【俳優・杉野遥亮さんインタビュー】今の時代だからこそ、この作品を届ける意味がある

レディたちが気になる「彼」の本音に迫る『#いま彼を知りたい』。今回は、デビュー以来話題作への出演が続き、今クールのドラマ「ばらかもん」でゴールデン・プライム帯連続ドラマ初主演となった俳優・杉野遥亮さんのインタビューをお届け。クールで端正なルックスとは裏腹に、心にはじんわりとあたたかい熱を持つ。言葉ひとつひとつが自然体でまっすぐで嘘がない、〝アツい男〟の今に迫ります。

掲載：美人百花2023年8月号「#いま彼を知りたい」

人と人とのふれあい、五島列島の映像美でみなさんに癒しを届けたい

――放送中の主演ドラマ『ばらかもん』で杉野さんが演じるのは、書道だけを支えに孤高に生きてきた都会育ちの若き2世書道家、半田清舟。都会育ちの清舟が、自然豊かな五島列島で出会った島民たちとの交流を通じ、書道家としても人間としても成長していく過程を描いたハートフル〝島〟コメディーだ。

「東京にいると、『人と話しているのになんだか話している気がしない』、そんなふうに感じることがあるんです。今では、面と向かって本音を言わなくてもSNSで愚痴を言えたりするじゃないですか。ネットでなんでも調べられる便利さの半面、たくさんの情報に追われて疲れてしまったり、ポジティブなことが見つけにくくなってしまっている人も多いんじゃないかなって思うんです。このドラマに出てくる五島列島で暮らす人たちは、隣の人との心の距離がすごく近くて、本音で話すのが当たり前。僕が生きている都会とは全く違う世界で生きているんです。なんてことない暮らしを描いたストーリーの中に『人のあたたかさってこういうことなのかな』って気づかされる感動がちりばめられていて、胸を打たれます。五島列島の壮大な自然の映像美も素晴らしい。本当にいい作品に出合えたなって思います」

――実際に演じていく中で、杉野さん自身、清舟と重なる部分を見つけることもあった。

「ひとつのことにのめりこむ感じとか、似ています。都会から田舎に行って、自由奔放な島民たちとの人づき合いや、慣れない1人暮らしに翻弄されるという設定も、僕自身東京暮らしに慣れているぶん、すっと入っていけました。頑固なのに素直だったり、意外と子供っぽいところも共感できます。役作りのために書道を習ったんですけど、大筆で書く書道は、パフォーマンスであり繊細な芸術。俳優という職業も芸術を生業にしてるじゃないですか。そういうわかりあえる部分は、ちゃんと表現して伝えていきたいです。不器用だけど毎日一生懸命生きている清舟は、どこまでもまっすぐだから魅力的に映るんです。こんな素敵な役を演じられてうれしいです」

――本作品がゴールデン・プライム帯連続ドラマ初主演。最初はプレッシャーを感じる部分もあったそう。

「もともと番手などをあまり気にするタイプではないんですが、主演というプレッシャーはやはりありました。でも、この作品を通して想像していた以上に本当にたくさんの人と関わらせてもらうなかで、みなさん1人1人から『この作品をいいものにしよう！』って思いがひしひしと伝わってきて……その気合いに背中を押されて、不安は楽しみに少しずつ変わりつつあります。幅広い視聴者の方に見てもらえる時間帯だからこそ、みんなのエネルギーになるようなものを伝えられたらうれしいです。五島列島の方言、ばらかもんは元気者という意味。タイトルのとおり、このドラマで日本を元気にできたらいいなと思いますし、週の真ん中の水曜日の夜、このドラマでみなさんに癒しを届けられたらいいなと思っています」

――こちらの質問に対し、淡々と、しかしその端正なルックスからは想像できない熱を持った言葉で答える。その表情こそ涼やかだが、出てくる言葉ひとつひとつからは、自分が演じることの意味、作品を作ることの重みを、しっかりと毎日噛み締めている充実を感じた。

次に長いオフが取れたら、生活に自然を取り入れてみたい

――前回ソロで美人百花に出演してくれたのは昨年の4月。その時は自分の部屋を整えることにハマっていると言っていたけれど、そのブームは今も続いている?

「いや、真逆で今は完全にアウトドアな気分です。五島列島でのロケ生活で改めて実感したのですが、僕、自然が必要なタイプだったんです。次に長いオフが取れたら、生活に自然を取り入れてみたい。今興味があるのがダイビングで免許も取りたいなって思っているんですけど、ダイビングを始めるってなると、あれこれ機材をそろえたり、わりと大掛かりじゃないですか。だからまずは、一緒に行ってくれる友だちを見つけるところからですね(笑)」

――作品について語っていたときとは一変、はにかみつつも、チャーミングな笑顔がのぞく。

「五島列島での撮影期間に鬼岳(五島のシンボル的な全芝生の山)に登ったんですけど、山頂でおじいちゃんとおばあちゃんが仲良くピクニックしていたんです。ふと小川を通りかかったら、釣りをしている人がいたり、島の人たちは自然と共存していたんです。とろけるような五島牛やソウルフードの五島うどんもおいしかったなぁ。ちょっと前にSDGs関連のお仕事をさせていただいたこともあって、五島列島という素晴らしい自然に囲まれた土地にすごく感銘を受けたし、思うこともいっぱいありました。僕、いろんなことを並行してやるのが得意なタイプじゃないって、最近気づいちゃったんです。ライフスタイルをもっと自分らしく整えていきたいですし、エネルギーをためて、ひとつひとつの作品にもっと丁寧に向き合っていきたいと思っています」

――しっかりと今の自分を捉え、既に心は次の作品へ向いている。すがすがしいくらい真面目な人だ。そんな杉野さんに、今素敵だと感じる女性像について聞くと、彼らしい端的で説得力抜群の答えが返ってきた。

「精神的に自立している女性でしょうか。日々がんばって生きているのがこちら側にも伝わってくる人。転んだとき、ちゃんと自分の力で立ち上がれる人。そんな人に色気を感じます」

Profile

杉野遥亮（すぎのようすけ）

1995年9月18日生まれ。2017年『キセキ -あの人のソビト-』で俳優デビュー以来、数々のドラマ、映画に出演。2021年、『恋です！〜ヤンキー君と白杖ガール〜』がスマッシュヒット。『どうする家康』『罠の戦争』に続き、今年3作目となる連続ドラマ『ばらかもん』ではゴールデン・プライム帯初主演を果たす。

Information

『ばらかもん』

日本一美しい海を擁するとも言われる五島列島を舞台に、書道だけを支えに孤高に生きて来た都会育ちの青年書道家が、島民たちとの交流を通じ、書道家として、そして人間としても成長していくハートフル〝島〟コメディー。

出演:杉野遥亮、宮崎莉里沙、中尾明慶、遠藤憲一他

毎週水曜22:00〜フジテレビ系にて放送中

撮影/中村完(f-me)スタイリング/KAWASAKITAKAFUMIヘアメイク/HORI取材・文/井関さやか 再構成/美人百花.com編集部