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エアコンで「節電」&「快適」を両立するには?コツ&注意点を専門家に聞いてみた

  • 2023.8.19
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エアコンの使用時に節電するには?
エアコンの使用時に節電するには?

まだまだ厳しい暑さが続くため、昼夜問わずエアコンが欠かせません。近年は光熱費が高騰しているため、エアコンの使用時はできるだけ節電をしたいところですが、どうすれば電気代を抑えつつ、部屋を効率的に冷やすことができるのでしょうか。

エアコンの適切な設定温度や使用時の注意点などについて、家電の延長保証の修理精査業務などを手掛ける、テックマークジャパン(東京都墨田区)業務部クレームチームのチーフで、総合家電エンジニアの本多宏行さんに聞きました。

エアコンのリモコン設定温度は23~25度を目安に

Q.エアコンの稼働時に節電する方法として、「エアコンの設定温度を28度にするのがよい」という話をよく聞きますが、本当なのでしょうか。

本多さん「環境省は、夏季にエアコンを使用する際は、『室温を28度』に保つよう推奨しています。これは、『エアコンの設定温度を28度に調節』ではないため、注意してください。エアコンの設定温度を28度に調節してしまうと、室内がなかなか冷えないため、熱中症の危険性があります。

室温を28度に保つには、エアコンの設定温度を23~25度に調節するとよいでしょう。ただし、建物の気密性や日当たりの具合、室内の人数などにより、適切な設定温度が異なる場合があるため、室内に温度計を設置すると便利です。

注意点ですが、環境省が推奨する室温28度は、あくまで二酸化炭素を減らすための設定であり、節電を最優先した温度ではありません。しかし、室温28度を維持すると、予想以上に不快感はないと思います」

Q.では、エアコンの使用時に節電するには、どうしたらよいのでしょうか。注意点について、教えてください。

本多さん「屋外温度と室内温度の差が大きければ大きいほど、エアコンの稼働時に大きな電力を必要とします。帰宅直後に室内が暑い場合、窓を開けたり、扇風機を使ったりするなどして、室内の熱気を減らしてからエアコンを稼働するのをお勧めします。

効率よく室内を冷やすためには、エアコンと一緒に扇風機やサーキュレーターを使うと良いでしょう。扇風機やサーキュレーターの風を利用して室内の空気を循環させることで、エアコンからの冷気を均一に届けることができます。冷気が部屋の隅々まで行き渡れば、暑さも和らぐと思いますので、エアコンの設定温度を必要以上に下げずに済み、結果的に節電につながります。

注意点ですが、扇風機やサーキュレーターは、『ブラシレスDCモーター』を搭載した製品を使うことです。このタイプの製品であれば、消費電力はエアコンの10分の1ほどで済みます」

Q.エアコンの風量や風向きを変えた場合、節電につながるのでしょうか。それとも、あまり効果がないのでしょうか。

本多さん「エアコンの風量は自分で調節するのではなく自動運転、いわゆる『オート機能』をフル活用しましょう。このオート機能こそ、メーカー各社が自社の技術力を結集させている節電機能です。自分で『強』『中』『弱』を調節するよりも、断然、節電効果に特化しています。

また、エアコンから出された冷たい空気は、室内の床付近にたまっていきます。そのため、風向きは天井に対して水平あるいは水平より若干上向きにすることで冷たい空気が上から下へと循環するため、節電の効率は上がります」

Q.エアコンの中には、自動でフィルターを掃除する機能を備えた製品もありますが、その場合、フィルターの掃除は不要なのでしょうか。

本多さん「自動フィルター掃除機能が付いているエアコンであっても、必ずフィルターをお手入れしてください。エアコンの自動フィルター掃除機能は、乾燥したほこりやごみには有効ですが、油や水分を含んだほこりやごみには効果を発揮しません。

例えば、『室内で焼き肉をした』『エアコンの近くで、整髪料を使うことが多い』といった場合、フィルターに油分などが固着して目詰まり状態に陥ります。

フィルターにほこりやごみが詰まった状態でエアコンを稼働させると、冷暖房機能が低下するため、必要以上に電気代がかかってしまいます。そこで、2週間に1回の頻度でフィルターをお手入れすると、節電効果が大きく向上します。製品の取扱説明書を確認した上で、正しい方法でお手入れしましょう。

見落としがちなのは、室外機です。室外機周辺に自転車や植木などを置いてはいないでしょうか。室外機周辺に物を置くと、周辺の空気を効率よく吸い込むことができなくなるため、冷暖房機能が低下します。室外機周辺は物を置かず、定期的に掃除をしてきれいにしましょう。すだれなどを使い、室外機に日陰をつくるのも節電に有効です」

Q.30分から1時間程度外出する場合、エアコンをつけっ放しにしても問題ないのでしょうか。それとも、外出前に電源を切るべきなのでしょうか。

本多さん「エアコンは稼働直後に多くの電力を必要とします。また、エアコンの電源を切ってから30分ほどで室温がみるみるうちに上がることも検証されています。そのため、1時間以内の外出であれば、エアコンをつけたまま外出した方が電気代の節約につながるでしょう。一方、1時間以上外出する場合は、自宅を出る前にエアコンの電源を切った方が良いと思います」

冷房と除湿の違いは?

Q.エアコンの除湿モードで室内を冷やす人もいるようです。そもそも冷房と除湿は何が違うのでしょうか。節電の目的で、エアコンの除湿モードを使ってもよいのでしょうか。

本多さん「冷房機能は室内の温度を下げるための機能です。冷房は、室内の空気中に含まれる水分を屋外へ排出しているため、同時に除湿の機能も果たしていますが、最優先されるのは、室内の温度を下げることです。

現在、市場で出回っているエアコンには、2種類の除湿機能があります。従来から採用されている除湿機能は『弱冷房除湿』という方式で、その名の通り、冷房能力よりも除湿能力が勝ります。室内の湿度が下がると体感温度も下がるので、涼しく感じるかもしれませんが、あくまで最優先されるのは室内の湿度を下げることです。

一方、室内の温度を下げずに、湿度だけを下げることのできる除湿機能は、『再熱除湿』という方式です。エアコン室内機へ運んだ湿った空気を冷やして除湿するまでは弱冷房除湿と変わりませんが、除湿の後に室外機の排熱の一部を利用し、適温に暖めるため、カラッとした快適な空気を室内へ送ることができます。

弱冷房除湿方式は消費電力が少なくて済みますが、室内の温度まで下げてしまうため、肌寒い梅雨の時期には適していないかもしれません。一方、肌寒い梅雨時期でも室温を下げることなく、しっかり除湿できる再熱除湿方式は就寝時などにも重宝されるかもしれませんが、エアコン内部で空気を暖め直すための電力を必要とするため、弱冷房除湿方式よりも電気代が上がる傾向にあります。

弱冷房除湿方式運転は、冷房運転よりも電気代が安く済むケースもありますが、冷房よりも室内が冷えません。そのため、真夏の時期、特に日中の時間帯を弱冷房除湿方式運転だけでしのぐのは危険です。真夏の日中などは冷房運転を活用すべきだと考えます」

エアコンの使用時に「暑い」「電気代が高い」と感じた場合は、エアコンの設定温度や風向きのほか、フィルターの汚れや室外機周辺の状態を見直すとよいかもしれません。

オトナンサー編集部

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