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大人が意外と忘れている「絶対値の計算の答えは?」答えは「-8」ではない?

  • 2023.10.12
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「計算は得意だ!」という方も、普段使わない計算だと忘れていることもあるのではないでしょうか。

今回は、そんな「習ったはずだけど、忘れているかもしれない計算」に挑戦してみましょう。

問題

次の計算をしなさい。
|-3|+|-5|

今回の計算の答えは-8ではないですよ。

(-3)+(-5)=-8 ですが、問題の計算はカッコに入っているわけではありません。

この縦線にはさまれた数字は何を表しているのでしょうか。

 

さて、答えは+8です。

解説

|-3|や|-5|といった縦線ではさまれた数字は「絶対値」を表しています。

|-3|は「-3の絶対値」
|-5|は「-5の絶対値」ということです。

では、「絶対値」とはなんだったか覚えていますか。

 

「絶対値は、+やーの符合を取り除いた数字」という覚え方をしている方もいるではないでしょうか。

この説明の仕方は、一見すると正しそうに見えるのですが、実は厳密性に欠ける部分があります。

正確には「絶対値は、数直線上で原点0からの距離をあらわす値」となります。

例えば「-3の絶対値」というのは、0からどれだけ離れているかの距離を表しています。

「マイナスの距離」というのは、おかしいですよね。

0と-3は、3だけ離れています。つまり-3の絶対値は3となります。(式で表すと|-3|=3)

したがって、今回の計算は次のようになります。

|-3|+|-5|
=3+5
=8

中学数学で習う、実数(整数、分数、小数など)の範囲では、確かに「絶対値は、+やーの符合を取り除いた数」として求めることができます。

しかし、高校数学以上の複雑な数式で絶対値を考えると、符号を取り除くだけでは、求めることができません。

高校数学では次のように定義されます。

|x|=x(xが0以上のとき)
|x|=-x(xが0未満のとき)

このような数式で表されると、途端に難しく感じますね。

しかし、考え方が変わったわけではありません。

絶対値とは、「数直線上で原点0からの距離をあらわす値」のこととして考えると間違えることはありません。

距離を表しているので、マイナスになることはないのです。

まとめ

絶対値の計算というのは、普段あまり見かけないので、忘れている方もいたのではないでしょうか。

|-3|と(-3)は似ているけど、実は別の記号なのでした。


文・監修:SAJIMA

日本国内外の学校、学習塾で数学・理科の講師として幼児から高校生までを指導。現在はフリーランスとして独立し、オンラインを中心に授業を展開している。子供への学習指導だけでなく、大人向けの数学講座も開講し、算数・数学の楽しさを広く伝える活動を行っている。日本数学検定協会認定「数学インストラクター」。

編集:TRILLニュース