あなたは誰に共感？ ４人の男女の思惑と欲望が入り乱れる痴情ロマンス！

イケメンのスポンサーになろうとした女は…『スポンサー～破滅の足音～』

コスメ会社の代表、ハン・チェリン（ハン・チェヨン）は、男性モデルのサバイバルオーディションのメンターをつとめることに。元サッカー選手のヒョン・スンフン（ク・ジャソン）が応募してくるが、30歳という年齢がネックとなり、審査員一同誰も興味を示さない。実はスンフンには別居中の女優の妻、パク・ダソム（チ・イス）がいるが、入院生活を送る幼い息子のためにアルバイトをかけもちして必死に稼いでいた。ある日、大雨の中、必死で働くスンフンを見かけたチェリンは……。

チェリンがスンフンに公私共に“スポンサー”になることを提案の後、２人は恋仲となりすぐに結婚。ここら辺の展開があまりにスピーディで驚かされたが、どこかからチェリンに高齢男性のスポンサーがいたことを聞かされたスンフンは激昂し、家を飛び出してしまう。「自分もスポンサーになってもらったくせに」とツッコミを入れたくなるものの、これを機にあっという間に見事に転落していくスンフンの姿は、哀れというしかなかった。

恋人と父が不可解な事故に巻き込まれた男性カメラマンは……!?

4人の男女のうち唯一共感しやすいと思われる人物は、カメラマンのイ・ソヌ（イ・ジフン）。愛する恋人が知り合いのカメラマンから性加害を受け心神喪失に陥った上、父親も何者かに襲われ、意識不明の重体になってしまった。これらの事件について真相を探っていくうちにチェリンに疑念を抱き、復讐を企てるようになる。

ハン・チェヨン、ク・ジャソン、イ・ジフンらが共演！

ファッションも要注目の化粧品会社の代表を演じたハン・チェヨンは、1980年生まれの女優。米国からの帰国子女で、ハリウッド女優並みの八頭身美人として“バービーガール”の異名を持つ。また、ケガによりサッカー選手としての道を断念せざるをえなかったモデル志望を演じたク・ジャソンは、1992年生まれの俳優。兵役中にモデルを目指すようになり、2015年にデビューし、2017年にウェブドラマに出演した。2018年のドラマ『ミスティ～愛の真実～』での演技力で高評価を得た。

さらに、愛する人と父を奪われ復讐を企てるカメラマンを演じたイ・ジフンにも注目だ。ジフンは、1988年生まれの俳優で、兵役中にミュージカルとドラマを見て俳優を目指すようになり、約3000倍のオーディションを経て『学校2013』の出演を勝ちとった。歌手IUと初めて会った際、声が良いと絶賛されたというエピソードもある。

金の亡者になった３人の行く末は!?

チェリン、スンフン、ダソムの３人の男女は、極めて悪人という訳ではないものの、いわゆる金の亡者でスポンサーを常に探しているというのが見ていて空しい。また、精神障害を患うチェリンの弟が、姉と恋仲になる男性に異常に嫉妬し、自分の視界から消すべく潰そうとするところも怖い。それをチェリンが必死に隠蔽してしまうという、いわゆる臭い物に蓋をする行為が、事態を更に深刻な方向へ向かわせているようだ。近年世間を賑わせている性加害問題にも少し通じるところがあるが、過去にやった行いにより、後々も苦しめられるようになると気づかされたドラマであった。（文：渡邉啓子／ライター）

『スポンサー～破滅の足音～』
Prime Video、U-NEXT、Hulu等で配信中