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「6÷2(1+2)の答え」→1と9どっち?《数学者も悩む難問》

  • 2023.12.25
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一見小学生でも解けそうな計算問題が、数学者をも巻き込んで大きな論争になったことがあるのをご存知でしょうか。

簡単な計算問題にもかかわらず、なぜ論争になってしまったのでしょうか。

「計算の仕方」を改めて確認しながら、その経緯を見てみましょう!

問題

次の計算をしなさい。
6÷2(1+2)

まずは自身の思うように計算してみてください。答えは何になりましたか?

 

答えは「1」、もしくは「9」となったでしょうか。実は、これが大きな論争になったのです。

今回の計算問題は、どちらの考え方にも間違いはないのです!

解説

計算の手順は多くの方が知っている通りです。

1.カッコの中から計算
2.×、÷を計算
3.+、-を計算

このように決まったルールがあるにもかかわらず、なぜ2つの答えが出てしまうのでしょうか。

それぞれの考え方を確認してみましょう。

答えが「9」となる考え方

「答えは9だ!」と考えた方は、このような計算をしたのではないでしょうか。

2とカッコの間には、「かけ算」が省略されています。

そのため、まずはカッコの中のたし算をして1+2=3。

これによって、6÷2×3となり、かけ算とわり算を含んだ計算になりました。

この場合は左から順に計算しなければいけません。

したがって、答えは9ということになります。

計算をまとめると次のようになります。

6÷2(1+2)
=6÷2×3
=3×3
=9

これは、2(1+2)の間に「×」が省略されているだけで、計算の順序に従う算数的な解釈をしています。

答えが「1」となる考え方

では、「答えは1だ!」と考えた方は、どのような計算をしたのでしょうか。

ポイントとなるのは「2(1+2)」の部分の省略された「かけ算」です。

「かけ算が省略されたのだから、2(1+2)はひとかたまりの計算としないといけない」と考えています。

つまり、2(1+2)=6となって、6÷6=1という計算をしています。

「2(1+2)はひとかたまり」という考え方は、次の計算を考えると納得ができるのではないでしょうか。

9a²÷3aを計算する際、「3a」をかたまりとして扱います。

「9a²÷3a=3a」となりますが、「9a²÷3×a=3a³」であり、かけ算が省略されるかどうかで、わる数のかたまりが異なります。

今回の場合は、省略をしているので「2(1+2)はひとかたまり」とするべきだと考える数学的な解釈をし、結果は「1」となります。

まとめ

それぞれの答えとなる主張は、どちらも間違いとは言いきれません。

2(1+2)かけ算を、「×」が省略されただけと解釈するか(算数的)、他の演算より優先されるひとかたまりの計算だと解釈するか(数学的)で、答えが「9」と「1」で分かれるのです。

「どちらの答えが正しいか」を議論するためには、それぞれがどのような考え方を前提としているかを明確にしなければいけませんね。


文・編集(監修):SAJIMA

日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」