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アーティスト・荒神明香さんが大切にしている、心の本。『ウォールデン 森で生きる』

  • 2023.8.25
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出典 andpremium.jp

意味から逃れようとする自分を勇気づける。

俗世から離れ、森の中で自給自足の暮らしを実践した思想家、ソロー。質素な生活を送るなかで彼は自身の守り神からお告げのようなこの言葉を聞きます。雷鳴が鳴り響くとき、人は安全な納屋や荷車に逃げ込みたくなりますが、一番危険でリスクの高い雷雲の下に「行け」と。その言葉を読み、私は〝意味〞というものから「逃げろ」と言われた気がしました。誰しも生活に追われていると、意味に囚われてそれ以外のことが見えなくなることがある。だけどふと訪れる、ただそこにいるだけで世界を感じるような、言葉にも価値にもならない瞬間にこそ、大切なものがあると信じ、アートを続けています。意味と無意味の間で、迷いや不安や孤独に苛まれたとき、この言葉が背中をポンと押してくれるのです。

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『ウォールデン 森で生きる』 著 ヘンリー・D・ソロー 訳 酒本雅之 (ちくま学芸文庫)

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荒神明香 Haruka Kojin
アーティスト。1983年広島県生まれ。東京藝術大学大学院修了。南川憲二、増井宏文とともに現代アートチーム「目[mé]」を結成し、国内外で作品を発表。『さいたま国際芸術祭2023』のディレクターに就任。

 

illustration : Shapre text:Mariko Uramoto edit : Wakako Miyake

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