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沢木耕太郎新エッセイ集 三島由紀夫、モハメド・アリとの「遭遇」を描く

  • 2023.10.4
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2023年9月29日、作家・沢木耕太郎さんの最新作『夢ノ町本通り』(新潮社)が発売された。

沢木さんは、『テロルの決算』『深夜特急』などで知られるノンフィクション作家。昨年刊行され、10万部突破のベストセラーとなった『天路の旅人』や、佐藤浩市さんと横浜流星さん主演で映画化され話題を呼んだ小説『春に散る』などで、いま改めて大きな注目を集めている。

『夢ノ町本通り』は、沢木さんが本を片手に旅した30年間の、豊潤な36編を収録したブック・エッセイ集。三島由紀夫、モハメッド・アリ、村上春樹、柴田錬三郎、向田邦子、山本周五郎......など、多くの作家や著作との遭遇が描かれている。

さらに、『深夜特急』の旅に出る直前、26歳の時に書いた、単行本未収録の幻のエッセイ「書店という街よ、どこへ?」を初収録したうえ、本書限定の書き下ろしエッセイ「秋に売る」も収録するなど、読み応えたっぷりの一冊となっている。

【本書「あとがき――甘美な記憶」より】
腹ばいになって本を読んでいた幼年時代から、はるかな年月が過ぎた。
しかし、あらためて、いまに至ってもなお、私の「甘美な時間」がほとんど変わっていないことに、あらためて驚かされる。
本を読むこと、スポーツをしたり見たりすること、映画を見ること、そして旅をすること。
最後の「旅をすること」だけは、中学生になってから覚えたが、それ以外の三つは、小学生時代の幼い頃に覚え、いまに至るまでほとんど変わることがないものである。
そして、これから先も、たぶん変わらないだろうと思う。この眼と足が確かなうちは。

■沢木耕太郎さんプロフィール
さわき・こうたろう/1947年東京生れ。横浜国立大学卒業。ほどなくルポライターとして出発し、鮮烈な感性と斬新な文体で注目を集める。79年『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、82年『一瞬の夏』で新田次郎文学賞を受賞。その後も『深夜特急』『檀』など今も読み継がれる名作を発表し、2006年『凍』で講談社ノンフィクション賞、13年『キャパの十字架』で司馬遼太郎賞、23年『天路の旅人』で読売文学賞を受賞する。長編小説『波の音が消えるまで』『春に散る』、国内旅エッセイ集『旅のつばくろ』『飛び立つ季節 旅のつばくろ』など著書多数。

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