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キャリアにアップもダウンも無い。過去からの自分のプロセスを客観的に捉えよう

  • 2023.8.15
出典:シティリビングWeb

予測不可能な未来を見通すことが難しいVUCA時代のキャリア形成は、目に見える道を選択するというよりは、先の見えない霧の中を手探りで歩んでいくような険しいものとお伝えしました。俯瞰的に達観的に「転機となる出来事」を捉える必要があるのですが、読者の皆さんは、働きながら、目の前のいわゆる“何気ない日常”にも気を配らなければなりませんよね。

朝起きて、顔を洗って、元気に出社し、働いて帰宅して、御飯を食べてしっかり眠る。そんな日常の繰り返しが、「キャリア」を作っているのです。

日常生活を積み重ねていくプロセスそのものが「キャリア」

Careerとは、そもそもの語源は馬車を表すcarriageや、何かを運ぶ人やものを指すcarrierと同じ言葉です。つまり、道のりのこと全体を意味し、過去・現在・未来へとつながる日常生活を積み重ねていくプロセスそのものをCareerと呼びます。「キャリア」とカタカナで表記した場合、職業に限定されたイメージやキャリア官僚などのイメージに引き摺られますが、そうではありません。馬車の車輪の轍(わだち)が舗装されていない道端に残るように、あなたが歩んできた人生の道のり、「プロセス」がキャリアの持つ言葉の本来の意味なのです。

だから、キャリアアップもキャリアダウンも、本来は存在しないもの、ただプロセスがあるだけだと捉えるようにしてください。

矛盾を感じるかもしれませんが、これは、心理学者クランボルツが提唱した「計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」を用いても説明ができます。VUCA時代のキャリア形成は、目標を自ら定めて他者と競い合いながらアップ&ダウンを繰り返すというよりは、予期しない出来事をきっかけに自分のキャリアをしなやかに形成していくことのほうが自然です。

クランボルツは、「偶然の出来事を、主体性や努力によって生み出し、最大限に活用し、力に変えることができる。偶然の出来事を、意図的に生み出すように積極的に行動することで、キャリアを創造する機会をも生み出すことができる」と証明しました。

どういうことでしょうか?例えば、人付き合いが嫌いで、ネットオタク化していた女性が、偶然の出会いで、中小企業のIT部長として世界的に活躍するようになった事例、営業職では芽が出なかった男性が作家として食べていけるようになった事例など、一人ひとりのキャリアストーリーに焦点を当てれば、多種多様な個性が認められ、受け入れられてキャリアを形成している事例が多数見つかる面白い時代でもあります。

何かをコツコツと積み重ねていけば、自身が望むゴールへたどり着くことができる

もちろん、キャリアドリフトという言葉のように、「転機」を乗り越えられず行き詰ってしまったり、うまくいかないこともありますが、生き方働き方の価値観そのものが根底から問われているような変化の激しい時代だからこそ、俯瞰的・達観的に自分自身を客観的に捉えつつ、思わぬ出会い・想定外の出来事を良い方向に引き寄せていくための努力や、アンテナを張り巡らせる感度は必要であったりします。

キャリアの“もやもや”を抱えている読者の人がいらっしゃれば、2023年2月14日の記事「ゆたかな生(=ウェルビーイング)をあなたの職場で実感するには」にも書いた通り、下記1~5の思考を身につけることから再スタートを切って欲しいと思います。

1.好奇心を持つ

2.持続する

3.柔軟でいる

4.楽観的に考える

5.リスクを取る勇気を持つ

そうこうする中で日常のふとした瞬間に何とは無しに刻まれた轍(わだち)が、過去からのプロセスを通して浮き上がってきます。筆者のコラム連載も気がつけば7年を越えようとしていますが、何かをコツコツと積み重ねていけば、自身が望むゴールへたどり着くことができるのもVUCA時代ならではです。皆さんも、キャリアプロセスを刻みながら少しずつでも歩んでいきましょう。

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