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アイスコーヒーで「空」を再現? 気象のことがよくわかる本

  • 2023.9.28

2023年9月27日、 SNS・テレビで話題の雲研究者・荒木健太郎さんの著書『読み終えた瞬間、空が美しく見える気象のはなし』(ダイヤモンド社)が発売された。

本書は、気象庁気象研究所主任研究官を務める著者が、気象の楽しみ方、気象の歴史の「へぇ~」、気象災害から身を守る方法など、様々な観点から気象学の面白さを紐解くもの。今回はその中から、市販のアイスコーヒーで簡単に再現できる気象「ダウンバースト」について紹介しよう。

アイスコーヒーで「空を感じる」

本書によると、気象を楽しむ上で専門器具は必須ではなく、身近なアイテムを使ってその仕組みを体感することもできるとされる。

たとえば、コンビニやカフェなどで、透明なカップグラスに入ったアイスコーヒーを買って、カップの壁の近くにゆっくりとミルクを入れ、カップの横からその様子を観察すると、それだけでも「空」を体感することができるという。

ミルクは、まずカップの下に向かってゆっくりと落下するが、底に近づくにつれ落下のスピードが上がり、底についた瞬間、一気に横に広がる。気象研究者から見ると、このミルクの動きは、積乱雲の下降気流そっくりに見えるという。

積乱雲の中では冷たく重い下降気流が生まれ、これが、地表に達する際に、強力な突風の一種である「ダウンバースト」などを発生させる。アイスコーヒーのカップの底でも同じことが発生していて、ミルクが下向きに加速して底に達するときにダウンバーストが起こる。狭いコップの中で、空と同じ現象が起きているのだ。

このほか、著者によるオリジナルキャラクター「パーセルくん」を用いたイラストつき解説、異常気象の発生原因や災害時の注意点、天気を「インスタ映え」させる美しい気象写真の撮り方など、楽しい「気象」の知識が盛りだくさん。読めば、空を見るのが楽しくなる1冊だ。

【目次】
・はじめに
第1章 体感する気象学
味噌汁で感じる雲のしくみ/朝、樹々の茂る公園にて/遥かなる空の旅/お風呂の気象学/「流れ」を感じる/珈琲で味わうエルニーニョと積乱雲/アイスを食べる前に....../蜃気楼を追いかけて/超入門・雲のしくみ

第2章 雲と遊ぶ、空を楽しむ
ラピュタと竜の巣/雲の心を読む/個性的な雲たち/空を美しく撮るために/人間性の回復

第3章 虹や彩雲や月を愛でる
虹で遊ぶ/彩雲は美しい/雨のない虹色/薄明の空は最高に最高/天使の梯子を愛でる/太陽から空を読む/今宵も月が綺麗です

第4章 たとえ、天気が崩れても
曇り空の個性、雨の日の気象学者/雪は天からの手紙/凍る準備はできている/霧との出会い、雲海との遭遇/「空」を測る/メイキング・オブ・天気予報
第5章 感動する気象学
気象学が解き明かすもの/気象学のはじまり/雨と雪にはドラマがある/夏は暑く、冬が寒いのはなぜか?/天気はどうして変わるのか/日本海側の雪、太平洋側の雪/「ゲリラ豪雨」と竜巻/豪雨と台風はなぜ起こるのか/気候変動と異常気象

第6章 天気予報はこんなにも面白い
天気予報はなぜ外れるのか/気象学と経済活動/「地震雲」を不安に思うあなたに/「観天望気」は人類の知恵/気象情報を「使い倒す」/気象予報士と気象大学校/雲研究者、カラスと格闘する
・おわりに
・参考文献・ウェブサイト
・読書案内、写真提供
・スペシャルサンクス
・索引

■荒木健太郎さんプロフィール
あらき・けんたろう/雲研究者・気象庁気象研究所主任研究官・博士(学術)。1984年生まれ、茨城県出身。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒業。地方気象台で予報・観測業務に従事した後、現職。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために、気象災害をもたらす雲の仕組みの研究に取り組んでいる。映画『天気の子』(新海誠監督)気象監修。テレビ『情熱大陸』『ドラえもん』など出演多数。

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