1. トップ
  2. おでかけ
  3. どうしてるかなと思い出す旅先の写真|ヨルダンのペトラで

どうしてるかなと思い出す旅先の写真|ヨルダンのペトラで

  • 2023.10.5

TABIZINE10周年を記念して、ライターそれぞれが自由に綴る旅エッセイ。第4回目は、東京在住の石黒アツシさん。「ワーッと楽しい旅の思い出も嬉しいけれど、ジワーッと後を引く思い出もいいものです。誰でも出かけられる旅先だとしても、ちょっとしたお出かけだとしても、自分にしかできない体験があると思います。そんな気持ちを大切にして生きていきたいと思っています。それを「旅心」というのだと思う10年でした」

12歳のスルメッシュ君にあったのは2018年のこと。

ヨルダンのペトラに到着して、翌日の朝遺跡に出かけました。すると、人なつっこく、まぁまぁ上手なといっても日本の普通の12歳よりはよっぽど流ちょうな英語で話しかけてきたのが彼でした。「ガイドはいらないですか?」と。

「学校は休みなの?」と聞いたら休みだということでした。金曜日なのでお父さんはモスクに出かけていて、今日は一人だと言います。3人妹がいるそう。お願いすることにしました。ペトラ遺跡のメインの寺を見下ろせる断崖を登ったり、遠くまで広がる砂色の土地を歩いて点在する遺構を見て歩いたり。いろんなことを教えてくれました。楽しい数時間でした。

彼が履いている運動靴を見ると、靴のかかとから足のかかとがはみ出しています。もう靴のサイズよりしっかりと成長してしまっているんです。オーバーサイズの古びた革ジャンには大きなかぎ裂きができていています。

もう5年は過ぎて、彼も17歳か18歳になってすっかり大人になっているはず。あの旅から帰って来てからも、どうしているかなと時々思い出します。

[All photos by Atsushi Ishiguro]

 

 

元記事で読む
の記事をもっとみる