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【ドラフト】野球ライター西尾典文が選ぶ、大学生の"注目選手"5選…指名が予想される球団も

  • 2023.10.25
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PIXTA

今月26日に迫ったプロ野球ドラフト会議。豊作と言われる今年の候補選手たちだが、中でも中心になるのが大学生の投手たちだ。

筆者が実際に現場で最速150キロ以上の計測を確認できた大学4年生の投手は24人で、これは昨年の13人を大きく上回る。もちろんスピードガンの数字だけが全てではないが、一つの指標として考えても能力の高い投手が揃っていることは間違いない。そんな中から1位指名の可能性が極めて高い5人の投手について紹介する。

注目選手

常広羽也斗(青山学院大)

右投右打 投手
大分舞鶴高-青山学院大

高校時代は全国的には無名の存在で、大学への進学もスポーツ推薦ではなく指定校推薦だったが、この4年間で驚きの成長を遂げて大学球界を代表する右腕となった。体つきはまだ細いものの、強さと柔らかさを兼ね備えた腕の振りから投げ込む150キロを超えるストレートはまさに“糸を引くような”という表現がピッタリ当てはまる。140キロ前後のスピードで鋭く大きく落ちるフォークなど変化球のレベルも高く、コントロールで自滅するようなこともない。6月の大学選手権でも圧巻の投球でチームを日本一に導いた。10月13日には広島が1位指名を公言しており、複数球団による1位競合が予想される。

指名が予想される球団:広島(10/13公言)、ソフトバンク


細野晴希(東洋大)

左投左打 投手
東亜学園高-東洋大

最速158キロを誇る大学球界最速左腕。高校時代はどちらかというとまとまりのあるタイプだったが、東洋大進学後に劇的なスピードアップを果たした。ゆったりとしたモーションでしっかり下半身を使って投げることができ、豪快な腕の振りは迫力十分。試合終盤でも力を入れればいつでもストレートは150キロを超え、多少コースが甘くでも打者を圧倒できるだけの球威がある。大きく鋭く変化するカーブとスライダーも一級品だ。四死球と球数の多さには課題が残るものの、走者を背負ってからの粘り強さもあり、この秋は安定感もアップしている。スケールの大きさではナンバーワンと言える存在だ。

指名が予想される球団:巨人


武内夏暉(国学院大)

左投左打 投手
八幡南高-国学院大

細野と並ぶ大学球界を代表する大型サウスポー。高校時代は無名で、大学でのリーグ戦デビューも2年秋と遅かったものの、そこから着実なステップアップを果たして目玉選手の1人へと成長した。185㎝、90㎏と大柄だが、投球にまとまりがあるのが特長で、コーナーいっぱいに投げ分ける制球力は見事だ。ストレートの勢いも年々アップしており、今年はコンスタントに150キロを超えるまでになっている。打者の手元で鋭く沈む縦のスライダーとツーシームのコンビネーションで、ゴロを打たせてとる投球が持ち味だが、ここ一番では三振も奪える。現時点での安定感では常広、細野以上と言えるだろう。

指名が予想される球団:DeNA、中日、西武(10/24公言)、ソフトバンク


西舘勇陽(中央大)

右投右打 投手
花巻東高-中央大

花巻東高時代から素質の良さが光っていた大型右腕。1年秋に早くもリリーフとしてリーグ戦デビューを果たすと、いきなり150キロを超えるストレートを披露して神宮球場を沸かせた。その後はなかなか起用法が一定しなかったが、3年秋にようやく先発として5勝をマークしてブレイク。今年春は少し調子を落としたものの、秋は復調し安定した投球を見せている。走者がいなくてもクイックで投げるスタイルで、それでいながら150キロを楽にマークするため打者はタイミングが取りづらい。スライダー、カットボール、スプリットの精度も高く、奪三振率の高さも魅力だ。この秋の状態を維持できれば、1年目から一軍の戦力となる可能性も高い。

指名が予想される球団:阪神、ヤクルト、楽天


下村海翔(青山学院大)

174㎝73㎏ 右投右打 投手
九州国際大付高-青山学院大

高校時代から九州では評判だった右腕。大学でも1年秋から主戦となり、その後は肘の故障で長期離脱を余儀なくされたが、3年秋に鮮やかな復活を遂げ、今年は常広との二枚看板でチームの大学日本一にも大きく貢献した。両サイド、高低を見事に投げ分ける制球力の高さは大学球界でもナンバーワン。上背はないものの、ストレートも常に150キロ前後をマークするなどスピードも申し分ない。多彩な変化球も操り、打者に的を絞らせない投球術も見事である。数字ほどの球威は感じられず、前に挙げた4人よりスケール面で劣るものの、完成度の高さは武内と双璧で、即戦力として期待できるだろう。

指名が予想される球団:上記4人を抽選で外した多くの球団

他にも注目選手が多数

5人全員が東都大学野球連盟に所属しており、同じリーグでは西舘昂汰(専修大)、草加勝(亜細亜大)も上位指名の可能性は高い。
もちろん他にも有力候補は多いものの、これだけ1つのリーグから1位候補が大量に出てくるのは極めて異例のことである。大学生の場合、下級生の時にブレイクして上級生になると少しパフォーマンスが落ちるというケースも多いが、今年の候補は最終学年で更に成長を見せているというのもプラス要因だ。

同学年では佐々木朗希(ロッテ)、宮城大弥(オリックス)が既に球界を代表する投手となっているだけに、プロの世界では一日でも早く彼らに追いつき、切磋琢磨しながらハイレベルな争いを見せてくれることを期待したい。


西尾典文(Norifumi Nishio)

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。


※記事内における情報は原稿執筆時のものになります

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