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週末はアートな1日を! 今月観たい展覧会4選。

  • 2023.9.9
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アートが導く、フラットな共有のための言語。

『あ、共感とかじゃなくて。』

社会生活の中で「コミュ力」が問われ、時に安易で過剰な「共感」の暴力が心を悩ませる現代。本展では作品を通して見知らぬ人、見えない存在について考え、理解しようとする5人の作家を紹介する。引きこもり経験をもとに隠れた同胞たちと同じ月を見ることで「個」の存在を確かめようとする渡辺篤、立ちはだかる壁の両側で光と音の刺激により、能動的・受動的に他者の存在を察知させる中島伽耶子など、彼らの表現には「フラットな共有」のための詩的な言語が導き出されている。人間関係とアイデンティティ確立の過程で歪みを感じる10代の若い世代にとって、異質な他者の事情を想像し、新しい視点を手に入れ、対話のチャンスを育むきっかけになりそうだ。

『あ、共感とかじゃなくて。』開催中〜11/5会場:東京都現代美術館(東京・木場)営)10:00〜17:30最終入場休)月、9/19、10/10※ 9/18、10/9 は開館料)一般¥1,300●問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)www.mot-art-museum.jp/exhibitions/empathy

物質的に破壊される世界を巡る洞察と予見。

『終3』

アーティスト、建築家、映像作家として世界的に知られるチリ出身のアルフレド・ジャー。社会的不公正のリサーチにより情報の闇を暴き、人道的な洞察を通して現実の周縁に光を当ててきた。文化や政治の危機的状況を表現する学際的プロジェクトが評価され、第11回ヒロシマ賞を受賞。その記念展と併せて開催される本展の3つの章(ヒューマニティ、写真、世界の終焉)は、世界が物質的に破壊されていく予見に導かれている。史上初めて広島爆心地付近のドローン空撮を許可され、近代政治史をも鳥瞰する原爆の「目」となった写真作品、人新世における地球資源の収奪を巡る世界初公開の新作彫刻、さらに盟友の写真家・森山大道とのコラボレーションが初公開される。

『終3』開催中〜9/30会場:SCAI PIRAMIDE(東京・六本木)営)12:00〜18:00最終入場休)日、祝、月〜水、8/19入場無料●問い合わせ先:tel:03-6447-4817www.scaithebathhouse.com

「磁器」の儚さが象徴する現代社会の空虚さ。

『劉建華(リュウ・ジェンホァ) 中空を注ぐ』

磁器発祥の地、景徳鎮で育ち、磁器工房での職人時代を経て彫刻を学んだ劉建華(リュウ・ジェンホァ)の国内初の個展。劉は、日用品としての「磁器」の用途や形を解体し、中国の経済や社会の変化とそれに伴う問題をテーマに、立体作品やインスタレーションを制作してきた。本展ではメインの展示室に、ペットボトルや靴などの日用品を磁器で制作した『遺棄』(2001年-15年)を展示。さらに古代から仏教文化において、舎利を納めた、仏教の精神の象徴である塔の空洞のかたちに注視した最新作『塔器』を展示している。劉の創作活動の原点である「磁器」によって、日常生活の儚さを示し、現代社会の廃墟にも見える一連の作品を通して空虚さに満ちた現代を語ろうとする。

『劉建華(リュウ・ジェンホァ) 中空を注ぐ』会期:開催中〜11/19会場:十和田市現代美術館(青森・十和田)営)9:00〜16:30最終入場休)月※月曜が祝日の場合、翌火曜が休館※その他の休館⽇、臨時開館⽇などの情報はwebサイトにて要確認料)一般¥1,800●問い合わせ先:tel:0176-20-1127www.towadaartcenter.com

光の特性と輝きに魅了されたアーティストたち。

『テート美術館展光̶ ターナー、印象派から現代へ』

英国テート美術館のコレクションから「光」をテーマに作品を厳選し、18世紀末から約200年におよぶ独創の軌跡に注目する本展。「光の画家」ターナーや風景画の名手コンスタブルなど英国近代美術史を彩る画家の創作。モネをはじめとする印象派画家による光の描写の追求。モホイ=ナジの映像作品やバウハウスの写真家による光を使った実験。さらにライリー以降の現代作家がもたらす視覚体験まで。光の特性とその輝きに魅了された、異なる時代・地域のアーティストたちの作品を相互に呼応させる展示構成が見どころだ。なかでも日本では初出品となるジェームズ・タレル、オラファー・エリアソンの光を用いた大型インスタレーションは特に時間をかけて体感したい。

『テート美術館展 光 ̶ ターナー、印象派から現代へ』会期:開催中〜10/2会場:国立新美術館 企画展示室2E(東京・六本木)営)10:00〜17:30最終入場※金曜、土曜19:30最終入場休)火料)一般¥2,200●問い合わせ先:050-5541-8600(ハローダイヤル)tate2023.exhn.jp

*「フィガロジャポン」2023年10月号より抜粋

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