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「投資詐欺にあったら」すべき3つのこと!弁護士インタビュー最終回【連載】

  • 2023.8.15
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残念ながら投資詐欺に引っかかってしまったとき、私たちはどのように対処すればいいのでしょうか?詐欺案件に詳しい「詐欺撲滅弁護士」の杉山雅浩弁護士に、詐欺にあってしまったときの対処方法について教えてもらいました。

■ 警察と弁護士に相談を。ただ警察を動かすのは難しい

──もし詐欺にあってしまったら、どうすればいいのでしょうか?

まず警察に行って、詐欺にあったことを話して、その後に弁護士に相談するのがいいと思います。警察にだけ行けばいいと思われるかもしれませんが、詐欺事件で警察に動いてもらうのはなかなか難しいんです。

──警察に動いてもらうのが難しい理由はなんですか?

警察が事件にするには、起きた被害について「明らかに詐欺だ」とか、「明らかに金融商品取引法違反だ」とかの証明が必要だからです。これを「疎明」といって、訴訟法上、確信とまではいかないものの、一応「確からしい」という推測ができる程度の証拠が必要なんです。それがないと警察は事件にできないんですね。

特に詐欺を事件化するのは、個人ではちょっと難しい。「ハードルが高い」と思います。なぜなら、ある程度の証拠を揃えた上で、「ダマす気があった」ということも証明しないとダメだからです。

この点、強盗や窃盗(のように犯罪行為が明白な場合)とは違うわけです。

──詐欺師に「犯意」があったかどうかが、刑事事件になるかどうかのポイントなんですね。刑事事件ではなく、民事事件で解決、つまり民事裁判は起こせないのでしょうか。

詐欺事件では民事訴訟で勝っても、詐欺師にダマしとられたお金を回収できるかどうか分からない場合が多いんです。なので、なるべく早めに「刑事告発」できるように進めるのがいいと思います。

たとえば詐欺師が財産を海外に移転したり、海外に逃亡したりすると、民事訴訟だけでは対応できなくなってしまいますし。

■ 少しでも被害を減らすために

──裁判となると時間もかかりそうですし、お金が戻ってくるかどうか分からないのは辛いですね。せめて一部でもお金を取り戻せる方法はないでしょうか?

一つは「刑事告訴を取り下げる用意がある」って伝えることです。すると、詐欺師は「それならお金を返します」って連絡してくるかもしれない。

なぜなら、詐欺師が一番嫌がるのは警察に逮捕されることなんです。逮捕されると、取調べによる捜査や捜索・差し押えが行われて被害者に有利な証拠が出てくるケースが多いんですよ。

交渉できるのは詐欺師が逮捕される前だけなので、やはり早めに手を打つことです。

■ 詐欺にあってしまった場合のポイント

・(法律や詐欺に詳しい)弁護士に相談する
・警察に相談する
・民事・刑事の両面からアプローチする

■ 詐欺でダマしとられたお金を取り戻すことは難しい

今年5月の一人当たりの賃金は14カ月連続のマイナスで(厚生労働省が7月に発表した毎月勤労統計調査)、物価上昇に給与所得の伸びが追いついていないことは明らかです。この先も副業や投資を給与とは別の収入の手段として考える人は後を経たないでしょう。

そのときに気をつけて欲しいのが、詐欺被害には誰もがあうかもしれないということです。

詐欺でダマしとられたお金を取り戻すことは難しい。詐欺にあわないよう、気を付けるしかありません。

●杉山雅浩・弁護士、ワンピース法律事務所代表

(すぎやま・まさひろ)/上智大学法学部法律学科卒。企業法務、起業家支援、労働問題などを手がける。「詐欺撲滅弁護士」として活動。NHK、フジテレビ、共同通信社などメディア取材・出演実績多数。

取材/文・神部 旬(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部

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