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『ブギウギ』スズ子(趣里)の「ちょっと待った!」周囲の反対押し切り10歳差の恋に乗り出す

  • 2023.12.15
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(C)NHK

スズ子(趣里)と愛助(水上恒司)の「10歳差(厳密には9歳差)の恋模様」が描かれる連続テレビ小説『ブギウギ』第11週「ワテより十も下や」。演芸会社『村山興業』のお坊ちゃんである愛助とは、年齢と身分、二つの見えない壁がそびえ立っていることになる。

スズ子の恋を邪魔する「二人」の刺客

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愛助の自宅へレコードを聴きに訪れたスズ子と小夜(富田望生)。これを機に、スズ子と愛助は定期的に会うようになり、仲を深めていく。しかし、時代は戦中。愛助が演芸会社『村山興業』の後継ぎであること、くわえて二人の歳の差もあり、なかなか円滑に進む恋ではなさそうだ。

スズ子の恋を邪魔する意外な刺客として、村山興業の東京支社長・坂口(黒田有)も登場する。文系学生であることや、身体が弱いことを考慮され徴兵を逃れているとみられる愛助に対し、坂口は「色恋にうつつを抜かしている場合じゃない」と厳しい姿勢を崩さない。

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相手は手練の歌手、騙されているに違いないとまでこき下ろす坂口に対し、こっそり聞いていたスズ子はまたもや突撃。「ちょっと待った!」と勢いをつけて乗り出すスズ子を見ていると、少女歌劇団時代となんら変わらない、と少し懐かしくもなる。

坂口に限らず、本来はスズ子の味方になるべき立場の小夜もまた、この恋には大反対のよう。そもそも彼女は愛助に対し「銭泥棒」という第一印象があるため、それが勝手な勘違いだと発覚した後もなかなか好意的にはなれないのだろう。小夜もまたスズ子の大ファンがゆえに、「愛助にスズ子をとられてしまうかも!」という恐怖と嫉妬に駆られているのが見てとれる。

第12週「あなたのスズ子」久々に羽鳥先生も

12月18日から放送される第12週「あなたのスズ子」では、周囲から反対されればされるほど燃え上がるような、スズ子と愛助の恋が描かれる。

時代、立場、歳の差など、二人を阻む要素は消えない。しかし、スズ子の歌と踊りは国を包む空気を明るくしてくれたのではないだろうか。塞ぎ込みがちな時代だからこそ、スズ子自身も幸せになってほしい。あたたかい愛に恵まれてほしいと思ってしまう。

しかし史実を見てしまうと、愛助の今後のことが思いやられる。母・ツヤ(水川あさみ)を亡くし、弟・六郎(黒崎煌代)は戦死、父・梅吉(柳葉敏郎)も香川に行ってしまった。家族との距離が離れ、楽団も大盛況とはいえないスズ子に、これ以上の悲劇は訪れないでほしい。

幸せそうなスズ子と愛助を見るたびに、今後のことを考えて気が塞ぎそうになってしまう。しかし第12週では久々に、スズ子の師匠・羽鳥(草彅剛)が登場する。どんなに暗い時代でも、羽鳥の飄々と町を渡り歩く軽快な佇まい、そしてスズ子の歌と踊りがパッと周囲を明るくしてくれるはず。また、二人のステージが見たい。



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_