1. トップ
  2. おでかけ
  3. 未承認国家の首都もある!ワインの産地として有名な「モルドバ」ってどんな国?

未承認国家の首都もある!ワインの産地として有名な「モルドバ」ってどんな国?

  • 2023.10.2

欧州ワインの発祥地といわれる「モルドバ」は、高層ビルや高い山がなく牧草地やブドウ畑が広がるのどかな国です。食事はオーガニック食品を使ったものが一般的で、素朴な味わいが魅力。今回は、モルドバの基本情報のほか、観光スポットや世界遺産、人気のスポーツなどをご紹介します。モルドバを知れば、一度訪れてみたいという気持ちになるかもしれません。

 

 

モルドバの基本情報

正式名称は「モルドバ共和国(Republic of Moldova)」。ヨーロッパ南東部に位置し、ウクライナとルーマニアに囲まれている内陸国です。1991年に旧ソ連から独立しました。面積は3万3,843平方キロメートルで九州よりやや小さいです。

大半は丘陵性の平原からなり、中央部に最も高い丘陵があります。気温は比較的温暖で、平均気温は1月が-5~-3℃、7月が20~23℃。年降水量は北部で560mm、南部で300~400mmです。

人口は259.7万人(2021年)で、モルドバ(ルーマニア系)人が75%以上を占めるほか、ウクライナ人、ロシア人、ガガウス(トルコ系)人も暮らしています。公用語はモルドバ語(ルーマニア語)。ロシア語も一般に通用しています。宗教はキリスト教(正教)などです。

モルドバの国旗中央の紋章は、中世ルーマニアに成立したモルダビア公国の「ウシの紋章」とワラキア公国の「ワシの紋章」を組み合わせたもの。3色旗は、もともと19世紀半ばの独立運動の際に作られたもので、ルーマニアの3色旗と同じです。1990年に採用されましたが、紋章を省いたものを使用することがあり、その場合はルーマニアの国旗と区別がつきません。

国名はルーマニア東部を流れるモルドバ川に由来します。スラブ語で「黒い川」という意味です。

モルドバに行くには?

日本からモルドバへは直行便が就航していません。行き帰り最低1カ所で乗り換える必要があります。日本から首都キシナウへ行く場合、ポーランドのワルシャワやトルコのイスタンブールなどで乗り継ぎが可能です。

モルドバに入国するためには、90日以内の短期滞在であればビザは不要です。2023年9月現在、パスポート残存有効期限は、出国予定日プラス3カ月以上が必要なほか、滞在中の費用証明および出国用航空券が必要になります。

 

教会を見学したり、ワインを楽しんだり充実した時間を過ごせる「キシナウ」

モルドバの首都「キシナウ」は、ニエストル川右岸の支流ビク川の両岸にまたがります。周囲をスモモ、ブドウなどの果樹園のある丘陵に囲まれており、豊かな農業地帯の中心地として、ぶどう酒、ブランデー、シャンパンの醸造が盛んです。

勝利の門とキシナウ大聖堂

キシナウで訪れたいのが「キシナウ大聖堂(ナステレア大聖堂)」。1836年に建てられたロシア正教会の大聖堂で、街のシンボルとして市民から愛されています。「勝利の門」の裏手にある公園に位置し、こぢんまりとしています。第二次大戦中に大きな被害を受け、現在の建物は1998年に再建されました。中に入ると一面にフレスコ画が描かれていて荘厳な雰囲気が漂っています。

第二次世界大戦の記念モニュメント「勝利の記念碑と永遠の炎」もチェックを。5本の銃剣で構成された高さ25mのピラミッドが空に向かってそびえ立ち、その下では永遠の記憶の炎が燃えています。

©️Calin Stan / Shutterstock.com

キシナウから約10kmの場所にあるワイナリー「ミレスチ・ミーチ」もぜひ訪れたいスポット。ここには、長さ200km以上の世界最大のワインセラーがあるのです。車に乗って石灰岩でつくられた薄暗いワインセラーに入ると、150万本以上のワインが貯蔵されている様子を見ることができます。事前に予約をすれば、ワインの試飲も可能。モルドバワインを販売するショップも併設しています。キシナウから日帰りのツアーに参加するのがおすすめです。

時間に余裕があれば訪れたいのが「オルヘイヴェッキ岩窟修道院」です。キシナウから50kmほど北に位置します。岩を切り抜いてつくられた修道院で、ロウソクが灯る幻想的な修道院の周りは断崖絶壁! のどかな田園風景と断崖絶壁のコラボレーションを望めますよ。

この修道院の近くにある、モルドバで最も大きくて美しい修道院として知られる「クルチ修道院」にあわせて訪れるのもいいかもしれませんね。

ルーマニアでもよく食べられている、国民食のお米入りロールキャベツ「サルマーレ」も味わいたいですね。

「沿ドニエストル共和国」という未承認国家の首都でもある!?「ティラスポル」

モルドバの北部に位置する「ティラスポル」は、モルドバの一部という扱いですが、実は1990年にモルドバから分離し、「沿ドニエストル共和国」という独立国家になると宣言しています。つまりティラスポルは未承認国家の首都でもあるのです。

©️romeovip_md / Shutterstock.com

そんなティラスポルで注目したいのが、街の中心にある「スヴォーロフ広場」。露土戦争で活躍したアレクサンドル・スヴォーロフの銅像があるほか、芝生や花壇が整備されていて、のんびりと過ごすことができます。この広場の向かいには、戦没者を追悼する「栄光の記念碑」も。

©️Rico Markus / Shutterstock.com

また、ティラスポルのメインストリート「10月25日通り」には旧ソ連時代を彷彿させる巨大な建造物が建ち並んでいます。なかでも、レーニン像がそびえ立つ政府庁舎は迫力満点です。あまりの大きさに圧倒されますよ。

©️Iulian Ursachi / Shutterstock.com

ティラスポルに住む人々の日常生活を垣間見たくなったら「グリーン・マーケット」へ。地元の新鮮なフルーツや野菜がずらりと並んでいて、見ているだけで楽しくなります。

ティラスポルは旧ソ連時代にタイムスリップしたような気分が味わえる街です。この雰囲気が好きな人はとことんハマりそうですね。

 

オスマン帝国時代に建てられた要塞が残る「ベンデル」

国際的にはモルドバの一部ですが、「ベンデル」も未承認国家「沿ドニエストル共和国」の実効支配下にあります。ドニエストル川西岸に位置します。

そんなベンデルの最大の見どころは「ベンデル要塞(ティギナ要塞)」。16世紀のオスマン帝国時代に建てられた要塞で、敷地内にはロシア正教会「アレクサンドル・ネフスキー教会」や、歴史博物館があります。2023年現在も修復・保存工事が行われています。

キシナウからベンデルまでは車で約1時間20分、ベンデルからティラスポルまでは車で約20分です。

地球の正確な形状と大きさの証明に大きく貢献した「シュトルーヴェの測地弧」

モルドバには世界遺産がひとつあります。それはノルウェーのハンメルフェスト岬から黒海まで10カ国を貫く、2,820㎞以上にわたる三角測量地点の連なり「シュトルーヴェの測地弧」です。合計265の観測地点が設置されています。

1816年~55年、天文学者のシュトルーヴェはこの調査により、史上初めて長距離に渡って1経線を正確に測量。これにより、地球の正確な形状と大きさの証明に大きく貢献し、地球科学と地形図作成の発展の重要な一歩に。

そのため、この10カ国の三角点アーチ観測地点が2005年に世界文化遺産として登録されました。当時設置された265カ所の測量点のうち、34カ所が選定されています。そのほとんどが岩に印をつけただけのものですが、なかには豪華な記念碑が設置されているものも!

モルドバで人気のスポーツは?

©️Vitalii Vitleo / Shutterstock.com

モルドバで人気のスポーツはサッカーとラグビーです。また、オリンピックでは陸上、ボクシング、カヌーなどでメダルを獲得したことがあります。

[All photos by Shutterstock.com]

元記事で読む
の記事をもっとみる