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話題作『マイ・エレメント』ピーター・ソーン監督が映画に込めた思いとは?【sweetムービーインタビュー】

  • 2023.8.29

『マイ・エレメント』監督Peter Sohnピーター・ソーン

ピクサー・アニメーション・スタジオの最新作『マイ・エレメント』が公開中です。4大元素が暮らすエレメント・シティを舞台に、火の女のコと水の青年が出会い、恋に落ちる……けど、お互いに全く正反対の性格と特質で、惹かれ合うのに触れることすらできない……、という物語。

めちゃくちゃ心が温まるハートフル・ラブコメディなんですが、深読みすると現代社会の問題を解決する方法が。

じつはこの作品の監督、ピーター・ソーンさんは、アメリカ生まれアメリカ育ちだけど、ご両親が韓国からの移民。学校や家の外では完全にアメリカ人として生活してたけど、家族のもとでは韓国の文化としきたり。

そのダブルスタンダードで育ったからこそ見えてきた「他者と尊重し合うことで、さらに高まる〜!」ってことを、『ロミオとジュリエット』的なラブストーリーに落とし込んだんです。

「火の女のコのエンバーはすごく家族思いで優しいんだけど、怒りっぽくって自分でも怒りのコントロールが難しい。

水の青年のウェイドは、彼女とは正反対にめちゃくちゃ大らかで、それこそ水のようにどんなこでも受け入れて溶け込もうとするんだけど、泣き上戸。こんな2人を描くことで、自分が経験した既存社会と移民文化の融合が浮き彫りになるんじゃないかと思ったんです。

ただ、元素をキャラクター化するのは、ものすごいチャレンジでしたよ。なんせ、元素ですから(笑)」

このキャラクターのデザインはめちゃくちゃ苦労したそう。動いているところを見るとすぐに分かるんだけど、そもそもキャラクターを形どる枠線がないの。

「風や土といった元素はなんとなくイメージしやすいと思いますが、火と水はキャラクターにするのが難しいですね。

たとえば、エンバーが怒るときは炎がとても大きくなるし、悲しんでいるときはキャンドルの灯火のように小さくなります。彼女が愛を感じているとき、炎はどうなるでしょう?

また、ウェイドも混乱しているときには頭の中で泡がぐるぐるしたり……。正反対の人達が惹かれ合うという土台のコンセプトをもとにして、僕達は誰が観ても感情的に映る新しい表現を作り上げていきました。これによってみんな共感してくれると思うんですよ」

Peter Sohn 1977年、NY生まれ。ワーナー・ブラザース映画やディズニーのTV部門に務めた後、2000年ピクサー入社。『ファインディング・ニモ』(03)、『Mr.インクレディブル』(04)などを手がけた後、『アーロと少年』(15)で監督デビュー。

『マイ・エレメント』
story:元素達が暮らすエレメント・シティ。家族思いだけどちょっと怒りっぽいエンバーは、火の街から出ることなく、父の営む店の後継者としての修業中。ある日、ひょんなことから彼女とは正反対の性格の水の青年ウェイドと知り合い……。
監督:ピーター・ソーン/声の出演:リア・ルイス、ママドゥ・アティエ、キャサリン・オハラ、川口春奈、玉森裕太 ほか/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン/公開:現在、全国ロードショー中

©2023 Disney/Pixar. All Rights Reserved.


■プロフィールよしひろまさみち

『スウィート』のカルチャーページでもおなじみの映画ライター・編集者。日本テレビ系『スッキリ』ではレギュラーで映画紹介を務める。

text_MASAMICHI YOSHIHIRO
web edit_RIRIKA MIURA[SWEETWEB]
※記事の内容はsweet2023年9月号のものになります
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