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濱口竜介監督『悪は存在しない』がヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞! 金獅子賞はエマ・ストーン主演『哀れなるものたち』

  • 2023.9.11
濱口竜介監督『悪は存在しない』がヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞! 金獅子賞はエマ・ストーン主演『哀れなるものたち』
Deadlineより

塚本晋也監督の『ほかげ』は優れたアジア映画に贈られるNETPAC賞を受賞

イタリアで開催されていた第80回ヴェネツィア国際映画祭が9日(現地時間)閉幕し、濱口竜介監督の『悪は存在しない』が最高賞に次ぐ銀獅子賞を受賞した。

銀獅子賞は審査員大賞に当たり、これまでカンヌ国際映画祭とアカデミー賞(『ドライブ・マイ・カー』)とベルリン国際映画祭(『偶然と想像』)、で受賞を重ねてきた濱口監督は、黒澤明監督以来となる三大映画祭コンペティション部門とアカデミー賞受賞という快挙を達成した。

『ドライブ・マイ・カー』の音楽を担当した石橋英子のライブパフォーマンス用の映像制作として始まった『悪は存在しない』での受賞について、審査員長のデイミアン・シャゼル監督から銀獅子のトロフィーを受け取った濱口監督は「Grazie」とイタリア語でまず感謝を述べ、「この素晴らしい賞をいただけるというふうには、この企画が始まった頃には全く考えていませんでした」と受賞スピーチで語り始めた。

「まず、音楽の石橋英子さん。発案者でもある彼女に感謝したいと思います。彼女の音楽が、私を今まで体験したことがないような仕事に導いてくれました」。そして一緒に登壇した主演の大美賀均、客席から受賞の様子を撮っていた撮影監督の北川喜雄の名を挙げ、「私たちは、最初の脚本を書く前に一緒にドライブをして、一緒に薪割りをして、この映画をどのようなものにしようかということを考えていました。なので、一緒にこの旅の……終着点ではないと思うんですが、ここまで来られて嬉しく思っています」と喜びを語った。

「そして、ここで1人1人お名前を挙げることはできませんけれども、キャスト、スタッフ全ての人たちの力があって、こんな素晴らしい賞をいただけたと思っています。審査員大賞、本当に嬉しく思っています」と締め括った。監督に促された大美賀は「一言だけ。石橋英子さん、獲りました。ありがとうございました」とトロフィーを掲げてみせた。

最高賞の金獅子賞を受賞したのはヨルゴス・ランティモス監督の『哀れなるものたち』(2024年1月26日に日本公開予定)。監督の前作『女王陛下のお気に入り』(18年)にも出演したエマ・ストーンの主演作。監督は受賞スピーチで「この映画はイザベラ・バクスターというキャラクターが中心です。このものすごい生き物はエマ・ストーンなしには存在しません。彼女もまたものすごい生き物です。この映画は、彼女なのです」とストーンを絶賛した。

最優秀監督賞の銀獅子賞は、移民問題をテーマにした『Io Capitano(原題)』のマッテオ・ガローネ監督が受賞した。同作に出演したセネガル出身のセイドゥ・サールはマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞している。

最優秀女優賞は、ソフィア・コッポラ監督がエルヴィス・プレスリーの妻プリシラを主人公に描く『Priscilla(原題)』のケイリー・スピーニー、最優秀男優賞はジェシカ・チャステイン共演の『Memory(原題)』のピーター・サースガードが受賞。

サースガードは受賞スピーチで、現在もハリウッドで続く脚本家組合と俳優組合のストライキにふれ、「私に本当に響いた問題はA.I.(人工知能)についてです。俳優が人であること、作家が人であることに、私たちは同意できると思うのですが、どうやらそうではないようです」、「物語というものを機械やその所有者である8人の億万長者」に手渡してはならないと訴えた。

最優秀脚本賞はNetflixで9月15日から配信スタートの『伯爵』のパブロ・ラライン監督とギレルモ・カルデロン、審査員特別賞はポーランド出身のアグニェシュカ・ホランド監督の『Green Border(原題)』が受賞した。

日本映画ではヴェネチア・クラシック部門では相米慎二監督の1993年の作品で田畑智子のデビュー作『お引越し』が最優秀レストア映画賞を受賞した。

オリゾンティ部門に出品された塚本晋也監督の『ほかげ』(11月25日公開)は優れたアジア映画に贈られるNETPAC賞を受賞、『悪は存在しない』は国際批評家連盟賞も受賞した。

主な受賞結果は以下の通り。

金獅子賞
『哀れなるものたち』(イギリス)

銀獅子賞(審査員大賞)
『悪は存在しない』(日本)

銀獅子賞(最優秀監督賞)
マッテオ・ガローネ監督/『Il Capitano(原題)』(イタリア、ベルギー)

ヴォルピ賞(最優秀女優賞)
ケイリー・スピーニー/『Priscilla(原題)』(アメリカ、イタリア)

ヴォルピ賞(最優秀男優賞)
ピーター・サースガード/『Memory(原題)』(メキシコ、アメリカ)

最優秀脚本賞
ギレルモ・カルデロン、パブロ・ラライン/『伯爵』(チリ)

審査員特別賞
『Green Border(英題)』(ポーランド、フランス、チェコ、ベルギー)

マルチェロ・マストロヤンニ賞
セイドゥ・サール『Io Capitano(原題)』

<オリゾンティ部門>

オリゾンティ賞(最優秀作品賞)
『Explanation for Everything(英題)』(ハンガリー)

最優秀監督賞
ミカ・グスタフソン/『Paradise is Burning(英題)』(スウェーデン、イタリア、デンマーク、フィンランド)

<ヴェネツィア賞(デビュー作品賞)>

ルイジ・デ・ラウレンティス賞
『LOVE IS A GUN(英題)』(香港、台湾)

<ヴェネツィア・クラシック賞>

最優秀レストア作品賞
『お引越し』(93年/日本)

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