1. トップ
  2. 『美術手帖』デイヴィッド・ホックニー特集 現代最高の画家を読み解く

『美術手帖』デイヴィッド・ホックニー特集 現代最高の画家を読み解く

  • 2023.9.9

2023年9月7日に発売された『美術手帖』10月号(美術出版社)の特集は、「デイヴィッド・ホックニー」。現代最高の画家のひとりとされるデイヴィッド・ホックニーさんの人生と作品の秘密について、豊富な図版と読み応えのあるコラムとともに探っている。

「見る」ことから始まる作家

ホックニーさんは、1937年イギリス生まれのアーティスト。絵画、ドローイング、版画、写真、舞台芸術などの分野を横断しながら、60年代より半世紀以上にわたり現代美術の第一線で作品を発表し続けている。

その作品の多くは、身の回りにある人物、静物、自然などがモチーフになっていて、その制作は、まずそれらを真摯に、そして徹底的に「見る」ことから始まっているとされる。その視覚の豊かさを起点にした、描写力に優れた絵画空間は、世代や人種を超えて世界中の多くの人々を魅了してきた。

本特集では、作家自身の言葉・代表作を通観する作品制作年代記・関係者のインタビュー・論考から、その人生、独自の視覚論と制作論、そして作品に潜む思想に迫っている。

27年ぶり展覧会も開催中

また、日本では、7月15日から11月5日にかけて、東京都現代美術館にて27年ぶりとなる「デイヴィッド・ホックニー展」が開催されている。特集を読んでから訪れると、より理解の深い鑑賞ができるかもしれない。

このほか、一宮市三岸節子記念美術館(愛知)でこれまでの歩みを展覧する個展を開催した安藤正子さんのロングインタビュー、近年日本のアートシーンで見られるマンガ的な描写で女性を描くペインティングの存在について、江口寿史さんとKYNEさんへの考察をもとに、新たな見通しをつくることを試みる塚田優さんの論考も掲載されている。

【目次】
デイヴィッド・ホックニー
「見るを愛した画家の人生」
《ノルマンディーの12か月》
画業人生で語った、その言葉
CHLONOLOGY
1937~2023 ホックニーの人生と作品制作年代記 内田伸一=構成
COLUMN
初期作品における「様式の折衷」を可能にする条件とは? 桝田倫広=文
日光浴をする人 クリス・スティーヴンス=文 中野勉=翻訳
デイヴィッド・ホックニーの写真──フォトコラージュ/キュビスム/記憶の保存修復 石川卓磨=文
龍安寺庭園を変換する──ホックニーのフォトコラージュ 山内朋樹=文
レンズ、画像をキーワードに絵画の歴史を再検証する 中島水緒=文
ヨークシャー丘陵 ヘレン・リトル=文 中野勉=翻訳
REPORT
ロンドンでデイヴィッド・ホックニーを歩く 齋木優城=文
iPad絵画は(写真のように)「素朴な絵画」に奉仕するのか gnck=文
INTERVIEW
大竹伸朗が語るホックニー 成相肇=聞き手
マーティン・ゲイフォード/マルコ・リヴィングストン 國上直子=聞き手
ESSAY
人間的次元 マルコ・リヴィングストン=文 中野勉=翻訳
展覧会情報
ARTIST IN FOCUS
冨井大裕 勝俣涼=取材・文
ルビー・ネリ 山本浩貴=取材・文
ケニー・シャーフ 松下徹=取材・文
ローレン・クイン ネトルトン太郎=取材・文
WORLD REPORT
New York/Manchester/Völklingen/Los Angeles
ARTIST INTERVIEW
安藤正子 中村史子=聞き手
PAPERS
KYNEと江口寿史──あるいはゾンビ・ポップの予感 塚田優=文
REVIEWS
「ここに根をはる ─津波のあとの植物たちとその環境」展 椹木野衣=文
「幽霊の道具」展 清水穣=文

元記事で読む
の記事をもっとみる