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【人気花】秋色アジサイとはどんなアジサイ? 秋色に変わる仕組みや育て方のコツを解説!

  • 2023.8.28

梅雨時期に花の見頃を迎え、日本に馴染み深い花木「アジサイ」。近年は、みずみずしく開花した時期から経過して、落ち着いたアンティークカラーに染まる「秋色アジサイ」が、切り花やドライフラワーなどとしても人気です。この記事では、他の植物にはない上品な色合いが魅力の秋色アジサイとはどのようなアジサイかの説明から、育てる際のポイントやおすすめの品種などについても詳しく解説します。

秋色アジサイとは

アジサイ
Evtushkova Olga/Shutterstock.com

秋色アジサイというのは、じつは特定の品種名のことではありません。まずはどんなアジサイを秋色アジサイと呼ぶのかについて、詳しく解説します。

そもそもどのようなアジサイ?
秋色アジサイ
jan j. photography/Shutterstock.com

秋色アジサイとは、特定の品種や種類ではなく、初夏に咲いたアジサイの花色が季節の移り変わりとともに変化し、秋頃にアンティークカラーに変色したものを指します。

アンティークカラーに変わった際の色味は、もとの花の色味や品種によって異なります。さらに近年は、きれいな秋色になるように改良された品種も出てきています。

秋色アジサイは秋頃に「秋色紫陽花」や「アンティークアジサイ」といった名前で流通したり、出回るのが早い品種は、母の日のギフト商品として「秋色アジサイになる品種」と説明が添えられて店頭に並んだり、通販やネットなどで販売されたりしています。切り花として飾るほか、リースやスワッグの材料などとしても人気。また、秋色アジサイは、アジサイのドライフラワーのことを指す場合もあります。

アジサイがアンティークカラーに変化する仕組み
秋色アジサイ
Sandra Burm/Shutterstock.com

アジサイがアンティークカラーになるまで長く咲いていられる理由は、花のつくりにあります。

アジサイの花には両性花と装飾花の2種類があります。装飾花は一般にアジサイの花に見える部分で、花びらに見える部分は葉が変形した萼(がく)片と呼ばれる部分です。装飾花は種子をつけません。一方、両性花は花房の中心にある地味な小さな花で、種子は両性花にしかつきません。

萼片は両性花が終わったあとも長く残り、老化現象によって萼片に含まれる色素が変化して色が変わっていきます。夏から秋になるにつれ、次第に本来の鮮やかな色から緑に変化し、秋色アジサイへと変化します。

秋色アジサイは自分で作れる?
アジサイ
Benzstock/Shutterstock.com

アジサイは自然に散ることがないので、剪定しなければ次第に花色が変わっていきます。

ただし、美しいアンティークカラーになるには日照や水分量の調整が必要なため難しく、うまくいかずに枯れることもあります。

花が咲いた後は明るい日陰で強い風にさらされない場所で管理し、ゆっくり退色させる必要があります。一般的なアジサイの品種をきれいな秋色にするのは地域や環境により実現が難しい場合もあるので、秋色アジサイ向けに改良された品種を育てるのも一つの方法です。

秋色アジサイの育て方のポイント5つ

アジサイ
VH-studio/Shutterstock.com

秋色アジサイは基本的に一般的なアジサイと同じ育て方ですが、花後は管理の仕方を変える必要があります。

ここでは秋色アジサイの育て方について詳しく解説します。

1.栽培環境
アジサイ
Galina Grebenyuk/Shutterstock.com

秋色アジサイは地植えにするよりも、鉢植えで管理して花後に最適な環境に移動させるのがおすすめです。夏の強い直射日光や雨、風にあたると色がきれいに変わりにくいため、環境に応じて移動させやすい鉢植えで管理するとよいでしょう。暑さから避けるために室内や温室、ガーデンハウスの中に移動する場合は、窓越しの強い光にも注意が必要です。

地植えする場合は、初夏に日当たりがよすぎる場所は避け、明るめの半日陰ぐらいになるところに植え付けましょう。

2.水やり・肥料
水やり
New Africa/Shutterstock.com

アジサイはたくさんの水を必要とします。

鉢植えの場合は鉢の土の表面が乾いたら、底穴から流れるまでたっぷり水やりしましょう。花や葉に水がかかるだけで用土にまで水が届かないことがあるので、与える場所に注意しながら、土全体が湿るようにたっぷり与えます。水切れしないよう注意することも大切です。冬は落葉して枝だけになり、枯れたような見た目になりますが、根は生きているので回数を減らして水やりをする必要があります。

地植えの場合は鉢植えほど水切れに気を使う必要はありませんが、雨に当たると花色が変わりにくくなるので注意しましょう。

施肥については、通常のアジサイは2月頃の寒肥と花後のお礼肥が必要です。ただし、肥料の成分は花の色に影響を与えるため、花が咲いている間は肥料を避けるようにしましょう。

秋色アジサイでは花が終わる頃に液体肥料を与えるとよいでしょう。寒肥は3月上旬頃に緩効性肥料を与えるのがおすすめです。

3.剪定のタイミング
剪定
Natallia Ustsinava/Shutterstock.com

アジサイは、通常は翌年の花のために7月半ばまでには剪定します。秋以降に剪定してしまうと翌年の花芽までカットされてしまうため、次の年に花が咲かない恐れがあります。

秋色アジサイの場合は、剪定の時期に工夫が必要です。秋頃にアンティークカラーになる品種は、すべての花を株に残したまま秋色にして楽しんでから剪定する場合、剪定時期を逃してしまうため来年の花を諦める必要があります。

来年も花を楽しみたい場合は、半分は剪定して切り花やドライフラワーにし、もう半分を残して秋色にして楽しむなどするとよいでしょう。

4.花後の管理
アジサイ
Ludmila Kapustkina/Shutterstock.com

秋色アジサイを鉢植えにして家の中で観賞していた場合、花後は戸外に出す必要があります。

アジサイは日本の気候に向いていて、屋外の環境がちょうどよい植物です。9月下旬以降に気温が下がったのを感じて花芽をつくる性質があるため、室内に取り込んだままでは花芽が形成されない可能性があります。

次のシーズンの花のために、観賞後は戸外に出して寒さに当てることが大切です。

5.秋色にするための注意点
秋色アジサイ
Darya_Ostrenko/Shutterstock.com

きれいな秋色を作るには、花が咲いてからは強い日光や強風、雨にあてないようにします。さらに日陰で育てるほうが、色がきれいに変化しやすいです。秋色に変化する期間は、品種や管理場所によって異なります。

秋色アジサイ向きの品種

秋色アジサイ
ChopChopa/Shutterstock.com

一般的な品種のアジサイをきれいな秋色に変化させるのはなかなか難しいので、秋色が出やすいように改良された品種を選ぶのもおすすめです。

ここでは、秋色アジサイにするのに向いている品種をいくつかご紹介します。

西安(シーアン)
アジサイ西安(シーアン)
Blik Sergey/Shutterstock.com

西安はきれいな秋色に変化するように作られた代表的な品種で人気も高いです。

原産地は北アメリカで、セイヨウアジサイの仲間です。最初はグリーンから始まり、紫、ピンク、青、薄紫、スモーキーなグリーンへと徐々に色が変化します。花はてまり状に詰まって咲き、大株になってもしっかり直立するのが特徴です。

マジカルシリーズ
アジサイ マジカルシリーズ
S.O.E/Shutterstock.com

元はオランダで切り花用に育種されたシリーズです。

茎が丈夫なので地植えもできます。‘西安’をすこし小さくしたような雰囲気です。咲き始めは淡いブルーやピンクがまじりあったグラデ―ションで、徐々に秋色へと変化します。

花は2~3カ月楽しめます。色の発色はやや渋めで、はっきりした青やピンクにはならないのが特徴です。

プリンセスシャーロット
アジサイ プリンセスシャーロット
MaCross-Photography/Shutterstock.com

‘プリンセスシャーロット’は手まり咲きで八重花、花弁の中心に近づくほど色が濃くなるグラデーションが美しいアジサイで、ガクがしっかりしているので変色する過程を楽しみやすいです。

雄しべがないのが特徴で、花粉を落とさないため室内を汚さないのも魅力です。コンパクトで花を多くつけるように改良された品種もあります。

四季咲きの性質があり、切り戻しをすると2度目の花が楽しめるのも特徴です。

フェアリーアイ
アジサイ フェアリーアイ
Jerry Lin/Shutterstock.com

‘フェアリーアイ’は、日本フラワーオブザイヤーで最優秀賞の受賞歴がある品種です。

花の形と色の両方の変化が楽しめる画期的な品種で、ガクアジサイの形からてまり咲きへと変わります。ピンクやブルーの花色が夏には黄緑色へ、秋には黄緑から赤へと変わるのが特徴です。

秋色アジサイの楽しみ方

秋色アジサイ
Drexie/Shutterstock.com

秋色アジサイは鉢植えなどで育てて観賞するだけでなく、切り花やドライフラワーにして室内にそのまま飾ったり、リースやクラフトの素材として楽しむこともできます。

ここからは秋色アジサイを楽しむ方法について、項目ごとにコツややり方をご紹介します。

切り花で飾るコツ
アジサイ
lezia_melo/Shutterstock.com

秋色アジサイの切り花をフレッシュな状態で飾りたいときは、茎の先端をそぐように斜めにカットし、茎内部の白いふわふわした部分をこそげとってから花瓶などに活けます。深めの水に活けることで、長く楽しむことができます。

1本を花瓶に入れるだけで十分な存在感があり、簡単に切り花をおしゃれに楽しめます。小さく小分けにしてあちこちに飾るのもおすすめです。

リースを作る方法
秋色アジサイのリース
Bankiras/Shutterstock.com

秋色アジサイは水分が抜けた後でも花の形をキープしているため、リースの素材にも向いています。ただし、秋色アジサイに向いていない一般的な紫陽花は枯れるとくしゃくしゃになるので間違えないように注意が必要です。

秋色アジサイのリースを作る手順をご紹介します。

必要な材料および道具

  • 秋色アジサイ 花房2~3つ
  • つる または リース土台
  • ワイヤー
  • ラフィア または リボン (吊り下げ用)
  • 花ばさみ
  • ワイヤー用ニッパー

1.つるを丸め、ワイヤーで留めてリースの土台を作ります。市販のリース土台を使用しても構いません。この時に吊り下げ用の輪をラフィアやリボンなどで作ってリースの上側に結びつけます。

2.秋色アジサイの花を花房ごとにカットして、ちょうどよいサイズのかたまりに切り分けたら、細めのワイヤーで根元を束ねます。ワイヤーより下にある茎をカットし、巻きつけたワイヤーは長いままにしておきます。

3.色や形のバランスを見ながら、リースの土台に2で作った紫陽花のパーツのワイヤーを巻きつけて配置します。切ったワイヤーの端はリース土台の内側に入れ込むと怪我しにくくなり安心です。

ドライフラワーを作る方法
アジサイのドライフラワー
nika-lit/Shutterstock.com

育てているアジサイをドライフラワーにする場合は、咲き始めのタイミングではなく、花びら(萼片)に厚みが出てきた頃が適しています。秋になると湿度が下がり、また秋色アジサイは梅雨の頃よりも茎や花の中の水分が減っていることから、より短時間で乾燥させることができてきれいなドライフラワーになりやすいので、秋色アジサイはドライフラワー作りにぴったりです。

アジサイを収穫する時間帯は朝か夕方がおすすめです。収穫したアジサイを束ね、風通しがよく日の当たらない場所に花を下方に向けて吊るしておくと、1週間ほどでドライフラワーになります。室内では扇風機やエアコンの風が当たる場所などに置き、空気を循環させるとよいでしょう。

少量の水に活け、徐々に水分を抜いて作る方法もあります。下に向けないため、ふんわりしたフォルムがキープしやすいです。

また、花首の下2cmほどでカットしてドライフラワー用シリカゲルを敷いた密閉容器に入れ、シリカゲルをかけて埋めるようにして乾燥させる方法もあります。

仕上がったドライフラワーはそのまま飾ったり、スワッグにして部屋の壁に飾るのもおすすめです。アロマワックスバーやキャンドルに埋め込む素材としてもよく選ばれています。

秋色アジサイで他の植物にはないグラデーションの花を観賞しよう

アジサイ
Elena Rostunova/Shutterstock.com

このように、秋色アジサイは咲いてから月日が経ちアンティークカラーに変化したアジサイのことを呼びます。落ち着いた色合いがシックな雰囲気で、インテリアにも馴染みやすい秋色アジサイは、育てるだけではなくドライフラワーやリース、クラフトに活用するなど楽しむ範囲が広いアジサイです。

秋色になりやすく改良されたアジサイの品種もさまざまなものが流通していますので、ぜひお気に入りの秋色アジサイを育ててみてはいかがでしょうか?

Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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