坂本選手自身も戦績がなかなか安定していない時期で、首位打者を獲得する前年までは3年連続で打率が3割以下。日本球界で圧倒的な数字を残しているとは言えない状況でした。

とはいえ、現在であればたとえば首位打者を獲得した年にFA市場に参戦していれば、メジャー球団も手を挙げる可能性は高いのではないでしょうか。

もちろん、内野手という点はネックにはなるはずです。それでも2023年に移籍した吉田選手は5年総額9000万ドル(当時レートで約122億円)、2022年に移籍した鈴木誠也選手は5年総額8500万ドル(当時レートで約101億円)と、メジャーの世界では年俸高騰が顕著。坂本選手の実績があれば、現在であれば5年総額5000万ドル(約70億円)以上の契約提示があっても不思議ではありません。

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写真:PIXTA

もちろん、“生涯巨人”を貫く坂本選手の姿勢は多くのファンに支持されています。メジャーではなく日本球界でプレーを続ける選択も、称賛されるべきです。

ただ、“もしも”時代が違い、タイミングが合っていれば、坂本選手がメジャーでプレーしていた可能性もあったはずです。

投手や外野手と比較して、内野手の成功例が極端に少ない日本人メジャーリーガー。坂本選手であれば、“もしかしたら”その評価を覆すことができたかもしれません。


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1983年、神奈川県生まれ。編集プロダクション勤務を経て、2015年に独立。ライター、編集者として年間50人以上のアスリート・著名人にインタビューを行い、野球を中心に大相撲、サッカー、バスケットボール、ラグビーなど、さまざまなジャンルのスポーツ媒体で編集・執筆。著書に『あのプロ野球選手の少年時代』(宝島社)『オリックス・バファローズはいかに強くなったのか』(日本文芸社)がある。

※現在のレートは1ドル=145円で換算。
※本記事は、2023年12月27日執筆時のものです

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