1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 世界からお届け!SDGs通信ウェリントン編。新たに来る難民を、元難民がサポート

世界からお届け!SDGs通信ウェリントン編。新たに来る難民を、元難民がサポート

  • 2023.8.20
世界からお届け!SDGs通信ウェリントン編。新たに来る難民を、元難民がサポート

難民が抱える辛い経験を理解する、元難民だからこその手厚いサポート

ニュージーランド政府の難民再定住プログラムは、平たく言うとうまく進んでいない。難民が経済的困難を経験する事態も発生し、それが彼らの出身国での辛い経験の上にさらにのしかかる。難民支援団体〈NFACT〉は、そんな難民のメンタル面のサポートに重きを置いている。

団体の構成員は元難民。新たに来る難民を母国語で助け、文化を理解し、精神的負担の軽減に努める。難民支援団体ではあまり見られないカウンセリングスタッフも、2人常駐している。

一般的な定住のためのサポートはもちろん、家族内のストレスを減らし、レジリエンスを身につけるプログラムや、若い世代がニュージーランドでポテンシャルを最大限発揮できるよう工夫されたイベントの開催。さらには難民同士が悩みを打ち明けたり、学んだことを共有したりするためのコミュニティグループの設立など、元難民ならではの視点を生かしたサポートを展開している。

〈NFACT〉のクリエイティブ部門では、難民の中でも特に弱い立場にある女性向けに、マイクロ・エンタープライズ(零細企業)を始めるための指導を行う。出身国で身につけた手工芸などのスキルを用いた製品を制作・販売し、利益を得て独り立ちできるところまで支援する。

今年4月末の〈NFACT〉ローンチには、元難民で現議員ノゴルリーズ・ガーラーマン氏(右から2番目)も参加。
今年4月末の〈NFACT〉ローンチには、元難民で現議員のゴルリーズ・ガーラーマン氏(右から2番目)も参加。©New Settlers Family and Community Trust - NFACT
オークランドで開かれたイベント、「ワールド・オブ・カルチャー」に出店。難民たちの出身国の手工芸品が目を引いた
オークランドで開かれたイベント、「ワールド・オブ・カルチャー」に出店。難民たちの出身国の手工芸品が目を引いた。©New Settlers Family and Community Trust – NFACT
世界的に活躍する、NZ人シェフ、ピーター・ゴードンに料理を習う。
世界的に活躍する、NZ人シェフ、ピーター・ゴードンに料理を習う。©Peter Gordon
気候変動による異常気象が続く中、緊急事態への備えを学ぶ。自然災害が発生した際の対応策を知っておくことは、英語が母国語ではない難民にとって大切だ
気候変動による異常気象が続く中、緊急事態への備えを学ぶ。自然災害が発生した際の対応策を知っておくことは、英語が母国語ではない難民にとって大切だ。©New Settlers Family and Community Trust – NFACT

Information

New Settlers Family and Community Trust – NFACT

今年4月にローンチされた、難民を対象にしたサポートを行う慈善団体。元難民が新たに来た難民の支援を行うのが特徴で、特にメンタル面でのサポートを重視している。各難民の文化・言葉を尊重しながらも、ニュージーランドでの生活に適応できるよう、地域に根差した支援を行う。

HP:https://www.nfact.co.nz/

profile

クローディアー真理

くろーでぃあー・まり/NZ在住フリーライター。国内外の環境、社会的企業、先住民、ジェンダーなどに関する記事を日本の雑誌やウェブに寄稿。共著に『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社)。

HP:http://nzwriter.web.fc2.com/

元記事で読む
の記事をもっとみる