1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 睡蓮(スイレン)ってどんな花? 特徴や育て方をご紹介!

睡蓮(スイレン)ってどんな花? 特徴や育て方をご紹介!

  • 2023.8.22
  • 2426 views

涼しげな雰囲気が美しい睡蓮は、熱帯から温帯の広い範囲に生息しています。水面に浮かぶ円形の葉と白やピンクの花が神秘的で人気が高い植物で、家庭で育てて楽しむのもおすすめです。この記事では、睡蓮の見た目についての特徴から、育てる上での注意点、香る品種や開花時間が異なる品種などについても詳しくご紹介します。

睡蓮とは?

睡蓮
Mazur Travel/Shutterstock.com

睡蓮はスイレン科スイレン属(Nymphaea属)の植物の総称です。スイレン属の学名である「Nymphaea」は水の精のnymph(ニンフ)に由来しています。水に浮かぶ涼しげな姿が美しい水生植物で、5月中旬~10月にかけて開花します。

睡蓮の見た目の特徴

睡蓮
Praew stock/Shutterstock.com

睡蓮は、その見た目の特徴から人々に愛される植物です。睡蓮の葉は円形で、切れ込みがあり、ツヤがあります。また、睡蓮の花は水面上に咲き、花托がなく、細長い花びらが特徴です。睡蓮はハスに似ていますが、睡蓮とハスは違う仲間の植物です。睡蓮の葉が水面に浮かぶのに対し、ハスの葉は水面の上に出て展開します。

睡蓮の花言葉と由来

睡蓮
Andrew Kotura/Shutterstock.com

睡蓮には、色によって異なる花言葉があります。例えば、「清純な心」「純情」「甘美」「優しさ」「信頼」などがあります。また、睡蓮は古代エジプトにおいて太陽のシンボルとされていたため、「信仰」も花言葉の一つです。

さらに、ギリシャ神話に由来して「滅亡」も花言葉として挙げられます。

学名の由来にもなっているニンフはプリアポスからの言い寄りから逃れるために、水場に入って睡蓮に姿を変えたと言われています。

睡蓮になったニンフは、しばしばギリシャ神話やヨーロッパの伝説で水場に人を引き込む魔物のように描かれることがあります。ヘラクレスの愛人であるヒュラスが水を汲みに水場に近づいた際に、ヒュラスを気に入ったニンフが彼を水場に引き込んでしまいました。

近づいた人に死をもたらすイメージから「滅亡」の花言葉が付けられたのかもしれませんね。

睡蓮とハスの違いは?

ハス
睡蓮によく似たハス。Janon Stock/Shutterstock.com

睡蓮とハスは、過去には同じスイレン科に分類されていましたが、遺伝子解析や花粉構造の研究により、ハスはハス科に分類されるようになりました。

レンコンを作るのはハスであり、睡蓮は球根を持ちます。

見た目に分かりやすい見分け方としては、睡蓮の葉は艶やかで切れ込みがある円形ですが、ハスには切れ込みがありません。さらに、ハスには浮き葉(水面上にある葉)と立ち葉(水面の上まで伸びて生えている葉)がありますが、睡蓮は浮き葉のみです。

睡蓮の咲く時期と見頃

睡蓮
cristalvi/Shutterstock.com

睡蓮は、温帯性睡蓮と熱帯性睡蓮があり、それぞれ開花時期が異なります。温帯性睡蓮の開花時期は5月から10月までで、熱帯性睡蓮の開花時期は7月から10月までです。

どちらも含めると、睡蓮の見頃は6月から9月までとされています。

また、睡蓮の植え付け時期は3月から7月中旬までです。

睡蓮には温帯性と熱帯性の2種類がある

睡蓮
Praew stock/Shutterstock.com

前の段落でも少し触れましたが、睡蓮は温帯性と熱帯性に分けられます。

ここではそれぞれの睡蓮について詳しくご紹介します。

温帯性睡蓮
温帯性睡蓮
Alex Manders/Shutterstock.com

温帯睡蓮は、世界の温帯地域に生息しており、越冬が可能です。また、温帯睡蓮は熱帯性睡蓮よりも花形が豊富なのが特徴です。花は昼咲き性で、昼過ぎには閉じます。印象派の画家、クロード・モネが愛し、「睡蓮」というタイトルで何枚もの連作を残したものは、主に温帯睡蓮だといわれています。

熱帯性睡蓮
熱帯スイレン
icemanphotos/Shutterstock.com

熱帯性睡蓮は、主に熱帯アフリカに生息しており、南米、オーストラリア、熱帯アジアなどの地域にも分布しています。熱帯性睡蓮は水温が15℃を下回ると枯れてしまうので、育てる際は加温をするなど注意が必要です。青や紫などのブルー系がある、多彩な花色が特徴です。

代表的な睡蓮の品種

睡蓮
Dark_Side/Shutterstock.com

睡蓮には非常にさまざまな色や花形、芳香があるものや夜咲く品種があります。

ここでは代表的な睡蓮の品種について、種類ごとにご紹介します。

ティナ
睡蓮‘ティナ’
Angelina Kuhnert/Shutterstock.com

ティナ(Nymphaea ‘Tina’)は、熱帯性睡蓮の一つです。紫色の大きく美しい花を咲かせ、人気の高い品種です。繁殖力が高いのも特徴です。

ブルーロータス
睡蓮‘ブルーロータス’
Natalie magic/Shutterstock.com

ブルーロータス(Nymphaea nouchali var. caerulea)は、熱帯性睡蓮の一種で、青い花を咲かせることで知られています。ブルーロータスは春から7月頃に咲きます。

ヨザキスイレン
ヨザキスイレン
guentermanaus/Shutterstock.com

ヨザキスイレン(別名エジプトスイレン)は、熱帯性睡蓮の一種で、花径が15〜25cmの大きな白い花を咲かせます。花は夜19時頃に咲きはじめ、朝9時になると閉じ、これを4〜5日繰り返すという個性的な特徴があります。また、ヨザキスイレンは1月から3月にかけてよく咲きます。濃厚で甘いフローラルな香りもあり、「ロータスアブソリュート」などの名がついたアロマオイルにもなっています。

ヒツジグサ
ヒツジグサ
Kristine Rad/Shutterstock.com

ヒツジグサは日本に唯一自生するスイレン属の植物で、日本全国に分布しています。冷涼な気候を好み、6月から11月頃にかけて花径が3~4cmの小さな花を咲かせます。

ヒツジグサという名前は、羊の刻(午後2時)頃に花を咲かせることからつけられたという説もありますが、実際にヒツジグサが開花するのはだいたい朝10時頃です。

まだまだある! 美しい睡蓮の品種
熱帯睡蓮‘ペンシルベニア’
熱帯睡蓮‘ムラサキシキブ’
熱帯睡蓮‘ホワイトパール’
熱帯睡蓮‘アルバート・グリーンバーグ’Photo/Simon Groewe/Shutterstock.com
熱帯睡蓮‘レッドフレア’ Photo/pzAxe/Shutterstock.com
温帯睡蓮‘アーカンシェル’ Photo/Victoria Tucholka/Shutterstock.com
温帯睡蓮‘ジェームズ・ブライドン’ Photo/Elena Rostunova/Shutterstock.com
温帯睡蓮‘ピーチ・グロウ’ Photo/Wanvimol Songthamwat/Shutterstock.com
温帯睡蓮‘ダーウィン’ Photo/eZeePics/Shutterstock.com
温帯睡蓮‘オールモスト・ブラック’ Photo/Yury Petukhov/Shutterstock.com

睡蓮を家で育てるなら

美しい花が魅力的な睡蓮は、ご自宅でも育てて楽しむことができます。

ここからは睡蓮を家で育てるコツについて解説します。

睡蓮鉢と内鉢を用意
睡蓮栽培
Bowonpat Sakaew/Shutterstock.com

睡蓮を育てるには、睡蓮を植え付ける内鉢と、水をためる睡蓮鉢が必要です。

睡蓮鉢は、鉢底の空いていない円形で口径が広いものが一般的です。睡蓮は根の張りが強いため、プラスチックなどではなく、丈夫な陶器製の鉢がおすすめです。2つの鉢のサイズを合わせて購入するようにしましょう。水鉢の大きさは、品種や株の大きさによっても異なりますが、口径30cm以上、水面から土までの深さが10cm以上になるものがよいでしょう。

品種選び
睡蓮栽培
Peace-loving/Shutterstock.com

睡蓮の品種選びには、いくつかのポイントがあります。まず、種類によって葉のサイズや花のサイズが異なるため、鉢の大きさを踏まえて検討する必要があります。

また、種類によって開花時期や開花する時間も異なるため、自分の生活に合った睡蓮を選ぶと良いでしょう。

土選び
睡蓮栽培
Ratthaphong Ekariyasap/Shutterstock.com

睡蓮は肥沃で粘り気の強い土を好みます。腐葉土を底に敷き、赤玉土の小粒を水で練って植えこむか、用意できる場合は田んぼの土を使って植えこみます。

植え付けの方法
睡蓮栽培
Asrul Hazri/Shutterstock.com

睡蓮の植え付け時期は3月から7月までです。

植え付ける際には、内鉢に用土を入れ、苗を植え付けます。その際、土をしっかり固めて水に浮かないようにすることが重要です。

次に、水を入れた睡蓮鉢に内鉢を沈めます。用土の表面から水面の高さは5~20cmとなるよう、睡蓮の品種に合わせて調節します。

水やり
睡蓮栽培
Prasanthsartgallery/Shutterstock.com

睡蓮は水中で生育するので、こまめに水やりをする必要はありませんが、夏の開花時などは水が減りやすいので、水切れを起こさないように水を足すようにしましょう。

置き場所と管理

睡蓮を植え付けたら、日当たりのよい場所に置いて管理します。特に熱帯睡蓮の場合は生育に適した水温が25℃以上と高く、15℃を下回ると生育が鈍るので、日当たりのよい暖かい場所で育てましょう。花がらや黄色くなった葉はこまめに取り除き、水が汚れないようにしましょう。また、たまに鉢の水の1/3~1/2程度を溢れさせながら入れ替えるエアレーションをすると、空気を含んだ新鮮な水を鉢内に送り込むことができます。

スイレンを栽培する場合、ボウフラなどの発生を予防するために、一緒にメダカを飼うのもおすすめ。水鉢の中を小さなメダカが動き回っているのを見るのは可愛らしいものです。ただし、水温上昇や農薬に気をつけるなど、メダカの生育にも適した環境を必ず用意してあげましょう。

冬越し
睡蓮

熱帯睡蓮と温帯睡蓮では耐寒性の強さが違うため、冬越しの方法も異なります。温帯睡蓮は耐寒性が強く、水面が凍る程度なら耐えられるので、屋外での冬越しもOK。株が凍りつかないように深めの水位で管理します。3~4月頃に掘り起こして新しい土に植え替えましょう。一方熱帯睡蓮は、冬は室内に取り込んだほうが無難。水温が5℃を下回らないように注意し、温度変化の少ない場所で管理します。休眠中は日光を必要としないため、発泡スチロールなどの容器に入れて蓋をしてしまうのも一手。熱帯魚用の水槽ヒーターなどがある場合は、加温して休眠させずに育ててもよいでしょう。

睡蓮を家で栽培してみよう

睡蓮
Elena Elisseeva/Shutterstock.com

水辺に幻想的な雰囲気を作り出す睡蓮は、品種もさまざまで選ぶ楽しみもあります。メダカなどを飼育するビオトープに植えても涼しげな風景を作ることができます。

水やりなどの手間も少なく手軽に栽培できるので、ぜひご自宅で睡蓮の栽培にチャレンジしてはいかがでしょうか。

Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

元記事で読む
の記事をもっとみる