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『ブギウギ』「何かの拍子にフラッと帰ってくるのではないか」『大空の弟』にみるスズ子(趣里)の強さ

  • 2023.12.8

スズ子(趣里)と茨田りつ子(菊地凛子)の合同コンサートは大盛況。羽鳥(草彅剛)による新曲『大空の弟』をスズ子が歌い上げ、最後はお馴染みの『ブギウギ』で観客を沸かせた。第10週「大空の弟」は、スズ子たちにとっても、そして視聴者にとっても六郎(黒崎煌代)との別れを決定づけるものだった。

六郎の姿を見たスズ子

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(C)NHK

羽鳥の新曲『大空の弟』を歌いながら、スズ子は六郎の姿を見た。彼は遠い地で戦死しているはずで、観客席でスズ子の歌を聴いているわけはない。それでも、姉の歌を聴くためにやってきたのだと、確かに思えるシーンだった。

記憶のなかの六郎は、いつだって笑顔だ。嬉々として亀の面倒をみて、戦地から送って寄越す手紙にも亀の心配ばかり。そんな六郎が、いったいどういった状況で、どんな思いで亡くなっていったのかは、ついに知らされない。

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(C)NHK

スズ子たちはもちろん、視聴者も含め、もしかしたら六郎は生きているのでは? と微かな期待を抱いていたはず。お骨が送られてくる描写もなく、彼の戦死を仄めかすのは一通の手紙だけ。梅吉(柳葉敏郎)のように、最初から「ウソだ」と決めつけることはなくとも、何かの拍子にフラッと帰ってくるのではないか…そんなふうに思っていた視聴者も多いはず。

しかし、スズ子が高らかに『大空の弟』を歌うのを聴きながら、スズ子自身も、梅吉も、そして視聴者も受け入れることになる。ほんとうに六郎は亡くなってしまったのだ。これからは、大空でスズ子の歌を聴くことになるのだと。

スズ子の恋の相手は10歳下?

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(C)NHK

母・ツヤ(水川あさみ)、そして弟・六郎の死を受け入れたこと。合わせて、父・梅吉が香川に行ってしまったことで、スズ子は心身ともに「一人」になってしまう。楽団を抱えたことで、具体的に食べていく算段もつけなければいけない。

そんな彼女に、なんとラブの気配だ。半ば忘れかけていたが『ブギウギ』は連続テレビ小説である。ということは、心ときめく恋愛要素も含まれなければいけない。

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(C)NHK

12月11日から放送される第11週「ワテより十も下や」では、スズ子の大ファンを名乗る学生が登場。水上恒司演じる彼と、10歳上のスズ子との恋愛模様がみられる週となりそうだ。

母と弟の死、時勢による締め付けで行き先が怪しい楽団など、考えることが山積みだった。そんなスズ子にとっても、視聴者にとっても、ホッと安心できる回が見られそうである。

 

※記事内の情報は執筆時点の情報です



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_