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大倉集古館「畠中光亨コレクション 恋し、こがれたインドの染織 ー世界にはばたいた布たちー」

  • 2023.9.29
畠中光亨氏のコレクションから、厳選された約100点のインドの染織品を紹介

大倉集古館で開催中の「畠中光亨コレクション 恋し、こがれたインドの染織 ー世界にはばたいた布たちー」[2023年8月8日(火)~10月22日(日)]の前期展示(9月10日まで)を見て来ました。

重厚な大倉集古館の建物内を飾るインドの染織品は、お城の中に飾られたタペストリーのよう。「染織品の宝庫」と言われたインドでは、綿による美しい捺染布が3,500年以上前から作られていたそうです。交易により世界へ輸出されたインドの染織品は、ローマ時代からヨーロッパでは常にあこがれの的でした。

日本画家でインド染織品およびミニアチュール(細密画)のコレクターであり、研究者でもある畠中光亨氏のコレクションから、厳選された約100点を紹介する展覧会です。 ※9月12日(火)~10月22日(日)は後期展示

※展示室内は撮影禁止です。本記事に掲載の写真は、すべて主催館の許可を得て撮影したものです。

出典:リビング東京Web

大倉集古館

「生命の樹」の赤い花が咲く《掛布》、エキゾチックな《竹花樹鳥獣文ベッドカバー》

古くから「綿文化」の国だった、インド。インド布が特に影響を与えたのはヨーロッパでした。17世紀以前、発色がよく、洗っても色落ちしない布を作る技法はインドにしかなかったそうです。

ヨーロッパ向けにインドのコロマンデール・コーストで作られた「生命の樹」をデザインした《掛布》(写真左)。網のように伸びた枝に赤い花々が咲いています。「パランポール」と呼ばれる捺染布(なっせんふ)です。

右は、鮮やかな色で染められた《竹花樹鳥獣文ベッドカバー》。竹の両側にくちばしにコブラをくわえた2羽の孔雀が描かれたエキゾチックなベッドカバー。草花文様の中には鳥や動物、魚も描かれています。

出典:リビング東京Web

左から、《掛布》 コロマンデール・コースト(インド) 手描染、媒染、防染⁄木綿 18世紀後期、《竹花樹鳥獣文ベッドカバー》 コロマンデール・コースト(インド) 手描染、媒染、防染⁄木綿 18世紀後期~19世紀初期 個人蔵

ヨーロッパの《倣カシミールショール》産業革命を起こす

インドの染織品に魅せられたヨーロッパでは、高価な布を手に入れ用いることが上流階級のステータスになったそうです。

1枚作るのに3年はかかると言われる繊細なインドの綴織のカシミールショールを模して作られたイギリスやフランスの《倣カシミールショール》。 ヨーロッパでは、それらを機械織することで産業革命が起こったそうです。ヨーロッパの人々のインド布へのあこがれと熱狂ぶりが感じられます。

出典:リビング東京Web

右から、《倣カシミールショール》 フランス 19世紀中期 ジャカード織、《倣カシミールショール》 フランス 19世紀中期 ジャカード織⁄羊毛、《倣カシミールショール》 イギリス 19世紀後期 ジャカード織⁄羊毛 19世紀後期 個人蔵

東アジアへ広がった「更紗(サラサ)」

日本では「更紗(サラサ)」と呼ばれたインドの染織品は、インドからインドネシアを始め東南アジアへ広まります。 インドネシアでは、インドから渡って来た捺染布の模倣である、蝋で防染した捺染布(バティック)が作られて来ました。

インド国内でも染織品の他に、金糸銀糸を用いた刺繍や、現在では技法も分からないような巻き絞りで染めた布が作られました。 巻き絞り染めや、絞り染めの《ターバン》。色とりどりで模様も様々な布が、幡のように重要文化財《如来立像》を荘厳しています。

出典:リビング東京Web

中央、重要文化財《如来立像》 中国・北魏時代 5世紀末から6世紀初 大倉集古館蔵、《ターバン》ラジャスタン州(インド)、ひと目絞り染、巻き上げ絞り染、縫締め絞り染、霜降染、金(または銀)箔押、雲母押、これらの技法の複合/木綿モスリン、18-20世紀初頭 個人蔵

世界を魅了したインドの染織品コレクション

18世紀、イギリスのランカシャーで発明された機械織の綿織物が産業革命の始まりとなります。

イギリスでは原材料の綿を輸入し、機械織で生産され化学染料で染色された綿製品がインドに逆輸入されます。以後、インドの手仕事による染織は衰退。 19世紀に起こったセポイの乱が鎮圧されるとインドはイギリスの植民地に。

1947年8月15日にインドはイギリスから独立し、手工業の保護育成に乗り出しますが、一度失われた技術を取り戻すまでには至っていないようです。

大倉集古館「畠中光亨コレクション 恋し、こがれたインドの染織 ー世界にはばたいた布たちー」。かつて世界を魅了したインドの貴重な染織品コレクションに出会える展覧会です。 是非お出かけください。

ミュージアムショップ

ミュージアムグッズは、深い緑色の刺繍ストール(2,970円)、ダージリン紅茶(540円)を購入。 刺繍入りのストールはガーゼのような肌触りで温かそう。

出典:リビング東京Web

ミュージアムショップ 大倉集古館

〇大倉集古館 URL:https://www.shukokan.org/ 〒105-0001東京都港区虎ノ門2-10-3(The Okura Tokyo前) TEL:03-5575-5711 交通:東京メトロ南北線 六本木一丁目駅 中央改札(泉ガーデン方面)より5分 東京メトロ日比谷線 神谷町駅 4b出口より7分 東京メトロ日比谷線 虎ノ門ヒルズ駅 A1またはA2出口より8分 東京メトロ銀座線・南北線 溜池山王駅 13番出口より10分 東京メトロ銀座線 虎ノ門駅 3番出口より10分 ※駐車場はありません

〇畠中光亨コレクション 恋し、こがれたインドの染織 ー世界にはばたいた布たちー 会 期:2023年8月8日(火)~10月22日(日) ※前期:8月8日(火)~9月10日(日) 後期:9月12日(火)~10月22日(日) 開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで) 休 館 日:毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日) 入 館 料: 一般:1,300円、大学生・高校生:1,000円 ※学生証をご提示ください 中学生以下:無料 ※同会期中のリピーターは200円引き(前回来館時のチケット要持参) ※20名様以上の団体は100円引き ※障がい者手帳、被爆者手帳をご提示の方と同伴者1名は無料 ※ミュージアムショップ:大倉集古館の営業時間に準ずる

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