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プレイボーイ日本代表! モテすぎて歴史に名を残した男と言えば? 〜文豪クズ男列伝 番外編〜【夫婦・子育ていまむかし Vol.16】

  • 2023.10.3

ウーマンエキサイトをご覧の皆さん、こんにちは。tomekkoです。

前回ので、そんなに知らなかった文豪のエピソードを知って興味を持てたよーといったメッセージを編集部宛てにいただいて、とても嬉しかったです!そしてこんな人も扱って欲しいといったリクエストも!

文豪、と題したこのシリーズですが、せっかく「いまむかし」をテーマとしているのでちょっと趣向を変えて、近代に限らず歴史に名を残した歌人なんかにも目を向けてみたいと思います。

いや実はリクエストをいただいて、私自身が(そういえばよく知らない…どんな人だったんだろう?)と興味を抱いたからなんですけど。

関係を持った女性は3千人超えという伝説の男!

なんと今回は平安時代まで遡っちゃいます!

最近控えめだったたぬ君が嬉しそう〜。

「在原業平」

歴史に興味がなくても、名前だけは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

でも多分、パッと思いつく歴史上の人物って天下獲ったり何かを成し遂げたり日本で初めて何かをしたり…偉人と呼ばれる人たちですよね…?

そんな中、在原業平は何で有名かというと…。

『特に何も成し遂げてないけどあまりにモテすぎて歴史に名を残してしまった人物』なのです!

なんと関係を持った女性は3千人を超えるという伝説があります…! さすがにアバンチュール多すぎない?

その結果イケメンの代名詞のようになった業平は、後に書かれた『伊勢物語』の主人公のモデルにもなっています。

エピソードを読み進めていくと気づくと思いますが、長編恋愛小説『源氏物語』にも伊勢物語になぞらえた設定がいくつも出てきて、かの紫式部先生も参考にされたプレイボーイの日本代表なわけです。

とはいえ在原業平と言えば最初に出てくるのは歌人としての肩書き。和歌の名手として六歌仙、三十六歌仙にも選ばれています。

勅選和歌集『古今和歌集』を編纂した紀貫之をして「その心余りて言葉足らず(あまりに情熱が強すぎて表現する言葉が足りない)」と評させるほど、熱く激しい恋心を少ない文字の中に見事に凝縮した人なのです!

お…そういえばこの歌仙の中にはやっぱりモテすぎて有名人がもう1人いますね。

そう、美人の代名詞「小野小町」ですー。(業平はもちろん口説いてます! 美女最高峰には断られたみたいだけど…)

男女ともに、そんなに身分は高くないのにモテすぎた人が日本を代表する歌人として選ばれている。これは何か事情がありそうな…?

身分は高くない、と言いましたが、確かに在原業平は百人一首でも武装した姿で描かれています。彼の最終の官職である蔵人頭のユニフォームなわけですが、蔵人とは位階は高くなくとも天皇の覚えもめでたい側近。

実は、在原業平の出自を辿ると本来彼は皇族の血筋なのです。

しかし祖父である平城上皇が譲位したのちに天皇に反旗を翻し(薬子の変)それが失敗して一族は零落します。皇族から臣籍、つまり家臣の立場に格下げされてしまうのです。

一族は再興のチャンスを狙いますがライバル藤原氏によって妨害され、皇族に戻ることはできませんでした。

業平20歳ごろ、ちょうど働き盛り男盛りで周りの貴族の子息たちもどんどん出世街道を邁進しているのを横目に見ながら、落ちぶれた一族はまともに官位を上げてももらえないままくすぶります。

高貴な生まれで何不自由ない気ままな皇族暮らしが約束されていたはずなのに、親族の起こした政変によって不遇な運命に翻弄されて…。私なら仕事行くのも嫌になって引きこもっちゃうかもしれない…ところなのですが!

業平には物凄い才能…ポテンシャルがあったのです。

人がモテる条件は平安時代から変わらない?

“容姿端麗で自由奔放、勉強はそんなにだけど和歌がめちゃくちゃ上手い“ー『日本三代実録』(意訳)

平安時代当時、女性が顔や姿を家族以外にはうかつに見せない状態で恋はどうやって始まるかと言えば、美しいと噂に聞いた女性の家に訪ねていって、御簾越しに和歌のやりとりをして駆け引きをするわけです。

相手はどんな人柄なのかな、教養はどのくらいあるのかな、話は合いそうかな…?

現代なら飲み会や職場やアプリなどで出会って、容姿が好みだったり話が合えばその後も何度か会ってみて…お互いに恋愛感情が生まれればお付き合いしましょう〜となる流れを、相手の顔が見えない状況で言葉のやり取りだけで汲み取り合う平安時代!!

えーえーえーむっ…ずかしくない?

言葉のやり取りが大事な平安時代

小野小町や在原業平という和歌の天才は

和歌を詠むのが上手い=コミュ力が高い=モテ女・男

だということなんですね!!(もちろん当時の感覚で美男美女だったのも事実なのでしょうが。)

これからという時に不遇な環境でくすぶっていたであろう業平は、その心の穴を埋めようとしたのでしょうか?

ここからがクズ男の本領発揮となりますー。

数々の女性たちと浮名を流した業平ですが、中でも一番有名なのが政敵の娘でもあり天皇のお妃候補である高貴な姫君との禁断の恋に情熱をぶつけます。(おっとこれ源氏物語で見たような…?)

その関係はまもなくバレて別れさせられることになりますが…。

禁断の悲恋から、名歌は生まれるわけですね。

平安時代から匂わせポエムはあるんです

こちらの歌、百人一首にも収められているので有名ですよね。子どもの頃に暗記した人も多いかと思いますし、漫画のタイトルにも使われています。

現代語訳にすると実際の川が紅葉で紅く染まっている様子を見ているようですよね。でも実はこれ、屏風に描かれた絵画を見て歌を作ったものだったようです…!

そしてこのネタ元になった屏風は、禁断の恋のお相手、藤原高子さまの持ち物でしたー!

はい匂わせー!!

その女性の部屋に飾られている屏風を見ることのできたってことですからねぇ。

コミュ力が高いって…頭いいよね?

ところで業平の人物像には、勉強はあまりできないけど…とありましたが、恋の駆け引きは一流だったようで…古い歌や季節折々の表現をよく知っていて引用したり、相手の思わせぶりな歌の意味を即座に解釈してうまく掛け合わせた返歌を作ったり…こんなの頭が良くなかったできないと思いませんか!?

その賢さがよく現れているのが、こちらも有名な伊勢物語の一節にある『かきつばた』の頭を取った即興歌。

教科書に載っていたという方も多いのではないでしょうか。

あいうえお作文のように、頭の文字を取りながらしっかり意味の通じる文章を作るってかなり難しい。更に文字数制限があって、ただ景色や気持ちを説明するだけでなく表面的な言葉の裏に別の意味を持たせてみたり…。

和歌となるとより難易度あがりますよね?

今も昔も、やっぱりコミュ力が高い人って頭が良いし、同性異性にかかわらずモテる、人たらしが多いんだなぁとしみじみ思うコミュ障な私なのでした。

現代ならカリスマホストやトップアイドルになっていたかも?

というわけでプレイボーイ日本代表みたいな在原業平。

ちょっと、共感してもらえるかわからないんですが

現代で言ったら…。

ローランド!? なのか? と思ってしまいました。

自らの容姿と才覚だけでのし上がり、女性たちを虜にし数々の名言(歌)を残している…。

ここで

「我か、我以外か」

って言わせてみたかったんです…!

現代だとカリスマホストやトップアイドルになっていたかもしれない? 業平さん!

エピソードはたくさんあって字数の関係で書ききれないほどでしたが…伊勢物語は現代語訳もありますし、源氏物語のベースにもなったと言われている洒落たプレイボーイエピソード、ぜひ読んでみてくださいね。

(tomekko)

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