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【巨人】ドラ1”西舘”を人気ライターが解説!桜井、鍬原、高橋などドラ1投手との大学成績を比較してみた

  • 2023.10.30
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写真:PIXTA

「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」で、西舘勇陽(にしだて ゆうひ)選手が巨人に1位指名されました。
日本ハムも西舘選手に入札し、2球団の競合となりましたが、後からクジを引いた阿部監督が引き当て、巨人が交渉権を獲得しました。

西舘勇陽とはどのような選手なのか、人気野球ライターの西尾典文さんが解説。また、TRILLでは独自で、近年大学生投手のドラフト1位で指名された、桜井俊貴、鍬原拓也、高橋優貴、平内龍太、翁田大勢の大学時代の成績を比較してみましました。

西舘勇陽の特徴とは(西尾典文さん)

中学時代から地元岩手の軟式野球では評判になっていた大型右腕。一学年上の洸希(現・七十七銀行)も高校時代から評判の投手で、盛岡三では3年時に当時2年だった大船渡の佐々木朗希(現・ロッテ)と投げ合い、大学、社会人でも活躍している。

そんな兄よりも素材の良さは早くから関係者の間では有名で、花巻東でも1年夏からベンチ入りすると、2年時には140キロを超えるまでに成長を遂げた。ただ故障も多く、3度出場した甲子園でも目立った成績を残しておらず、当時は典型的な“未完の大器”という印象だった。

中央大進学後もスピードはありながら、なかなか安定しないというシーズンが続いていたが、3年春にようやく初勝利をあげると、その秋には5勝と大ブレイク。ベストナインも受賞している。4年春は防御率3点台と安定感を欠く投球も目立ったが、大きな進歩を遂げたのが最後の秋だ。

最初の登板で春の日本一である青山学院大を相手に7回を1失点、10奪三振で勝利すると、その後も安定したピッチングを披露。最終的に勝ち星こそ3勝にとどまったものの、防御率はリーグ2位となる1.11をマークしたのだ。1イニングあたりの被安打と与四球で示すWHIPは先発投手であれば1.00を切れば超一流と言われるが、この秋の西舘は0.58という驚異的な数字をマークしており、これを見ても最後のシーズンの充実ぶりがよく分かるだろう。

走者がいなくてもクイックで投げるスタイルだが、体重移動はスムーズで、全体的なバランスも安定している。速いモーションでも150キロを超えるボールを楽に投げることができるため、打者はタイミングをとるのが難しい。そして最終学年に大きくレベルアップしたのが変化球で、スライダーとカットボールでカウントを整え、鋭く落ちるスプリットも一級品だ。また以前は力みも目立ったが、この秋は楽に投げて速いボールと変化球を投げ分けるコツをつかんだように見える。スタミナ面の充実ぶりもプラス材料だ。

プロ側からはリリーフでも面白いという声もあったが、大学生活最後に見せた投球を考えると先発でも十分に勝負できるだけのポテンシャルがあることは間違いない。大学4年間での成長は見事だっただけに、プロの舞台でも更なる進化を遂げてくれることを期待したい。

近年の大学生ドラ1投手との成績比較(TRILL独自調査)

選手の特徴は、野球ライターの西尾典文にご紹介いただきましたが、ここからはTRILL独自に成績を調査しました。比較対象の選手は、2015年以降にドラフト1位で指名された、桜井俊貴、鍬原拓也、高橋優貴、平内龍太、翁田大勢の5選手。リーグの違いがあるため、純粋な比較はできないものの、大学通算成績、また4年時のみ(春季リーグ、秋季リーグ)の成績を比較しました。

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通算成績で見ると、奪三振と与四球の割合で、投手の制球力を表す指標である"K/BB"は全体1位、1イニングあたりに何人の走者を出すかを表す指標である"WHIP"は全体2位、9イニングあたりいくつの四球を与えたかを表す指標である"BB/9"は全体3位と、過去のドラ1投手と比較しても総合的には高い成績となっています。


続いて、4年時のみに絞った成績を比較。通算成績と違い、4年時にはエース格として、また大学での成長の集大成といえる最終年の成績は、より比較した時に違いが分かりやすいかもしれません。

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元々3年時から評判が高かった西舘投手ではありますが、7月に開催された大学日本代表から落選。度々課題として挙げられていた”制球力の低さ”が理由だったとも言われています。
しかし、4年秋には劇的に制球力が改善され、一気にドラフト1位指名確実まで評価を上げました。

4年時の成績を比較しても、歴代ドラ1投手より良い成績であることが分かります。高い奪三振率である中で四死球が少なく、高水準の投手と言えるかもしれません。

大学時代の成績がそのままプロでもというわけではありませんが、非常に期待ができる投手が巨人に入団したのではないでしょうか。


西尾典文(Norifumi Nishio)
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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