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サステナブルツーリズムとは。環境や文化の保全に貢献できる旅をしよう

  • 2023.10.6

サステナブルツーリズムとは

ボートの上の女性

サステナブルツーリズムとは直訳すると「持続可能な観光」。観光地の自然環境を守りながら、観光業を活性化させ、観光地の住民の暮らしも豊かにしていく取り組みのことです。サステナブルツーリズムが広まった背景には、過剰な観光客の来訪(オーバーツーリズム)や行き過ぎた開発などが原因で、観光地の住民の生活や自然環境に負荷がかかっているという問題があります。

サステナブルツーリズムと似た言葉との違い

森の中を歩く女性

サステナブルツーリズムと似た言葉との違いをみていきましょう。レスポンシブルツーリズムやエコツーリズム、グリーンツーリズムについて、それぞれの違いを解説します。

レスポンシブルツーリズムとの違い

レスポンシブルツーリズムとは「責任ある観光」という意味です。観光客もツーリズムを構成する要素のひとつと捉え、観光客が意識や行動に責任を持った観光を行うことで、より良い観光地を作り上げようとする動きを意味します。

サステナブルツーリズムとの違いは、観光客ひとりひとりの行動が中心になる点です。サステナブルツーリズムを行う上で観光地側が対策するだけでは限界があります。そのため、観光客ひとりひとりに責任のある行動を求める考え方が生まれました。

エコツーリズムとの違い

エコツーリズムとは自然環境の保護を念頭に、地域の自然や歴史、文化について学習・体験する観光のあり方のことです。観光客が地域の自然や歴史、文化を知り、その価値や魅力を理解することで環境保全につなげるのが目的です。サステナブルツーリズムが環境や経済、社会文化などすべてに適用されるのに対して、エコツーリズムは自然環境のみに適用される点で意味が異なります。

グリーンツーリズムとの違い

グリーンツーリズムとは、農林水産省の定義によれば「緑豊かな農村地域において、その自然、文化、人々との交流を楽しむ、滞在型の余暇活動」のことです。農家への民泊や農作業体験など、農村や漁村に滞在して地域の自然や文化とともに人々の暮らしに触れ、交流するスタイルを指します。サステナブルツーリズムが田舎から都会まで幅広い観光地域が対象であるのに対し、グリーンツーリズムは農山漁村地域に限られる点で異なります。

サステナブルツーリズムのポイント

地球を保護する手

サステナブルツーリズムを実施する上で「環境を守り、維持すること」「地元の住民に配慮すること」「伝統文化を守ること」が大切です。それぞれのポイントを解説します。

ポイント①環境を守り、維持すること

最大のポイントは環境や文化の維持です。観光が大衆化(マスツーリズム)したことで観光地化が進み、無理な開発や観光客によるゴミの増加といった問題が発生しています。環境負荷に配慮した観光コンテンツといった観光地での開発に対する見直しが大切です。

ポイント②地元の住民に配慮すること

地域住民の生活環境を守る取り組みも大切なポイントです。観光地化が進めば地域の経済が潤う一方、ゴミ問題や交通渋滞、騒音問題といった地元住民の暮らしに悪い影響が及びます。観光地を支える地域住民の生活環境を配慮しながら、観光地化を進めることが重要です。

ポイント③伝統文化を守ること

さらに、伝統文化の持続可能性も重要なポイントです。地域に根ざす伝統文化を維持することで、その地域本来の景色を維持できます。時代の流れとともに人口減少や高齢化によって、伝統文化が廃れつつある地域もあります。また、一度失くした伝統文化の再生は簡単ではありません。伝統文化を観光に活用して関心を高めることで、次世代へ文化を受け継いでいくことにつながります。

サステナブルツーリズムとSDGs

SDGsと書かれた積木

SDGs(持続可能な開発目標)とは、2030年までに世界で達成すべき17の目標のことです。SDGsの目標の中でも、サステナブルツーリズムを考える上で重要な観光分野と関連の高いものを紹介します。

目標8「働きがいも経済成長も」

目標8「働きがいも経済成長も」は、すべての人に対して包摂的で持続可能な経済成長、生産的な雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推し進めることです。サステナブルツーリズムに取り組むことで、観光に関わる雇用や地域経済の活性化につながります。

目標11「住み続けられるまちづくりを」

目標11「住み続けられるまちづくりを」は、安全かつ強靭で持続可能な都市や居住地の確保を実現することです。地域住民や地域に配慮したサステナブルツーリズムを行うことで、観光客に便利なだけではなく、地域住民が暮らしやすい街づくりにもつながります。

目標12「つくる責任つかう責任」

目標12「つくる責任つかう責任」は持続可能な生産と消費のパターン(生産消費形態)を保つことです。目標12では、観光業について「雇用創出、文化振興、産品販促につながる持続可能な観光業に対し、持続可能な開発による影響を測定する手法を開発・導入する」と言及しています。地域資源を有効活用する観光の開発・導入により、持続可能な消費生産サイクルが構築できます。

目標14「海の豊かさを守ろう」

目標14「海の豊かさを守ろう」は海と海の資源を守り、持続可能な形で利用することです。島国である日本は、特に海関連の観光事業が多いため、サステナブルツーリズムを通して海洋生物や海洋自然を守り続けることにつながります。

国内のサステナブルツーリズムの取り組み事例

日本の棚田

最後に、国土交通省観光庁「サステナブルな観光コンテンツ強化モデル事業」で実施された、サステナブルツーリズムの取り組み事例を紹介します。

【沖縄県】世界一サンゴに優しい村・恩納村を自転車で巡り、学ぼう!

恩納村 瀬良垣ホテルマネジメント(株)は「世界一サンゴに優しい村・恩納村を自転車で巡り、学ぼう!」と題し、サンゴをキーワードに電動自転車で村内を巡る体験プログラムを提供しています。村内を巡りながら、恩納村でのサンゴ礁保全の取り組みを学びます。従来の沖縄観光の中心である海目的以外での観光客誘致や消費拡大を目指した取り組みです。

【新潟県】佐渡金銀山のまち「相川まちごとミュージアム」

佐渡市 相川車座協議会は「相川まちごとミュージアム」と題し、伝統工芸や伝統産業に観光客が体験することのできるイベントを実施しています。漆器や和紙などの伝統工芸や、眼鏡や繊維といった産業が盛んな地域の特性を活かした取り組みです。地域経済を活性化させるだけではなく、観光収入の一部を伝統工芸の保全と継承につなげています。

【鹿児島県】サスティナブル・ネイチャーフィールド鹿児島県

観光かごしま大キャンペーン推進協議会は「サスティナブル・ネイチャーフィールド鹿児島県」を推進しています。旅行中になるべくゴミを出さないことや、自然環境の保全を念頭に置きながら土地の伝統、文化、自然を深く知れる旅を提供しています。

<取り組み事例>
・屋久島を地元の語り部さんと一緒に里歩きをし、自然に触れながら屋久島を知ることができるツアー
・屋久島のトレッキングやリバーカヤックを通して自然を体感できるツアー など

【神奈川県】サステナブルな観光地・箱根のコンテンツ造成事業

箱根町では、観光客とともに持続可能な観光地・箱根の実現を目指した取り組みが行われています。箱根町観光協会(箱根DMO)を中心に箱根の観光資源を調査し、歴史文化を絡めた観光ルートを作成しました。さらに箱根DMOは、持続可能な観光の取り組みをしている宿泊施設などを独自にまとめ積極的に紹介しています。箱根町の魅力を後世に伝えていく人材の育成も行っています。

<取り組み事例>
・アメニティ類をプラスチック包装から紙製のものへ切り替え
・ペットボトルのミネラルウォーターをよりリサイクルし易いアルミ製の製品へ切り替え など

サステナブルツーリズムを知り、新しい形の旅行を体験しよう

旅行の計画を立てている人

観光地の美しい自然環境の保全や、地域住民の生活にも配慮するサステナブルツーリズム。観光地を未来へ引き継いでいくためにも、多くの人が重要視しています。楽しく自然環境や文化の保全に貢献できるような旅行を検討してみませんか。

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