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編集後記「エレガンス、であること」:祖父の本棚で見つけた、ささやかなエレガンス。

  • 2023.9.26
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美術教室の先生をしていた祖父の本棚から引き取ってきた本の一部。柳宗悦、吉野弘、ランボーなど。芸術関連と詩集が多い。

祖父の本棚で見つけた、ささやかなエレガンス。

学生から社会人になり、人生初の編集、というか仕事だった本号。しかもテーマは、『エレガンス、であること。』。私なんかがエレガンスについて考えていいのかと、戸惑いながらのスタートでした。

そんな矢先、遺品整理を兼ねて、群馬にある祖父宅の本を引き取りに行くことに。本棚には、一冊ずつ、カバーの背表紙に手書きの文字で本のタイトルと著者名が記された本が並んでいました。きっと、本の日焼けや劣化を防ぐためだったのでしょう。その中から、柳宗悦の『民藝紀行』を手に取ると、小さい頃、山で拾った小石や葉っぱを使って、一緒に絵を描いた記憶がよみがえってきました。本棚に丁寧に並べられた一冊一冊に、彼の人となりや生き方が垣間見えた瞬間でした。

「エレガンス」って、もっとハードルが高いものだと思っていたけれど、そうじゃないのかも。例えば本を大切に扱うこと、道端の小石を綺麗だと思うこと。それもきっと、「エレガンス」なのかも。祖父の本棚を前に、ふとそう感じました。素敵な大人になるための道のりに、ほんのちょっとだけ近づけたような気がした、社会人一年目の夏。もうそろそろ秋の風が吹きそうですね。今回の特集「エレガンス、であること。」、みなさまにとって、自分なりの「エレガンス」がきっと見つかる一冊です!

(本誌編集部 I)

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