現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、交際歴3年の彼がいる23歳女性。いつものように、仕事帰りに彼の家へ向かったが…。三松先生が、女性が相手から別れを告げられる原因のひとつを教えてくれます!
蘭(23歳)彼の家の玄関でプーン。これって、ふられるパターン?
【レスなひとびと】vol. 213
じめじめとして暑い日の、帰宅ラッシュの電車内。
(はあー。冷房ってサイコー! 今日はがんばったし、最寄りのスーパーでお惣菜とビール買っていっちゃお)
蘭は、IT系の会社でソフトウェアの営業をする23歳。ほどよい疲れを抱えつつ、彼の家に向かい中だ。
彼氏の健太とは、お付き合い歴3年目。大学のテニスサークルで出会って、だんだんと恋に発展。社会人になってからは家の合鍵をくれて、順調に交際を続けている。
(ピンポーン)
「おつかれっ!」
ドアが開いて、笑顔の健太が現れた。
「ごめん、手がいっぱいで鍵あけられなくて。はい、ビールとお惣菜買ってきたよー。飲も飲も」
そう言って靴を脱いだとたん、健太の笑顔が固まった。蘭をジッと見つめ、なにやら言葉を失っている。
「ど、どうしたの…?」
蘭は健太の反応に戸惑いつつ、ふっとあることに気づいた。
(げげっ、なんか足元から、賞味期限切れ納豆みたいなニオイがする!? く、く、くさい)
顔は真っ赤、頭は真っ白。長く付き合ってきたけど、こんなことって今までなかったぞ。まさに地獄絵図。
「ご、ごめん! なんか…クサいよね…」
そう言って、うずくまり、言葉を詰まらせながら謝る蘭。
しばらく無言の健太を、おそるおそる見上げる。目が合って、健太が顔をゆがめて笑い出した。
「いや、蘭も足とか、クサくなるんだなって思ってさ」
「え、ちょ、どういう」
「ほら、シャワー浴びておいでよ」
「うん」
健太が笑ってくれて、気まずい状況はなんとか和らいでいったけど。恥ずかしい気持ちは消えないまま、シャワーを浴びる。足の指の間をソープでゴシゴシこする。足の臭いってどっから湧き出るんだろう。そして部屋へ。
冷えたビールとお惣菜、そして“謎の粉”が出してあった。
「これ、おれのニオイケアグッズ」
「え、そうなんだ」
蘭は、今までニオイケアグッズなんて、高校生の頃から使ってる、汗拭きシートや制汗スプレーくらいしか知らなかった。
「引越しのバイトしてたときに、先輩から教えてもらって。靴にいれると臭わなくなる粉。ストックあるから蘭にもやるよ」
「ありがと」
「でも、蘭でもクサくなるとか、かわいいよ。それだけ、1日汗かいてがんばってるってことだよな」
そう言って、頭を撫でてくれた。
「恥ずかしよ。臭い女なんて。穴があったら入りたいよ」
そういって、体育座りをした膝に、顔をうずめる蘭を、健太はぎゅぅっと抱きしめる。
「大丈夫、大丈夫。年取ったら、もっと恥ずかしいこと絶対あるって。おれのお尻、蘭に拭いてもらうことになるかもしれないし」
「もう、なにそれ」
顔をあげて笑う蘭に、キスが降ってくる。本当に、そのくらいの歳になっても、そばにいられたらなと思う蘭だった。
【三松さんからのコメント】
健太さん、ムッチャいい彼氏さんじゃないですか! 気まずくなるような事態に、瞬間でそれを笑いとばせちゃうユーモアがあるってステキです。彼女に恥をかかせないようさりげなく機転を利かせる頭の良さ。
ニオイケア、意外と疎い女性がいるのですよ。足もそうですが、脇やフェムゾーンも。夏になると、ツンとすえたニオイがしてる人、電車や混んでいるスーパーのレジなどで遭遇しませんか。
「わたしは大丈夫」と思っていても、体質やライフスタイルが変化して、急にニオイが倍増することもあります。ストレスも大敵。月経や行為もニオイにかかわってきます。
ちょっとクサいけど、まぁいいやとフタをして、それでパートナーとの関係が悪化してしまったらもったいないですよね。ニオイケアは汗かく部位にあらかじめ塗っておくものや、フェムゾーン専用ミストなど、いろいろあるので試してね。
もちろん、過敏になりすぎる必要はなし。ただ、パートナーがみんな健太さんみたいな対応をしてくれるとは限りません。
彼女のフェムゾーンを触ると3日間くらい爪から臭うというお話も聞いたなあ。彼らは彼女と別れています。
言いづらいから伝えずに、別の理由でそっと別れを告げるなんてケースも。よって相手への思いやりとして、ニオイには気を遣いましょう。
ニオイを気にせず思いっきり開放的になれるボディを意識すると、モテ度もあがります。
「少々臭うほうが燃える」というメンズもいますが、だいたいは臭いレスを求めています。女性もそうでしょ!
「フェムケア必須の清潔時代になりました。フットとフェムの“2F地帯”はケアしてニオイレス彼女をめざそう」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。
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文・三松真由美