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『大奥』「私のそばに…おればよかったやないの」家茂(志田彩良)の最期を聞いた和宮(岸井ゆきの)が愛おしすぎる…

  • 2023.12.8
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NHKドラマ10「大奥」Season2、20話。体調が悪いにも関わらず、たびたび慶喜に上洛させられる家茂(志田彩良)。和宮(岸井ゆきの)は「行かんといて」と珍しく駄々をこねるが、家茂は「土産を買ってきますから」と行ってしまった。「宮様、行ってまいります」でテーマソングが流れ、もう悲しい予感しかしない。

「宮様に会いたい。大奥に帰りたい」つらすぎる家茂(志田彩良)の最期

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いっそ自分が懐妊したら、家茂が帰って来ざるを得ないのではと考える和宮。家茂が心配でたまらず、何とかしたくて必死なのだ。思いとどまらせようとする瀧山(古川雄大)たちだが、ついに家茂に月のものが1年来ていないということを明かした。だがついに家茂は、大阪城で倒れてしまう。そして、そのままこの世を去った。

「瀧山…生きるとは、別れるだけのことなのか。大切な方たちを、こうもお守りできず」

天璋院(福士蒼汰)は瀧山に問いかける。本当に天璋院も瀧山も、大切な人たちを見送ってばかりだ。視聴者であるこちらも、みんな幸せになってほしかったのに、本当に悲しい。

家茂の死を知り、感情がなくなったようになってしまった和宮が痛々しい。「上さんは、ほんまに死なはったん?」「苦しまんと、逝かはったん?」と、穏やかに聞く。家茂について行っていた能登(中村アン)は、家茂に「宮様にだけは、私は心静かに旅立ったと伝えて」と頼まれていて、一度はそう話すのだが、彼女の本当の最期を思い出し、嘘がつけなくなる。

家茂は、最期まで苦しみ、息も絶え絶えで、胸を掻きむしり、死にたくないと言っていたと。

「悔しい」「これからなすべきことが山ほどあるのに」「死にたくない、こんなとこで」「だって、私、宮様と約束したんだもの。宮様に、お土産買って帰るって。二人で髢(かもじ)をつけて、京と江戸のとりかえばやをするの」

「会いたい。宮様に会いたい。大奥に帰りたい」「親子(ちかこ)さまに、会いたい」

少女のように顔を覆って泣く姿に、こちらも涙を堪えられなくなる。こんなに愛らしくて若いのに、この人はあまりにも多くのものを背負い過ぎてしまったのだなと思った。

和宮(岸井ゆきの)の演技に泣いた

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和宮は、家茂が彼女のために買ってきた打掛けを羽織る。

「これでええ? ま、かもじはないけど」ともういない家茂に話しかける様子に、土御門(山村紅葉)も涙を堪えられない。和宮は普段のように話すが、どんどん涙声になっていく。

「前から言おう言おう思っててんけど、徳川とか、この国とか、そんなんどうでもようない?そんなんは争うことが大好きな腐れ男どもにやらして、私ら綺麗なもの着て、お茶飲んで、カステラ食べてたらそれでようない?上さんはほんま、おせっかいいうか、いつもいつも人のことばっかりで、とうとう命まで差し出してしもて。あほやろ」「上さん、あほやろって」

ずっといつものように笑いながら言おうとしつつ涙を流すが、最後は泣き崩れる。

「そやから言うたやない。行くなって。おればよかったやないの。私のそばに、おればよかったやないの」

岸井ゆきのの演技がすごかった。片目だけ涙を流してからの、長台詞を言いながらの務めて軽い感じで話そうとするも涙が堪えられない姿、そして最後の最後に慟哭する姿。悲しみや叶わなかった願い、やるせない気持ちが伝わってきて。こちらも号泣してしまった。

和宮はもう、母親の愛を欲しがっているだけの人ではなくなり、自分を愛してくれる家茂とせっかく出会えたのに、なぜまたこんな悲しい結末なのか。毎回毎回つらすぎる。それでも、毎話毎話たまらなく愛おしい。

次回はついに最終回。何か、光が見えることを祈っている。

 

※記事内の情報は執筆時点の情報です



ライター:ぐみ
熱量高めなエンタメライター・編集者。ドラマ・映画・アイドル・アニメなどのコラムやレビュー・インタビューや書籍の執筆・編集も手がける。コンテンツ編集(人気少女漫画や芸能人の公式コンテンツ制作のほか、広告制作、メディアの編集・立ち上げなど)を経て現在フリー。音楽とアイドルと物語とかき氷が好き。X(旧Twitter):@gumililium