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NHK『ブギウギ』新キャラ小夜(富田望生)が調子に乗ってしまったワケ&カカシのスズ子(趣里)の転機とは?

  • 2023.11.30

田舎からやってきた奉公娘・小夜(富田望生)が新キャラクターとして登場した『ブギウギ』第9週「カカシみたいなワテ」。このタイミングでの新キャラ登場が示唆するものとは。

小夜はなぜ調子に乗ってしまったのか?

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(C)NHK

「歌手になるのが夢だった」と強い調子で梅丸に乗り込んできた小夜は、スズ子へ「弟子にしてほしい」と志願する。まるで梅丸少女歌劇団の先輩・後輩を思い出させる構図だが、スズ子に弟子をとるつもりはない。

しかし元来、世話好きな気質のスズ子は、行くところがない小夜を無下に放ってもおけず、一時的に下宿に置くことを決める。

しかし、小夜は少しだけ困った性格をしていた。言うことがコロコロ変わる。「食費に」と渡したお金も、梅吉(柳葉敏郎)と一緒にお酒を買うのに使ってしまう。11月29日に放送された43回では、ついにスズ子に叱られ、小夜は下宿を追い出されてしまった。

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(C)NHK

小夜はなぜ、梅吉とともに“調子に乗ってしまった”のか?

小夜は12歳から奉公に出されていた。小夜が言うように「捨てられた」のかは定かではない。しかし梅吉のふんどしを洗い、畳みながらしみじみと「今も一緒に暮らせていたら、こうやってお父ちゃんの下着を……」と言う小夜の姿は、なんとも哀愁を誘う。

きっと小夜は、こうやって生きてきたのだ。歌手になるのが夢だという話も、彼女にとってウソではない。しかし、奉公先で少しでも健やかに生きるためには、その場に順応し可愛がられることが先決。それが小夜にとって、命を守ることだったのだ。

言うことがコロコロ変わったのも、梅吉に取り入ったように見えたのも、それが小夜の生きる術だったのだから仕方がない。

スズ子の転機となるものは

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(C)NHK

ツヤ(水川あさみ)が亡くなり、六郎(黒崎煌代)は徴兵され、梅吉は毎晩飲み歩き、梅丸は解散寸前。スズ子にとって、これ以上に「踏んだり蹴ったり」な状況はないだろう。

戦争の影響、時代の波に飲まれ、梅丸は解散してしまう。大阪に戻ることを提案されるスズ子は、師匠でありジャズ作曲家でもある羽鳥(草彅剛)に相談をするようだが…。

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(C)NHK

お先真っ暗状態のスズ子の転機となるものは、彼女にとってのルーツでもある大阪か、二人三脚で走り始めている羽鳥の存在か、それともその両方か。こんなときこそ音楽だろう、と思うが、彼女の信じる歌や踊りでさえ、すべての大衆が望んでいるわけではない。それがとても腹立たしく、同時に侘しい。

 

※記事内の情報は執筆時点の情報です



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_