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『大奥』「上様、どうかこれよりは」正弘(瀧内公美)の家定(愛希れいか)への“最後の願い”に涙が止まらない…

  • 2023.11.17
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(C)NHK

NHKドラマ10「大奥」Season2。幕末編の17話では、家定(愛希れいか)が薩摩からやってきた胤篤(たねあつ・福士蒼汰)を正室に迎える。家定も大奥総取締役の瀧山(古川雄大)も、薩摩からの刺客にほだされまいと意気込むが、むくつけき(無骨な)男かと思えば美形で、物腰もやわらかな胤篤に調子が狂う。

仲を深める家定(愛希れいか)と胤篤(福士蒼汰)

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思慮深く、人を思いやる心もあり、さらに必要なときは自分の意見も述べる胤篤。家定は徐々に心を開き、信頼を寄せるようになっていった。実際胤篤が輿入れしたのは、水戸の慶喜(大東俊介)を次期将軍にするためという目的もあったのだが、家定に「慶喜には他人を思う心がない。慶喜を将軍にしては国が滅ぶ」と聞いてあっさり納得してしまうのだ。むしろ家定の聡明さに感銘を受け、水戸を介さず直接手を組む方向に考えを変えた。家定に、自分をうまく使って欲しいというのだ。

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胤篤と話した正弘(瀧内公美)までもが「お似合いの二人かと」と言い出し瀧山は気が気でない。胤篤は家定を散歩に誘い、外へと連れ出す。ずっと母や父に毒を盛られ、身体が弱く室内で過ごしてきた家定は、外のまぶしさや身体を動かすと温かくなることを初めて知る。散歩を重ねた家定はごはんをおかわりするようになり、見違えるほど元気になっていった。これまでの家定のことを思うと、なんだか涙が出そうだ。

病に侵された正弘(瀧内公美)。瀧山(古川雄大)が取った行動とは…?

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一方で、正弘は病に侵されていた。家定が作ったカステラを持参して見舞いに来た瀧山に、思い出話をする。瀧山は「まだあなたと思い出話などしたくはござりませぬ」と遮ろうとするが、「私だって悔しいのだ」と微笑みながら言い、涙を流す。

後日瀧山は正弘を抱き上げて外に連れて行き、家定の元へ連れて行く。青空の下で馬を走らせ、笑顔で胤篤と微笑みあう家定。瀧山は「すべてはあの日、伊勢守様が上様をお救いになられたからです。あの素晴らしい上様は、伊勢守様がお作りになられたのです」と声をかける。家定も「今度は私がそなたの身代わりを務める。だからじっくりと治し、戻ってこい」と言う。瀧山も家定も正弘に救われたことをあらためて振り返り、彼らの絆を強く感じる。

正弘の「最後の願い」に涙が止まらない

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だが正弘は家定の手を握り「上様の過去も、病も、私がすべてあの世に。私にお運びさせてくださいませ」と言う。なんとか良くなってほしいと観ているこちらも思うが、本人には自分の運命がわかっていたのだろう。「実のところ、病になってからこちら、私は恨んでばかりおりました(中略)何のために生まれてきたのか。けれど、やっとわかりました。いいえ、思い出しました」と正弘は続ける。

「私はそもそも、上様を生かすためのものにございました。ありがとうございました、上様。私と巡り合ってくださって。思い切り、空を飛ばせてくださって。上様、どうかこれよりは、誰よりもお幸せになってくださいませ。阿部正弘、最後の願いにございます」

青沼編以上に泣くことはないと思っていたのに、一連の場面でずっと涙が止まらなかった。NHK広報局の公式noteでの愛希のインタビューによると、リハーサルからずっと瀧内は泣いており、それを受けて古川も泣き、愛希も涙をこらえられなくなったという。俳優3人がそんな思いになるこの物語も、こんなにも伝わってくる演技を見せてくれた俳優陣もすごい。

正弘の志半ばの死は悲しいが、こんなにも心を通わせる相手と巡り会えたことはうらやましい。そういう意味では、幸せな人生だったとも言える。家定には本当に幸せになってほしい。

 

※記事内の情報は執筆時点の情報です



ライター:ぐみ
熱量高めなエンタメライター・編集者。ドラマ・映画・アイドル・アニメなどのコラムやレビュー・インタビューや書籍の執筆・編集も手がける。コンテンツ編集(人気少女漫画や芸能人の公式コンテンツ制作のほか、広告制作、メディアの編集・立ち上げなど)を経て現在フリー。音楽とアイドルと物語とかき氷が好き。X(旧Twitter):@gumililium