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「やった」より「やらなかった」の方が強く後悔するワケは?“決断”のコツを心理カウンセラーに聞く

  • 2023.9.22
「やってしまった後悔」よりも「やらなかった後悔」の方が気持ちを引きずる理由は?
「やってしまった後悔」よりも「やらなかった後悔」の方が気持ちを引きずる理由は?

「○○をやればよかった」「△△をやらなければよかった」と後悔した経験がある人は多いと思います。やってしまったことを悔やむ場合よりも、やらなかったことを悔やむ場合の方が気持ちを引きずってしまう印象がありますが、なぜなのでしょうか。また、物事を決断する際に後悔しないようにするには、どうしたらよいのでしょうか。心理カウンセラーの芙和せらさんに聞きました。

「確証バイアス」で行為を正当化

Q.「やってしまった後悔」よりも「やらなかった後悔」の方が、気持ちを引きずってしまうことが多いように感じます。その理由について、心理的な観点で教えてください。

芙和さん「人は何らかの行為をした場合、『してしまった』ことが良かったという情報のみを集め続ける『確証バイアス』が働きやすい傾向にあります。

例えば、高額な家電商品を買った場合、購入後もその商品がいかに素晴らしいものであるかという良い情報を積極的に取り入れる一方、『あの商品は使い勝手が悪い』というネガティブな情報を無意識のうちに排除する傾向にあります。そして、『やっぱり良い商品だ。買うという決断は間違っていなかった』と確信するのです。

同じように、思い切って起業したり、結婚したりした場合についても、『その決断は間違っていなかった』という情報を集めます。たとえ不本意な結果に終わったとしても、『苦労をしたおかげで他者に優しい人間に成長した』などのエピソードを集め、『あのときの決断に後悔はない』と結論付けることが多いのです。

そのため、一度後悔したとしても、『あのとき、あれをしたから今の自分がある』などと自分の行為を正当化するため、後悔を引きずることが少ないのです。

逆に『しなかった後悔』の場合、『もしあのときにああしておけば○○だったかも』の『○○』にはたいてい良い結果を当てはめて想像します。例えば、『あの人に告白していたら結婚できていたかも』『起業していたら仕事で成功していたかも』などです。

また、『しなかった後悔』というものは、周囲の誰かがある行動をした結果、結婚や仕事の成功などの幸せを獲得したのを目にしたときに湧き上がるものです。幸せそうな誰かを見て、『私もあんな風に幸せになれたかも』と思うと、うらやましさや悔しさを感じるだけでなく、本当は手に入れられたかもしれない輝かしいものを逃したという後悔につながります。

一方、『相手に告白をしたことで、手ひどく振られたかもしれない』『起業すれば、多額の借金を抱えていたかもしれない』などのように、実際に『○○した』ことによって起こったかもしれないマイナス要素は、あまり想像しません。しなかった後悔を引きずるのは、このような心理的な仕組みが原因です」

Q.後悔をしないためには、物事をどのように決断すればよいのでしょうか。

芙和さん「後悔しないためには、まず『自分が本当にやりたいこと』『自分が本当はやりたくないこと』を把握した上で、『する』『しない』を決断する癖をつけることです。後悔する人は、自分できちんと物事を決断できない人です。『○○さんがこっちの仕事の方がよいと言ったから決めたけれど、うまくいかない』『親が反対したから諦めたけれど…』などと他者のせいにしがちです。

ただ、人間は見栄を張りたくなったり、失敗を必要以上に怖れたり、あふれる情報に翻弄(ほんろう)されたりしがちなため、自分が本当に何をしたいのか、何をしたくないのかを理解するのは、案外難しいようです。また、どこかに絶対的な幸せや成功の方程式があるような錯覚に陥ることがあります。もしそういうものがあれば知りたいと思いますし、すがりたくなります。

しかし、自分にとっての成功、自分にとっての幸せがどのようなものなのかという答えは、自分の中にしかありません。金持ちになって幸せになる人もいれば、少しも幸せを感じない人がいるように、個人の価値観や感じ方によって、幸せや成功の基準は異なります。

もし見栄や情報に振り回されるのではなく、自分の本当の気持ちで決断したことであれば、結果的に成功しても失敗しても、後悔することはないでしょう」

オトナンサー編集部

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