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メタバースで生きづらさ抱える若者の「居場所」を 福岡県がclusterで

  • 2023.8.31
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「おいでよ きもちかたりあう広場」の風景 (c)cluster,Inc
「おいでよ きもちかたりあう広場」の風景 (c)cluster,Inc(J-CASTトレンド)

福岡県は、メタバース空間「おいでよ きもちかたりあう広場」を2023年8月22日に設立した。孤独感や生きづらさを抱える若者向けの空間だ。参加者はアバターの姿で自身の思いを語り、他者と共有。孤独感の緩和や、精神的な安定につなげていく。毎週1回、19時~21時にオープンする。

対象は、福岡県が実施するSNS相談窓口「きもち よりそうライン@ふくおかけん」の利用者。こちらは自殺予防を目的として「LINE」を通して悩み相談ができる。県の8月22日付発表によると、「不登校やひきこもり対策に限定せず、孤独感や生きづらさを抱える人を対象とするメタバースを活用した取組は全国初」だ。

アバター姿で自己開示しやすく

「おいでよ きもちかたりあう広場」は国内のメタバースプラットフォームとして有名な「cluster」上にオープン。クラスター社(東京都品川区)と、上述の「きもち よりそうライン@ふくおかけん」を運営するエースチャイルド(東京都港区)が協力して開発した。エースチャイルドでは、SNSを使った相談サービスやLINEによる学校連絡システムを手がける。

クラスター社の22日付発表によると、オンライン上では実際の自分の姿より「アバター」を用いたコミュニケーションの方が自己開示の精神的ハードルが下がる傾向にある。自殺を考えるほどの孤独感や、居場所がないとの思いを感じる若者が、ワールドに参加して自分の思いを吐き出し、同じ思いを持つ人の存在を知る。このようにして孤独の解消や、生きる意欲を取り戻すのを目的としている。

「きもちかたりあう広場」を運営しているエースチャイルド代表取締役・西谷雅史氏に取材し、記者は実際にワールドに入った。青空や芝生、花畑が広がる牧歌的な空間だ。各所には画像を表示できるスクリーンを設置しており、レクリエーションに用いる。

レクリエーションの内容は

先述通り、もともと福岡県では「きもち よりそうライン@ふくおかけん」を提供。その取り組みの延長として、メタバースという空間で「居場所を作る」プロジェクトを実施することになったという。

メタバースを作りにあたって、アニメ調アバターを使ったやわらかい雰囲気や、スマートフォンでも入れる利便性の確保を重視。また音声でのコミュニケーションだと参加ハードルが高いと考え、テキストチャットだけでも話せるという機能面を考慮し、clusterを選んだ。

開催日は、23年8月、10月、12月、24年2月の毎週火曜日。そして23年9月、11月、24年1月、3月の毎週金曜日だ。このようなスケジュールは、利用者が「開催日と塾に通う日がかぶってしまっている」場合などを想定しているためだ。いずれかのタイミングで参加しやすいよう、奇数月と偶数月で実施日をずらしていると語った。

レクリエーションの内容として、クイズ大会のほか、例えばスクリーンにイラストを表示し、「この絵を見て思ったこと」「この人はこの後何をする?」など、感じたことを自由に話せるような企画を実施しているという。

「きもちかたりあう広場」は福岡県が対象エリアだが、今後ほかの自治体ともメタバースを使った取り組みは行うのか。西谷氏に聞くと、「相談自体は寄せられており、今後実現する可能性はある」と語った。

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