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店の前で見かける置物は、なぜ狸なのか?

  • 2023.9.12

書き順や止め、はね、はらいを意識しながら、ひたすらノートに同じ漢字を書いていく。漢字を覚えることは、「作業」に近い。

子どもたちが漢字の学習を楽しむためには、「成り立ち」に注目してみると良いかも。面白い意味や意外な事実が見えてくる。

2023年9月8日『そんな感じで、こんな漢字になりました いきもの漢字事典』(文響社)が発売された。

本書では、子どもたちに人気の動物をテーマに、漢字の成り立ちを紹介していく。

犬、猫、牛などの小中学校で習う漢字から、熊猫、猩猩、樹懶(読める?)など難しい漢字までを取り上げ、さらにことわざや四字熟語も紹介する。

「狸」はタヌキじゃなかった?

たとえば「狸」(タヌキ)。つくりの「里」は、「田」と「土」が合わさってできた漢字で、田んぼのように筋目があることを意味していると言われている。そこにけものへんがくっついて「狸」になったのだが、実は「狸」という文字は、本来はヤマネコや中くらいのけものを指す言葉だったそう。しかしヤマネコにはめったにお目にかかれないことから、タヌキが「ヤマネコのおさがり」としてもらい受けたという。

トリビアも面白い。よくお店の前などで見かける陶器の狸の置物は、「他を抜く=タヌキ」というダジャレから、商売繁盛のシンボルになったのだそうだ。

ほかにも、次のような漢字の成り立ちが紹介されている。知らなかった!という方も多いのでは。

・犬の「ヽ」は耳だった!?
・鶏は「ひもでつながれた鳥」だった!?
・猪は「ジューシーなお肉」を表していた!?
・土竜は「モグラ」と「ミミズ」、2つの意味があった!?
・人は「支え合ってできている」わけじゃなかった!?

漢字練習は好きになれなくても、成り立ちを知ればすんなり覚えられるかも。漢字の成り立ちから、動物の生態や人間の文化、歴史までをも紐解いていく、教養がつく一冊。

<プロフィール>

■稲垣英洋さん
いながき・ひでひろ/1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院修了。雑草生態学を専門とする農学博士。農林水産省、静岡県農林技術研究所などを経て、静岡大学大学院教授。自著である『生き物の死にざま』(草思社)が10万部突破のベストセラーに。『面白くて眠れなくなる植物学』(PHP研究所)ほか多数の著書を持ち、手がけた評論文は中学入試の問題(国語)にも採用されている。

■粟生こずえさん
あおう・こずえ/東京都出身の編集者・ライター・小説家。主にマンガ紹介・児童書関連の分野で執筆・編集活動を行う。著書に「3分間サバイバル」シリーズ(あかね書房)、『3秒できめろ! ギリギリチョイス』(ポプラ社)、『そんなわけで国旗つくっちゃいました!図鑑』(主婦の友社)など多数。

■うかうかさん
北海道出身。漫画サイトsouffleにて「貼りまわれ! こいぬ」連載中。ツイッターフォロワーは10.8万人。

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