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『大奥』「そなたが好きなのだ」家定(愛希れいか)から胤篤(福士蒼汰)への告白が愛おしすぎる

  • 2023.11.23
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NHKドラマ10「大奥」Season2、幕末編の18話。正弘(瀧川公美)の死後、伏せっていた家定(愛希れいか)だが、懐妊していることが判明。食欲がない中、胤篤(福士蒼汰)が甘いものを提案すると、家定は自ら腕前を披露しようと御膳所に赴きカステラを作る。

家定(愛希れいか)がツンデレすぎてかわいい

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(C)NHK

手際の良さに感心する胤篤の反応に、正弘を思い出す家定がちょっと切ない。実は家定の目的はカステラ作りではなく、好物を揃えてくれているのに食が進まず残してしまっていることを、調理する者に侘びたかったからなのだ。胤篤はそれを見抜くが、家定は腕前を見せたかっただけだと言う。カステラを食べた胤篤の「格別」という言葉に「格別かえ」と喜び、自分の分も全部食べろと言う家定、ツンデレすぎてかわいい。

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(C)NHK

流水紋の裃を身につけた胤篤。家定は、戸惑ったような怒ったような反応をし、公務があると言って部屋に帰ってしまう。妊娠中に流れるなどという模様を身につけたのが失礼だったのでは、と謝る胤篤だが、絶対に着替えてはならぬと言う。どう見ても胤篤の姿が素敵で照れているのだが、そんな姿がいじらしい。

「好きだ」家定から胤篤への告白シーンが愛おしい

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(C)NHK

同じ日の夜、蛍舞う縁側で、胤篤に少し離れて背中を向けて立ってくれと頼む家定。胤篤が振り返ると、家定が思い詰めたような表情を浮かべなて見つめていた。目にたまった涙がきらきらし、間をおいてこう言った。

「好きだ。私は、そなたが好きなのだ」

上擦った声で、笑顔を浮かべながら伝える。想いを伝えるシーンに、このようなバリエーションがあったのか。画面からこちらにも熱が伝わってきそうで、この感じは実写ならではの魅力だと思う。

「何を今更じゃな。しかし、実のところ私にはしかとはわからぬことであったのだ。何をもってこの男を好きか嫌いかと人は言うのか」

胤篤はこう返した。

「私もにございます。私も、しかとはわかっておらなかったような気がいたします。誠に女人を恋慕うとはどういうことなのか。何を今更でございますな」

涙ぐんだ二人は照れくさそうに笑い合い、肩を寄せ合う二人がこの上なく愛おしい。二人の様子を見ていた瀧山(見てたのか…)も微笑んでいた。

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(C)NHK

確かに、すでに家定のお腹には子供までいるのだから、何を今更かもしれない。だが、政略結婚が常であった当時のこと、愛などなくとも夫婦関係であったり子をもうけたりすることは多かっただろう。むしろこのタイミングで伝え合ったところに純愛だなと感じた。父親に性的虐待を受け、男性不信になってもおかしくなかった家定が、こんなふうに心から男性を好きだと思えたなんて奇跡に近い。

あまりにも突然な家定の死

だが、幸せは長くは続かなかった。胤篤は忙しく、家定はお変わりないと伝えられるだけで一向に会えない。瀧山も心配な様子だ。だが、実はひと月以上前に家定は腹の子とともに亡くなっていたのだった。大奥にだけ、その事実が伝えられていなかったのだ。

後日、瀧山が形見として持ってきたのは、胤篤が同じ時を刻みたく、と渡した懐中時計だった。二人は子供が生まれたらやることがたくさんあると話し合っていた。身分や性別の隔てなく、優秀な人には役目を与えることで強い国を作りたいと願う家定。「御台も表に出るのじゃぞ」「奥でも、表でも同じ時を刻むのじゃ」と、胤篤の活躍への期待もふくらませる。

「幸せじゃ。今この時がこの上もなく」

いつもどこか張り詰めたところがあった家定の、想いを告げた後の柔らかい表情が忘れられない。

物語は新たな展開へ

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(C)NHK

胤篤は、家定に井伊直弼(津田健次郎)が毒を盛ったのではないかと疑い呼び出す。だが、井伊はこう反論するのだ。

「例え目の上のこぶでも主は主。主君を害することなど断じてございませぬ」

いろいろと強引で、嫌なところも多い井伊だが、彼には彼なりの誇りがあるのかもしれない。このシーンの迫力と声の良さに、津田がキャスティングされた理由が分かった気がした。

福子(とみこ)姫が将軍家茂となることに。やや自暴自棄になっていた胤篤だったが、家定の志を継ごうとしてくれている様子に家定が彼女に一目置いていたことを思い出し、涙するのだった。胤篤は天璋院となり、大奥に残ると決めた。

家定の人生があまりに短かったこと、もちろん悲しいし悔しい。これからだったではないか、と思う。二人のこの先が見たかった。でも、正弘と出会うまで不幸続きだった家定に心から「幸せじゃ」と言える瞬間があったことは紛れもない真実だ。愛希れいかさんの美しくて聡明で、たまにツンデレな家定に出会えてよかった。

 

※記事内の情報は執筆時点の情報です



ライター:ぐみ
熱量高めなエンタメライター・編集者。ドラマ・映画・アイドル・アニメなどのコラムやレビュー・インタビューや書籍の執筆・編集も手がける。コンテンツ編集(人気少女漫画や芸能人の公式コンテンツ制作のほか、広告制作、メディアの編集・立ち上げなど)を経て現在フリー。音楽とアイドルと物語とかき氷が好き。X(旧Twitter):@gumililium