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「春夏冬中」で営業中を意味するとはどういうこと?トンチの効いた読み方を解説!!

  • 2023.8.13

「春夏冬中」は、営業中であることを意味する言葉です。 ぱっと見、その読み方としては「しゅんかとうちゅう」や「はるなつふゆなか」が頭をよぎります。

しかし、実際には「あきないちゅう」と読むのです。 その読み方にはちょっとトンチを利かせる必要があります。

ここでは、この「春夏冬中」のような日本語の面白さが含まれた読み方をする「判じ物」という語句について解説します。

「春夏冬中」の読み方とその理由

 

まずは「春夏冬中」の読み方と、どのような理由でその読みになるのか。 その点について見ていきましょう!

「春夏冬中」の読み方

「春夏冬中」は、「しゅんかとうちゅう」とも「はるなつふゆなか」とも読むことはありません。 では、どう読むのでしょうか?

この春夏冬中、その読み方は「あきないちゅう」となります。 そして、その意味は「商い中」です。

「春夏冬中」が営業中となる理由

では、なぜ春夏冬中と書いて商い中、つまり営業中という意味になるのでしょうか。 これは、四季のうち春と夏と冬はあるのに、秋だけがないためです。 まさにトンチともいえるのですが、春夏冬中という漢字表記の中には同じく季節を意味する「秋」だけがありませんよね。

そこから「秋がない⇒秋ない⇒商い」という解釈がされました。 そして、後ろに「中」が付いているので「商い中」、つまり営業中を意味する表現として用いられるようになったのです。

トンチの効いた読み方「判じ物」

 

「春夏冬」のように、トンチを利かせたものの読ませ方をするものを「判じ物」と言います。

「判じ物」とは

判じ物とは、文字や絵画にある意味を隠しておき、それを当てさせるようにした謎解きのことを指していました。 文字のものは「字謎」と呼ばれることもある他、絵画のものは「絵解き」という呼ばれ方もしていました。

そこから転じて、トンチの効いた読み方をする物事を判じ物と呼ぶようになりました。

今でいうところの、クイズのようなものですね。 記号や目印の組み合わせなどから、その法則を推測して楽しむという性質のものを指すことが多いとされています。

日本では平安時代からこのような遊びがあったとされます。 それが江戸時代からは浮世絵などの登場によってより流行が盛んになったとされています。

ヨーロッパ版判じ物「レブス」

判じ物は何も日本だけのものではありません。 ヨーロッパ社会にも判じ物と同じようなものがあります。

この西洋版判じ物とでもいうものは「レブス」と呼ばれています。 言葉やイラストなどの組み合わせで解かせる一種のパズルです。

このレブス、その歴史は15世紀ごろまでさかのぼれるとされます。 そして1582年には、フランスでレブスを集めた本が刊行されています。

日本だけではなくヨーロッパでも、言葉遊びや絵遊びによる謎解きを好んでいたということがわかりますね!

商売に関する判じ物

 

判じ物と呼ばれる読み方をする言葉は、「春夏冬中」意外にもあります。 そこで、ここからは商売に関する判じ物について紹介します。

二升五合

「二升五合」とは、「ますます繁盛」という意味の言葉です。

二升は、升(マス)が2つなので「ますます」となります。 そして五合は、半升とも言い換えられます。 そこから転じて「繁盛」をあらわしています。

春夏冬とセットで「春夏冬二升五合」という言い回しで使われることが多いです。 この場合は「商いますます繁盛」という意味になり、商売繁盛を願った言葉となるわけです。

弓矢の看板

「弓矢の看板」とは、「湯屋」「銭湯」「温泉」などを指す表現です。

なぜ、弓矢が湯屋や銭湯を表すようになるのか。 まず弓矢は「弓射る(ゆみいる)」動作をあらわします。 そして、この読み方は「ゆにいる」という言葉に掛けられています。

この「ゆにいる」の漢字表記は「湯に入る」、つまり入浴を指す言葉です。 この連想ゲーム的なダジャレから、弓矢の看板は湯屋を指すようになりました。

十三里

「十三里」は、サツマイモを販売するお店や焼き芋屋さんなどが出していた看板です。 ここでの「里」は昔の距離の単位のように見えますが、あくまで「十三里」ということに意味があります。

サツマイモや焼き芋が、「栗より美味い」と宣伝するために用いられました。 なぜその宣伝が「十三里」になるのか。

それは「栗(九里)より(四里)美味い十三里」というダジャレです。 九里+四里で十三里というわけです。

ちなみに、さらにおいしい焼き芋ということで、後に「十三里半」と看板を掲げるお店も出てきました。 現在でも、和菓子屋さんの中にはサツマイモを使ったものに「十三里」と商品名を付けるところもあります。

まとめ

店先に「春夏冬中」と書いている看板が出されていたら、そのお店は営業中ということになります。 なぜなら、「春夏冬中」は「あきないちゅう(商い中)」と読むからです。

これは判じ物と呼ばれる文化で、トンチを利かせないと読めない言葉遊びのひとつになっています。 他にも、「二升五合」と書いて「商売繁盛」を意味する言葉などもあります。

判じ物は、江戸時代のダジャレ文化の集大成ともいえるかもしれません。

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