結婚相談所の婚活は、お見合い後に「交際希望」をお相手から頂けることが、まずは第一関門です。この通過率がいい人と悪い人がいます。お見合いの通過率がいい人たちは、お見合いでどんなことをしているのか。結婚相談所を運営する仲人である筆者が知る“賢者”たちから学んでみましょう。
お茶代を支払う男性の心をつかむ「魔法のカード」
寺田よしみさん(41歳、仮名)は、婚活を始めて3カ月になりますが、お見合いした男性の8割から「交際希望」が来ていました。見た目は、ごく普通の女性。アイドルのような顔立ちでも、モデルのようなスタイルでもありませんでした。
それなのに、なぜお会いした男性たちから「交際希望」が来るのか。彼女が活動を始めたばかりの頃、お見合いをしたお相手男性の相談室から送られてきたメッセージで、理由が分かりました。
メッセージには、こうありました。
「本日は、お見合いありがとうございました。交際希望でお願いいたします。帰りがけにコーヒーチケットを頂いたようです。男性は、お気遣いを大変喜んでおりました」
このメッセージを読んで、私はよしみさんに、「コーヒーチケットをお渡ししたの?」と聞きました。すると、こんな答えが返ってきたのです。
「はい。お見合いに行く前に、お見合い場所になっているホテル、ティーラウンジのコーヒーの値段をネットで調べて、その値段と同じ価格くらいのカフェのコーヒーチケットを持っていくようにしているんです」
そのカフェとは、主要駅の近くに必ずある有名チェーン店。よしみさんは、続けました。
「コーヒーチケットなら、お渡ししてもお相手さまも荷物にならないし、ポケットやバッグにも簡単にしまえると思ったので」
結婚相談所では、お見合いのお茶代は男性が支払うのが暗黙の了解事項です。そのお礼にクッキーやチョコレートなどの小さなお菓子を持参する人はいますが、「荷物にならないように」という配慮が、お菓子よりも一歩進んだ気遣いを感じました。
「あ、でも、先日の男性はお見合いを終えたときに、『お支払いはどうしたらいいですか?』とお尋ねしたら、『では、1000円ください』とおっしゃったので、その方には、チケットはお渡ししませんでした(笑)。チケットのいいところは、そこで渡さなくても次のお見合いに使えるんです」
何とも“賢者”の答えでした。
お見合いのお茶代を男性に払っていただいていると、女性たちはだんだんと「男性が払って当然」と思うようになります。そうなると、レジでお支払いしている男性の後ろをすまし顔で通り過ぎ、先に店を出て男性が出てくるのを待っている。そして「ごちそうさま」も言わずに、「今日はありがとうございました」と言って、その場を去っていくのです。これでは男性から「交際希望」を頂けるはずがありません。
最近の女性たちの傾向として、「家事や育児はサポートでなく分担」を希望する人が多くなっています。「お手伝いではなく、半分は担ってください」ということです。分担を希望するのは、「結婚後も独身のときと変わらずにフルタイムで働きたい」と思っている人たちです。
現代は女性の社会進出が進み、男女平等がうたわれている時代です。
「お見合いのお茶代、デート代は男性が支払って当然」という考えは、本来なら時代錯誤なのですが、まだまだ「払える男性がかっこいい」という感覚が残っています。だから、割り勘にする男性の評価は低くなるし、割り勘にされたら、女性たちは目を釣り上げて怒るのです。
そんな中で、よしみさんのように、お見合いを終えた後に「今日はありがとうございました」とコーヒーチケットを手渡す女性に、男性も心をグッと心をつかまれてしまうのではないでしょうか。
お見合いを終え、男性の心を捉えた言葉
三田しょうじさん(36歳、仮名)は、金融機関に勤める年収900万円の男性。見た目も痩せ形で清潔感があり、お見合いは組めるのですが、そこから結婚に向かえる女性になかなか出会えずにいました。
「ここまでうまくいかないのは、僕自身に何か問題があるのかもしれません。1人で生きていく覚悟を決めた方がいいのかな」
そんな弱気なことを言っていました。ところが、3カ月前にお見合いした山本はるみさん(34歳、仮名)と、仮交際から真剣交際に入り、とうとう結婚を決めたのです。
成婚退会をしていくときに、しょうじさんは、こんなことを言っていました。
「これまでのお見合いは、終えたときに、交際希望を出したいと思った女性には『今日はありがとうございました。こちらは今後のことを前向きに考えています』とか、『またお会いできればうれしいです』とか前向きな言葉を言っていたんですね。みんな反応が薄かったんですが、はるみさんは、『ありがとうございます。私も前向きに考えています』と笑顔で言ってくれて。今でもそれが印象に残っています」
「今日お見合いしたお相手は、感じがよかった」「交際したい」と思ったときには、お見合いを終えて別れ際に、前向きな言葉を伝えると、交際につながる確率も高くなります。
女性も受け身でいるだけでなく、別れ際に、男性に「またぜひお会いしたいです」「今度、お食事をご一緒させてください」とアピールしたら、男性は「あ、交際希望を出してくれるんだな」と女性側の気持ちをくみ取ってくれます。
別れ際に伝える「またお会いしたい」という前向きなメッセージは、とても大切です。
お見合いの会話がスムーズに進むテクニック
山口さとえさん(35歳、仮名)も、お見合いの通過率がとてもいい女性です。私の相談所の男性会員である太田ともゆきさん(37歳、同)とお見合いしたのですが、お見合いを終えてともゆきさんが、真っ先に交際希望を伝えながら言いました。
「すごく感じのいい女性でしたよ。僕の話を、終始笑顔でうなずきながら聞いてくれていました。あと、僕が話した話題を拾って、その次の質問をしてくれたので、話がどんどん広がっていったんです」
なるほど。さとえさんは、一つの話題にまずは共感し、そこから関連した質問を投げていく、「フォローアップクエスチョン」のテクニックを知っていたのでしょう。
フォローアップクエスチョンというのは、次のような会話術です。
女性「趣味は何ですか?」
男性「スポーツ観戦、特に野球観戦が好きです」
女性「野球観戦ですか。好きなチームはどこですか?」
男性「広島カープです」
女性「赤い軍団ですね。私、野球はあまり詳しくないんですけど、たくさんある球団の中で、カープがごひいきになったのには、何か理由があるんですか?」
こんな具合に、相手が言ったことにまずは共感し、その話を掘り下げる質問をしていくのです。
こうすると、質問が一問一答形式にならないで済むので、会話が滑らかにつながっていきます。優秀な営業マンや会話上手の人は、必ずこのテクニックを使っています。
婚活ではどんな人がモテるのか?
婚活していく上で大切なことは、「感じのいい人でいよう」と常に心がけることです。「この人はタイプではない」「交際希望は出さない」と思っても、笑顔でお見合いをする。その心がけが、良縁を呼び込むのです。
「お見合いをした人全てから交際希望をもらう」「婚活パーティーに出たら、参加者全てに名前を書いてもらう」…そんな気概で臨むことが大切です。
「この人は、タイプではないし、適当にお見合いすればいいや」「パーティーに参加したけど、今日は誰もいい人がいないから、ひたすら時間が過ぎるのを待とう」。こういうタイプの人は、本命が現れたときに、実力を発揮することができません。
例えば、普段は好きなだけ食べて運動もしない、体づくりに手を抜いていた人が、明日水着を着ることになったからといって、急に食事制限や筋トレをしたところで、筋肉はつきませんよね。体はブヨブヨのままです。
人にモテることも同じ。モテる人というのは、自分の関心がない異性に対しても笑顔で接して、好感を持ってもらえる雰囲気、会話術を身に付けています。モテは1日にしてならず。“モテ筋肉”をつける努力をしてくださいね。
仲人・ライター 鎌田れい