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小津安二郎のこだわりを覗く。彼が愛したモノと仕事術

  • 2023.9.22
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小津安二郎が愛したアイテム

小津が愛したモノ

その人が愛したモノを知れば、その人の生き方が見えてくる。映画作品のみならず、人生そのものについて語られることも多い小津は、一体どのようなモノを愛で、生活の中で使用していたのだろうか。そこに隠されたエピソードから、巨匠の意外な一面を探る。

小津安二郎の愛用品 ノート
本人がそう呼んでいたわけではないので「グルメ手帖」は通称。行ったお店の地図や味の感想などが事細かに描写されており、几帳面な小津の性格を各ページから感じ取ることができる。
小津安二郎の愛用品 時計
大映製作の『浮草』を撮影した際に、同社の社長からプレゼントされた高級腕時計。小津の太い腕には似合わないと、撮影仲間からの評判はイマイチだったとか。「浮草」の刻印入り。
小津安二郎の愛用品 メガネ
鼈甲の老眼鏡は、無類の読書家としても知られる小津が読み物をする際に使用していたプライベート用。現場で台本などを読む際には、半月形の老眼鏡を愛用し、使い分けていたそうだ。
小津安二郎の愛用品 パイプ
小津がタバコ好きというのは有名な話だが、パイプやキセルも同様にたしなんでいた。蒐集癖があったため、ほかにも多数のパイプを所持。なお、メンテナンス用の道具はダンヒル。
小津安二郎の愛用品 財布
小津が最も好んだ色の一つとして赤が挙げられる。まるで女性モノのような真っ赤な財布を愛用していたというのは、なんとも象徴的な事実といえそうだ。右は小銭ケース、左は札入れ。
小津安二郎の愛用品 ピケ帽
真っ白なピケ帽は小津家に残っていた新品。ほかにも数点のピケ帽が発見されているが、未使用のものは稀少。シャツやスーツ同様、このピケ帽も一度に大量に発注していた。
小津安二郎の愛用品 靴下
スコットランド製のソックス。銀座のデパートや丸善での買い物が多かったということから、小物類まで海外ブランドのアイテムで揃えていた。カーブを描いた独特の形状。
小津安二郎の愛用品 シェービングセット
脚本の執筆を行っていた茅ヶ崎館では、毎朝、11時近くに起床して鏡の前で入念にヒゲを剃る小津の姿が確認されている。シェービングブラシも海外ブランドのものを使用し、持ち手は赤。
小津安二郎の愛用品 名刺
小津が亡くなる直前まで使用していた名刺は、表面に名前、裏面に住所のみが書かれた非常にミニマルでシンプルなデザイン。名刺入れの中には芸術院会員用の国鉄周遊券も入っている。
小津安二郎の愛用品 資生堂の絵の具
松竹の大船撮影所の近所に資生堂の鎌倉工場があったことから、現場で備品がなくなると美術担当者が工場へ買い出しに行っていたという逸話も。赤色の減りが著しいのも小津らしい。
小津安二郎の愛用品 三脚
小津映画の代名詞ともいえるローアングル撮影専用に開発された三脚。赤い色と独特の脚の形状から、通称“カニ”。使用には厳しい姿勢を強いられたため、カメラマン泣かせだったとか。

小津の仕事術

小津映画が持つ繊細で緻密な世界は、果たして、どのように構築されていったのだろうか。その手掛かりとなるのは、遺された自筆シナリオやスケッチブックの数々。そこに記された丁寧で手作り感溢れる小津の演出術には、作品を支える彼の人間性が滲み出ていた。

小津の直筆絵コンテを公開

小津安二郎の仕事術

手描きにこだわる

小津安二郎の仕事術 ラフのメモ
直筆の『お早よう』の題字ラフ。実際のタイトルバックにも、このデザインが採用されており、黒字は白字に変更する構想もメモで記されている。右上の直筆シナリオ同様、小津は空いた時間などでも常に手を動かして何かを描いていた。

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小津安二郎の仕事術 衣装の生地サンプル
小津組に衣装提供していた浦野繊維染織研究部が小津に納めていた衣装の生地サンプル。通称“衣装裂”。実際に着用した衣装の生地をまとめ、美術担当に管理を徹底させていた。ほかに、衾紙のみを切り貼りしたサンプルノートなども。

セットを造り込む

小津安二郎の仕事術 セットのラフ
俳優を入れる前にセットだけの写真を撮影すると言われたほど、セットの造りにもこだわるのが小津流。ローアングルで撮影するため、実際よりも奥行きを長く設定した廊下を造るなど、理想の構図を手に入れるための工夫も。
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