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職人が手だけで編み上げた工芸品。本場エクアドルで製作される沖縄〈ORRS〉のパナマハット

  • 2023.8.14
〈ORRS〉パナマハット

沖縄の北谷町(ちゃたんちょう)・砂辺地区。佐藤陽介さんがホテルを併設したオリジナルアイテムを扱う店〈オールズ〉を開いたのは2016年のこと。

「本当に好きなものだけを作って売る店を開きたくて。パナマハットに白い服という一番好きなスタイルが似合うこの場所を選びました」

本来エクアドルとコロンビアでしか採れないトキヤ草という植物の繊維を、エクアドルで加工したものだけを「パナマハット」と呼ぶことができる。〈オールズ〉だけのオリジナルを作るためエクアドルへ渡った。

「パナマハットは細く裂いた繊維を職人が手だけで編み上げる工芸品。国の産業なのでトキヤ草は輸出が禁止されているほど。エクアドルで編み手さんのいる町に行き、お会いしてお願いして。信頼関係がないとできないことなんです」

それ以降、自作のデザイン画をアスアイ県という山岳地帯とモンテクリスティという海沿いの町に送り、2拠点でパナマハットを製作する。

〈ORRS〉パナマハット
トキヤ草とグレード20の帽体(編み上がり)。帽体は、周囲の始末→水洗いで汚れを落とす→天日干し→オプティモの型に入れて成型→糊付け→ロープを付けて完成。
〈ORRS〉パナマハット
頭囲57、59、61cmの3サイズ展開。内側にはエクアドル国旗の色のテープと、サイズ調節用の紐を取り付けた。
〈ORRS〉パナマハット
クラウンの1本のラインがオプティモの特徴。リボン代わりにロープを巻くのが〈オールズ〉流。グレード20。81,400円。

沖縄の暮らしに馴染む唯一無二のデザイン

「作るのは、クラウン(被る部分)に1本筋の入った“オプティモ”1型のみ。編み方、透かしの模様、ブリムの長さや形をデザインしています。特徴はリボンの代わりに帽子の周囲に同色のロープを巻いていること。よりカジュアルに被れるし、どんな服にも合います。暑い日に被れば日陰にいるように涼しいんです」

〈ORRS〉パナマハット
唯一の女性用のモデル。長いブリムのデザインと透かし模様が愛らしい。グレード4。35,200円。
〈ORRS〉パナマハット
エクアドルの刺繍をブリムに。裏が見えないよう2枚重ねになっている。グレード4。46,200円。
〈ORRS〉パナマハット
シンプルな山形の透かし模様入り。ロープはトキヤ草をひねったもの。グレード4。29,700円。
〈ORRS〉パナマハット
日差しの下で被ると洋服に落ちたブリムの影に透かし模様が浮かび上がる。グレード8。52,800円。
〈ORRS〉パナマハット
繊細な透かし模様を得意とするモンテクリスティで編まれたモデル。グレード24。275,000円。
〈ORRS〉パナマハット
トキヤ草を糸のように細く裂いて編まれたグレード34。これが手作業とは驚き!385,000円。

パナマハットの魅力を聞くと。「人の手でないと作れないし、編み手の力量がそのまま表れる。品質は繊維の細さを表すグレードで示され、数字が大きいほど細かくて軽い。グレード34だと1個編み上げるのに半年かかる。職人さんを尊敬しているし、すごく尊いものですよね」。

エクアドルから入荷するのは年に1度だけ。「始めて7年、被ってくれる人も増えて、地元に愛されているのを感じます。スーべニアのように、沖縄の思い出とともに持ち帰ってほしい」。

最後に、大人の必需品とは?「デイリーに愛せて、変わらないもの。それを知っているのが大人かな。いつも同じ格好してるねってよく言われるけど、それがいいんです」。

沖縄〈ORRS〉店内
シャツ、パンツ、サンダルなど、沖縄が似合うオリジナルの服を扱う。
沖縄〈ORRS〉店内
白とネイビーがメイン。

Information

ORRS

佐藤陽介が2016年に沖縄にオープン。パナマハット、オリジナルの洋服や雑貨、自作の陶器を扱う。一室のみのホテルも併設。

オールズ
住所:沖縄県中頭郡北谷町字宮城1-142
TEL:098-988-5180
営:13時〜19時
休:月曜・火曜(ホテルは無休)
Instagram:@orrs_okinawa
HP:https://www.orrs.okinawa/

profile

〈ORRS〉 店主の佐藤陽介

佐藤陽介(〈ORRS〉店主)

さとう・ようすけ/大分県生まれ。〈ラルフ ローレン〉の販売員を経て、〈フィグベル〉の販売、生産管理、営業に6年携わる。その後、2016年、20代から集めていた家具と什器を用いて、沖縄に〈オールズ〉をオープン。

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