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【これが神ワザ演技】『赤い袖先』でイ・セヨンが見せた女優魂のどこに魅せられる?

  • 2023.9.22

『赤い袖先』のチョン・ジイン監督が最初に配役を考えた際、真っ先に起用したいと思ったのがイ・セヨンだ。その選択は、まさに大成功であった。イ・セヨンは、宮女ソン・ドギムを「自立的な女性」として完璧に演じた。

この「自立」という概念には深い意味が宿っている。歴史的背景を踏まえると、ソン・ドギムは宮女の身分でありながら、イ・サンに2回も求愛された女性である。一般的な認識として、世孫(セソン)に求愛されることは、側室としての立場を迫られることだ。だが、ソン・ドギムはその申し出を断った。

彼女は「自分の意志で判断する力を持つ女性」として描写されている。これは現代の解釈として当然かもしれないが、身分制度が厳格に定められていた朝鮮王朝時代の選択としては異例だ。

しかし、『赤い袖先』においては、イ・セヨンが示す「自ら率先して考える姿勢」が、物語の中で非常に説得力を持っていた。何よりもイ・セヨンは、宮女という立場の「従順さ」のイメージを深い表現力で覆したのである。

感心するのは、彼女の視線や口元によって示される演技だ。実際、イ・セヨンの長年培われた女優としての感性は、脚本の持つ深みを一段と引き立てている。

『赤い袖先』でイ・セヨンがソン・ドギムを演じた(NBCユニバーサル・エンターテイメント/©2021MBC)
ソン・ドギムの深い情愛

『赤い袖先』でソン・ドギムは情熱的な感性を持つ女性としても描かれている。イ・サンのわがままに怒ったり優しさに身を任せたり……そうした姿には女性としての幸福を深く願う儚(はかな)さがあり、その部分をイ・セヨンは全身全霊で演じている。

特に『赤い袖先』の中で注目すべきシーンの一つに、ソン・ドギムがイ・サンに『詩経』を朗読する場面がある。イ・ドクファが演じる英祖(ヨンジョ)に叱責されたイ・サンが謹慎処分を受ける中、ふすま越しにソン・ドギムが愛読書を読み上げる。この瞬間、ソン・ドギムの深い情愛が美しく描かれている。このように、イ・セヨンはソン・ドギムを「強く、そして繊細」に演じ上げていた。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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