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日本の世界遺産【8】太古から信仰の対象とされた宮島の入江に建ち並ぶ「厳島神社」

  • 2023.9.28

かつては島全体が神の島として崇められていたことでも知られる「厳島神社」。2022年12月に大鳥居の改修工事が完了し、鮮やかな朱色が蘇り、その存在感がさらに増しました。今回は、そんな多くの人々が信仰したという古式ゆかしき厳島神社に注目。概要や見どころのほか、行き方、周辺の人気スポット・グルメもご紹介します。

 

 

竜宮城のような優美な佇まい、古い様式を今に伝える「厳島神社」

瀬戸内海に浮かぶ宮島(厳島)は、太古から信仰の対象とされ、12世紀の平清盛時代に栄華を極めました。現存する13世紀からの主要社殿を中心に、中世以降に建てられた周辺の建造物は、海水の浸食と戦いつつ、修復を繰り返して古い様式を今日に伝えます。1996年に前景の海と背後の森林区域もあわせて世界文化遺産に登録されました。

厳島(嚴島)神社は入江の海のなかに木造建物が建ち並ぶ日本でも珍しい神社です。前景には海、背景には神の山とされる「弥山」があり、独特の神秘的な景観を生み出しています。社殿背後の宮島は約30平方キロメートルの島で、特別史跡・特別名勝に指定されています。

厳島神社は、593年に佐伯鞍職(さえきくらもと)により創建されたと伝えられています。原始宗教のなごりで、島全体が神の島として崇められていたため、陸地では畏れ多く、潮の満ち引きがある場所に建造されたのです。

1146年に平清盛が安芸守に任命され、平家の守護神として尊崇。平家一門の権力が増すにつれて尊崇が高まり、社殿を現在の姿に造営しました。その後、1571年に毛利元就によって御本社本殿の改築や反橋や大鳥居の再建など大規模な修復が行われたとされています。

厳島神社は、東廻廊45間、西廻廊62間のほか、客神社・朝座屋・祓殿・高舞台・平舞台・左右門客神社・火焼前・大国神社・天神社・能舞台・反橋・長橋・揚水橋・内侍橋の建物構造群からなります。国宝・重要文化財の建造物は17棟3基、美術工芸などは約260点です。

見どころは?

©️Lenush / Shutterstock.com

一番の見どころは、広さ82坪という国内有数の規模を誇る「御本社」。正面8間・背面9間・梁間4間で、床面積は出雲大社の2倍の大きさだそうです。

市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)、田心姫命(たごりひめのみこと)、湍津姫命(たぎつひめのみこと)の三女神のほか、30柱の神様が祀られています。三女神は、海の神・交通運輸神・財福の神・技芸の神として信仰されているため、旅行の安全祈願に訪れるのもよさそうですね。

国宝の「廻廊」も必見! 東側廻廊は47間で、入口は切妻造り、屋根は檜皮葺、棟には棟瓦が載せてあるのが特徴です。西廻廊は61間で、出口は唐破風造りになっています。床板は、1間に8枚敷いてあり、釘は使われていません。板と板の間が少し開いているのは、潮が高いときや、台風時に波のエネルギ-を減免・消波するためです。青銅製の釣灯籠にも注目を。

東廻廊の海中にあり、潮が引くと現れる丸い池「鏡の池」もユニークです。干潮時に厳島神社を訪れたら、ぜひチェックしてみてくださいね。

厳島神社の社殿の沖合約200mのところに立つ「大鳥居」もじっくり鑑賞したい建造物。干潮時には大鳥居まで渡ることができます。大鳥居に近づくにつれて主柱の太さに驚くかもしれません。シャッタースポットとしても人気です。

そのほか、四天王寺の石舞台・住吉大社の石舞台とともに日本三舞台に挙げられる「高舞台」、1557年に再建された長さ約24m、幅4mの「反橋」、日本で唯一海中に建てられている「能舞台」も見応えがあります。

時間があれば、806年に弘法大師が開基して以来、山岳信仰の霊峰として崇められてきた「弥山(みせん)」へ。ロープウエー「獅子岩駅」から山道を進んでいくと、弘法大師が100日間の修行をしたという「弥山本堂」や、1200年以上も“消えずの火”が燃え続けている「霊火堂」を見学できますよ。山頂からの景色はまさに絶景! 瀬戸内海、四国連山などを一望できます。

厳島神社への行き方

JR「広島駅」からJR山陽本線「宮島口駅」まで約27分、宮島口桟橋からフェリーで約10分。宮島桟橋から徒歩約12分

厳島神社

住所:広島県廿日市市宮島町 1-1

電話:0829-44-2020(9:00〜16:00)

拝観時間:0:00〜18:30(1月1日)、6:30〜18:30(1月2日〜3日)、6:30〜17:30(1月4日〜2月末、10月15日〜11月30日)、6:30〜18:00(3月1日〜)、6:30〜17:00(12月1日〜31日)

拝観料:大人300円、高校生200円、中小学生100円

現在も未完成! 開放的な空間が広がる木造の大経堂「千畳閣(豊国神社)」

同じく宮島にある「千畳閣」もぜひ訪れたい神社です。1587年に豊臣秀吉の命により建造された宮島島内で最も大きな建物で、畳857枚分の広さがあることから「千畳閣」と呼ばれています。秀吉の死により現在も未完成です。明治時代に豊臣秀吉と加藤清正が祀られ、豊国神社になりました。

入母屋造りの大伽藍で、軒瓦には金箔が押してあることから、完成していたらどれだけ豪華な大経堂になっていたのか想像せずにはいられません。

大経堂の中は、畳は敷かれていませんが、土足厳禁で床に座ることができます。夏の暑い日に訪れると、涼しい風が吹き抜けていき、居心地最高です。眺めが良く、休憩スポットとしてもおすすめ。宮島観光で疲れた体を癒やすことができますよ。

また、宮島にはグルメがいっぱい! 宮島のメインストリートの表参道商店街には、カキや穴子の飲食店のほか、もみじまんじゅうの専門店、宮島の名物がそろったお土産店も。

そんな中でも、ぜひ味わいたいのが100年以上の歴史がある「あなごめし」です。穴子は秘伝のタレで焼き上げた蒲焼き、煮穴子でふっくらと仕上げたものがあり、さらにご飯は、白米もあれば、穴子のダシで炊いたご飯もあり、お店によって風味が異なります。気になる店を訪れてみてくださいね。

千畳閣(豊国神社)

住所:広島県廿日市市宮島町

電話:0829-44-2020(9:00〜16:00)

拝観時間:8:30~16:30

拝観料:大人100円、小中学生50円

交通アクセス:宮島棧橋から徒歩で約10分

[All photos by Shutterstock.com]

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