千鳥、星野源＆オードリー若林…売れっ子たちとタッグを組んで“話題作”を生み出し続ける【佐久間P】の手腕

そうそう、こういうのが観たかった！映画、ドラマ、バラエティなどさまざまなエンタメに触れる瞬間、視聴者が求めるのは「これまでにない新鮮なおもしろさ」だけと言っても大げさではない。

誰もが観たかった、でもまだこの世にはなかったエンターテイメントを形にする。まさに「言うは易し行うは難し」を軽々とひっくり返すように、次々と鮮烈な作品をぶっ放しているのが、佐久間宣行プロデューサーだ。

お笑いコンビ・千鳥がメインMCのトークサバイバル番組『トークサバイバー！〜トークが面白いと生き残れるドラマ〜』（以下、トークサバイバー）1stシーズンがNetflixで配信されたのは2022年3月。待望の2ndシーズンが、およそ一年半の時を経て配信された。

千鳥をはじめ、笑い飯・西田や銀シャリ・橋本、麒麟・川島など現代日本のお笑い市場で活躍している面々が登場。くわえて城田優や大友花恋、本郷奏多などの俳優陣も、ドラマパートの重厚さに寄与している。

そう。『トークサバイバー』はドラマの進行に合わせてお題に沿ったトークをする。つまらないトークをした者から脱落していく、まさにサバイバルな番組だ。

同じくNetflixで配信されている『LIGHT HOUSE』は、シンガーソングライターの星野源、そしてお笑いコンビ・オードリーの若林正恭が「悩み」をテーマに対話を重ねたトーク番組。土俵は違えど、20代の頃にイヤというほど辛酸を舐めた二人による、切れ味しかない丸ハダカなトークが楽しめる。

『トークサバイバー』に『LIGHT HOUSE』、どちらも手がけているのは佐久間宣行Pである。なぜ彼はここまで、世の人が求めるエンターテイメントを創出できるのか？

それはきっと、佐久間Pがどこまでも「市井の人に近いから」ではないだろうか。完全な作り手側でも受け手側でもない。受け手のハートを持ちながら、脳と両腕は作り手のCPUによって駆動している。

一般人が手放しに「面白い！」「こんなのが観たかった！」と手放しに笑い、感心できる作品を構想するには、受け手側の正直な感覚、いわば本能が必要である。佐久間Pはどこまでも「市井の人々に近い作り手」に思えてならない。

『トークサバイバー』の続きが見たい、視聴者の率直な欲は早くも満たされた。貪欲な受け手は節操なしに「『LIGHT HOUSE』の続きが観たい！」と切望している。

続編が制作されるとしたら、早くて来年か、それとも再来年か。シンガーソングライター、役者、エッセイストとしていくつもの表情を持つ星野源が、そのころにあらためて何を語るかに人々の興味が向けられるだろう。

そして、まさに前代未聞な「お笑い芸人による東京ドームでのライブ」を終えた若林正恭は、また新たなステージを見据えているに違いない。

佐久間Pの手によって作り出されるエンターテイメントに、視聴者は翻弄され、ワクワクしている。次はどんな衝撃が待っているのか、それとも、彼を凌ぐ対抗馬が現れるのか。

※Netflixシリーズ『トークサバイバー！〜トークが面白いと生き残れるドラマ〜』シーズン2は10月10日(火)より独占配信中
※Netflixシリーズ『LIGHT HOUSE』は8月22日(火)より独占配信中

ライター：北村有（Kitamura Yuu）
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter：@yuu_uu_