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毎日できる!セルフ・コンパッションを高める8つの行動|自分にやさしい自分になる⑤

  • 2023.10.5
毎日できる!セルフ・コンパッションを高める8つの行動|自分にやさしい自分になる⑤
出典 FUDGE.jp

最後に「頑張ったね、大丈夫だよ」と、自分を褒めたのはいつだろう。傷ついたり疲れてしまった心は、きっとやさしさを欲しているはず。そんな自分に気がついて温かさを注いであげよう。思いやりで自分をいたわるご自愛の方法をひもとく。

教えてくれたのは…

関西学院大学文学部総合心理学科教授 有光興記先生

公認心理師、臨床心理士。恥やあがりの対処方法の研究過程でセルフ・コンパッションという概念に出合う。セルフ・コンパッションではやさしさや幸福感を高めていくことで、その人自らが問題の解決方法を見出すことを目的としている。

 

セルフ・コンパッションを高める8つの行動

日常的にできるコンパッションを高める方法をご紹介。ひとつずつでも生活に取り入れていくことで、日々の穏やかさに変化が生まれるはず。

情報から離れて食事をする

テレビやスマホを見ながら食事をする「ながらごはん」をすることがあるという人も多いでしょう。しかし、食事の間だけでも情報から離れてみては? 食べ物に向き合い、今日もごはんを食べられることや食べ物があるという環境そのものに心の中で感謝の気持ちを送ってみて。そして食べるときは一度にたくさんほおばらず、少量ずつ味わってみましょう。いつもよりも食材一つひとつの味わいがはっきりと感じられるはず。「おいしいごはんをありがとう」と感謝しながらマインドフルネスに食べることで、食べすぎ防止になるだけでなく、苦手なもののおいしさにも気がつけますよ。毎食は難しくても「朝食だけ」「週末だけ」と決めて取り組んでみて。

ゆっくりと歯を磨く
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出典 FUDGE.jp

ブラッシングをするときも、口の中や歯ブラシがあたる感覚に気づいていくことで、いままで知らなかった自分の一面を発見する手がかりになります。そのためにはゆっくりとした動きが重要で、腕や歯ブラシを動かすスピードはいつもよりゆっくりと、一つひとつの動作を確かめるように磨いていきましょう。歯を磨きながら「私の歯がきれいになりますように」と願い、コンパッションを送ることも忘れずに。気づきが増えていくと、磨き残しや虫歯の存在を見つけるきっかけができます。感じ方は自由で正解はなく、何も感じられない日もあるかもしれませんが、続けることできれいになった歯に喜びを感じられるように!

着るものに感謝しながら洗濯する
毎日できる!セルフ・コンパッションを高める8つの行動|自分にやさしい自分になる⑤
出典 FUDGE.jp

洗濯物に対して「いつも身体を快適に守ってくれてありがとう、きれいになりますように」と感謝と慈しみの気持ちを向けてみましょう。そして自分に対しても「洗濯お疲れさま、無事に洗い終わりますように」とやさしい声をかけて。洗濯するのが面倒だと感じても、それはただの思考として捉えていくのがポイント。「洗濯は嫌いだ」という感情があることに気がつくだけでも収穫です。このように、マインドフルネスな気持ちで洗濯しながら、同時に自分へコンパッションを送っていくと、ものを大切にする感情が自然と湧き上がってくるので、これまで見えていなかった洋服のほころびや毛玉にも気がつくことができるようになりますよ。

通勤時には“他者との共通性”を感じ取る
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出典 FUDGE.jp

特に通勤ラッシュでは、ぶつかったり足を踏まれたりすることがあります。しかし、その都度腹を立てていたのでは気持ちが疲れてしまいますよね。混雑する時間帯には、“他者との共通性”に目を向けることが大切。電車に乗り込む前にはひと呼吸して、「この車両に乗るすべての人がしあわせでありますように」と想いを込めましょう。そうすることで、「ラッシュで大変なのは私だけでない」「私も人の足を踏んでしまうことがあるからお互いさまだ」と、乗り合わせた人々との共通点を見出せます。実はみんな同じように、日々のしあわせを願っている——それに気がつけば、混み合っていても温かい気持ちが湧き起こるはず。

同僚や友人の誘いでも無理しすぎない
毎日できる!セルフ・コンパッションを高める8つの行動|自分にやさしい自分になる⑤
出典 FUDGE.jp

体調の悪い日や気乗りしない日にまで相手の誘いを受けるのは、自分に対するコンパッションを欠いた行動と言えます。相手を気遣うのもやさしさですが、自分の体調を優先することも大切にしたいもの。もし自分の体調と相手の気持ちとのバランスを取るなら、食事の誘いの場合、身体にやさしい料理を選べる店を自分から提案したり、別の日に約束をし直すなど、お互いにとって気持ちがよい選択をすればいいのです。マインドフルネスな食べ方や考え方を実践していると自分に対する感度が高まるので、例えばいま何を食べるべきなのか、自分の基準が明確になり、時には誘いを断るという判断ができるようにもなってきますよ。

お湯の感覚を味わいながら入浴する
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出典 FUDGE.jp

1日の疲れを癒す入浴も、自分に気がつき、コンパッションを高めるには絶好の時間。身体にシャワーがあたる感覚やお湯が肌を伝わり流れていく感覚に意識を向けてみましょう。全身が温まり、石けんで汚れが落ちてきれいになっていくことをあらためて感じることができれば、お風呂に入れることに対する感謝の気持ちや、自分をもっといたわりたいというやさしさが湧いてくるはずです。また、湯船では身体の中で気になっている箇所に手をあてて「今日も頑張ったね、お疲れさま」とねぎらいの気持ちを送るとよいでしょう。マッサージでリフレッシュしたり、入浴剤の香りでリラックスするなど、心を落ち着ける工夫も楽しんでみて。

落ち着いた気持ちで眠りにつく
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出典 FUDGE.jp

不安や悩みごとがあるとなかなか寝つけず、眠りも浅くなりがち。眠りたいのに眠れず苦しいときにこそ、自分にやさしい言葉をかけてあげましょう。心の中で「私が安心できますように」「悩みごとから解放されてしあわせになりますように」と声をかけます。そして、身体をリラックスさせながら目をつぶり、2〜3回呼吸を繰り返していきましょう。身体に触れることで愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」が出て気持ちが静まるため、胸に手を置いたり、自分を抱きしめたり、頬を手で包むことも併せて行ってみて。身体に疲れがあれば、「セルフ・コンパッションを高めるワーク|自分にやさしい自分になる④」で紹介したセルフ・コンパッションボディスキャンを行ってからベッドに入るのもおすすめ。

自分にやさしい休日を過ごす
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出典 FUDGE.jp

休日は自分の好きなことをして過ごすのがいちばんですが、趣味やいま興味のあることが特になければ、暖かい部屋で本を読んだり、近所を散歩するだけでも心は癒されます。読書中の心の揺れ動き方や歩いている感覚に気持ちを向けてみるだけでも、コンパッションは高まるもの。そもそもセルフ・コンパッションでは、「休日はこう過ごすべきだ」のような“正解を求める気持ち”を手放す目的が根本にあります。だから活動的な過ごし方をしてもそうでなくても、その過ごし方をいい悪いで判断しなくてもよいのです。大切なのは自分が感じるままに日々を過ごせる心の状態をつくること。それがやさしさであり、究極の“ご自愛”です。

illustration:Chiduko Hasino edit&text:Kaoru Bansho re-edit:Yuri Iwata[press lab]
※kiitos. vol.22(2021年12月23日発売)より抜粋。

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