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【竹橋】丸紅ギャラリー 企画展「濱野年宏 伝統と現代のハーモニー 聖徳太子絵伝四季図大屛風(中宮寺蔵)と新作」

  • 2023.9.25
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和(ハーモニー)と慈しみの世界が広がる濱野年宏(はまのとしひろ)の作品世界

丸紅ギャラリーで開催中の企画展「濱野年宏 伝統と現代のハーモニー 聖徳太子絵伝四季図大屛風(中宮寺蔵)と新作」[2023年9月12日(火)~10月14日(土)]を見て来ました。

濱野年宏画伯が、聖徳太子ゆかりの奈良中宮寺の鳩和殿建立にあたり、15年の歳月をかけて制作された《聖徳太子絵伝四季図大屛風》と、新作の展覧会です。

入口の扉が開くと、展示室までの長いアプローチに、全長36メートルの大作《聖徳太子絵伝四季図大屛風(しょうとくたいしえでんしきずだいびょうぶ)》の「春の部」(cat.no.1)と、「夏の部」(cat.no.2)が展示されていました。 会場の最初に、本展のメインとも言える作品の特別展示にまず圧倒されます。

出典:リビング東京Web

丸紅ギャラリー 企画展「濱野年宏 伝統と現代のハーモニー 聖徳太子絵伝四季図大屛風(中宮寺蔵)と新作」

和を以て貴しとなす《聖徳太子絵伝四季図大屛風》(中宮寺蔵)
「春の部」

墨(すみ)を厚く塗り込めた無限の奥行を感じさせる空間を背景に、金銀泥(きんぎんでい)の描線で描かれた川の流れ。時に波頭を見せ、変化変転し流転していく時の流れのよう。

金銀泥の川と漆黒の宇宙の、時間と空間の中に浮かぶ、泡沫のような丸い円。その中の一つ一つに金泥で描かれた聖徳太子の説話(せつわ)。 桜散る赤を背景に描かれた太子誕生の瞬間。

金泥の繊細な線描は慈しむような温かさと、太子への深い尊崇の念が感じられます。

出典:リビング東京Web

濱野年宏 《聖徳太子絵伝四季図大屛風「春の部」》(cat.no.1) 2005年 中宮寺蔵

「夏の部」

黄金の満月、太子薨去の場面と、白い布で覆われた柩が悲しみにくれる人々と共に運ばれていく太子の葬儀の場面。

『日本書紀(にほんしょき)』には聖徳太子が薨去された際に「身分の高い者もそうでない者も、国中の全ての人々がことごとく年老いた者は子を失ったかのように、若い者は親を失ったかのように嘆き悲しんだ」と伝えています。

太子亡き後、ほどなく立ち上がった太子信仰により、太子の遺徳を伝える「聖徳太子絵伝」や「太子像」が盛んに作られるように。 四季おりおりの鮮やかな草花や風景に彩られた太子の遺徳が偲ばれる濱野画伯の《聖徳太子絵伝四季図大屛風》です。

出典:リビング東京Web

濱野年宏 《聖徳太子絵伝四季図大屛風「夏の部」》(cat.no.2) 2005年 中宮寺蔵

「茶室(ちゃしつ)シリーズ」茶室の美、抽象の美

心の塵やアカを落として余分なものを取り除き、磨いた鏡のように澄んだ心を取り戻す。 禅(ぜん)の瞑想で得られる境地にも似た、そぎ落とされた究極の形や色彩で描かれた「茶室シリーズ」。

単純化された直線や色面で表された茶室は、抽象絵画のようです。茶道(さどう)の本質「わび」「さび」を絵で感じさせる作品です。 《茶禅一待庵(ちゃぜんーたいあん)》に描かれた人影は、千利休(せんのりきゅう)のようにも、見る人自身の心を映した姿のようにも見えます。

出典:リビング東京Web

濱野年宏 左から《如庵変相図—中柱から躙口》 2020年、《待庵—床の間》 2020年、《茶禅一待庵》 2020年 全て個人蔵

「桂離宮(かつらりきゅう)シリーズ1、2」

創建当時の姿を残す桂離宮を描いた「桂離宮シリーズ 1」。平面と線だけで描いた「簡素に抽象化された建築美」。

「桂離宮シリーズ 2」《桂離宮—夜景》は、ほんのりと灯りがともる桂離宮の夜景。「夜闇に霞む桂離宮の灯篭や建物が心象風景のように」描かれています。 幾何学的で抽象的な「桂離宮シリーズ 1」から「桂離宮シリーズ 2」は、具象的な表現へ、新境地を開いた作品群だそうです。

出典:リビング東京Web

濱野年宏 左から《桂離宮》 2020年、《桂離宮(中書院、新御殿)》 2020年、《桂離宮(古書院、中書院、新御殿、旧役所)》 2020年 全て個人蔵

出典:リビング東京Web

濱野年宏 左側手前《桂離宮—夜景》 2021年、右側《桂離宮》 2020年、《桂離宮(中書院、新御殿)》 2020年 個人蔵

《天地創造(てんちそうぞう)》釈迦如来(しゃかにょらい)を象徴する白い蓮

四曲の和紙に屛風仕立てで描かれた《天地創造》。 右端には、生まれたばかりでしょうか、海と陸地が表れています。

中央の二曲に描かれた天地には、これから形作られる大地でしょうか、幾何学的で、抽象的な円や、円柱、方形が。 左端の一曲には金泥で描かれた舞い降りる天女と、陸に空いた裂け目から大きく白く輝くような蓮が姿を表しています。

白い蓮は、創造主であり救世主である釈迦如来を象徴しているそうです。天地創造を寿ぐように一対の鳳凰(ほうおう)が屏風の上部に舞います。 墨と岩絵の具とアクリル、色鉛筆で、青一色で描かれた大地創造神話のスペクタクルシーンに感動です。

出典:リビング東京Web

濱野年宏 《天地創造》 2019年 個人蔵

古今東西の美が共鳴する、和(ハーモニー)と慈しみの世界観を体験

《聖徳太子絵伝四季図大屛風》(中宮寺蔵)の細密な描線は、金銀泥で描かれた『法華経』や『勝鬘経』の太子ゆかりの経巻のようにも感じられます。

丸紅ギャラリー 企画展「濱野年宏 伝統と現代のハーモニー 聖徳太子絵伝四季図大屛風(中宮寺蔵)と新作」。

東洋と西洋、伝統と現代、抽象と具象を、不二一元の表現で臨んだ濱野年宏画伯の作品世界。和(ハーモニー)と慈しみの世界観に満ちた作品に出会える展覧会です。 是非お出かけください。

ミュージアムグッズ

ミュージアムグッズは、《うつるとも月もおもわず/うつすとも水もおもはぬ/桂の池》(濱野年宏 2022年)のポストカード(130円)、《茶禅―待庵》(濱野年宏 2020年)のクリアファイル(550円)を購入しました。

ポストカードは桂の池に映る月。「うつるとも月もおもわず/うつすとも水もおもはぬ」の心境に時おり心を寄せてみてもいいかもしれません。

出典:リビング東京Web

ミュージアムグッズ 丸紅ギャラリー ©Mecenat Kagawa/HAMANO Art Foundation 2023

イタリアン・レストラン VERTERRAZA

丸紅ギャラリーと同じフロアにあるイタリアン・レストラン VERTERRAZA。展覧会コラボメニュー、トリュフとポルチーニ香る茸クリームパスタ(1‚580円)、モクテル・パーシモン(580円)をいただきました。

パスタは、トリュフとポルチーニの香りとクリーミーなソースが相性よく香ばしい味。展覧会のポスターを思わせるオレンジと赤のモクテル・パーシモンは、スッキリした飲み心地。フルーツの柿も甘すぎずさっぱりした味でした。

出典:リビング東京Web

イタリアン・レストラン VERTERRAZA

営業時間:11:00~22:00(LO Food 21:00/Drink 21:30) 電話:03-6810-0350 定休日:日曜、祝日、年末年始 ※ギャラリー開催時 土曜営業 11:00~17:00

〇丸紅ギャラリー URL:https://www.marubeni.com/gallery/ 住所:東京都千代田区大手町一丁目4番2号 丸紅ビル3階 開館時間:10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで) 休館日:日曜日、祝日、年末年始、展示替期間 交通:地下鉄「竹橋駅」3a 出口より徒歩 1分(東京メトロ東西線)、地下鉄「大手町駅」C2b 出口より徒歩 6分(東京メトロ千代田線)、地下鉄「神保町駅」A9 出口より徒歩 7分(東京メトロ半蔵門線・都営地下鉄新宿線・三田線) ※駐車場なし 近隣の有料駐車場、または公共交通機関をご利用ください 入館料:一般(大学生以上):500円 ※高校生以下、障がい者とその介助者1名は無料 ※着物・浴衣など、和装でのご来館の方は無料 ※入館料は全額、社会福祉法人丸紅基金に寄付されます ※支払時:交通系IC、クレジットカード、QRコード決済などキャッシュレス決済のみ利用可能。

〇企画展「濱野年宏 伝統と現代のハーモニー 聖徳太子絵伝四季図大屛風(中宮寺蔵)と新作」 会期:2023年9月12日(火)~10月14日(土) ※参考:図録『濱野年宏 伝統と現代のハーモニー 聖徳太子絵伝四季図大屏風(中宮寺蔵)と新作』丸紅ギャラリー

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