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世界からお届け!SDGs通信 メルボルン編。人間と野生動物との共存を管理し、観光へと繋げる自然公園

  • 2023.8.9
世界からお届け!SDGs通信 メルボルン編。人間と野生動物との共存を管理し、観光へと繋げる〈フィリップ島自然公園〉。

環境保全のために町を買い取る、前代未聞の政府の決断!

オーストラリア南東部を主な生息域とする世界一小さなペンギン、その名もコガタペンギンで有名なフィリップ島。メルボルンからわずか90分の人気の観光地だが、1980年代、島内のペンギンは、生息地の破壊や外来種による影響から減少していた。そこで州政府は1985年、ペンギンを守るために繁殖地に近い宅地すべてを買い取る決断をする。犬やキツネなどの外来捕食動物や外来植物を除去し、もともと自生していた植物を植え、車との衝突事故などペンギンが直面していた人為的な脅威を軽減。その結果ペンギンの個体数は増え、自然再生事業から40年後の今、ペンギンだけでなく他の種にとっても有益であったことが証明された。

1996年には州政府によって人間と野生動物との共存を管理し、エコツーリズムを推進する〈フィリップ島自然公園〉が設立。夕刻、波打ち際から巣穴に戻るペンギンの群れが見られるペンギンパレードや、豊かな生態系を楽しみながらコアラを間近に見ることができるコアラ保護区など5種のアトラクションを用意。観光収入は保護活動や研究、教育プログラム、野生動物診療所の運営に使われている。また同公園が実施するペンギン基金でも、単発や定額寄付、ペンギンやコアラの里親登録を通じて資金調達を行い、活動を支援している。

2019年には最新鋭のペンギンパレード・ビジターセンターがオープン。フィリップ島固有の野生動物保護をさらに推し進めていくことが期待される。

世界からお届け!SDGs通信 メルボルン編。人間と野生動物との共存を管理し、観光へと繋げる〈フィリップ島自然公園〉。
絶滅の危機に瀕しているコアラの保護活動も行われている。
世界からお届け!SDGs通信 メルボルン編。人間と野生動物との共存を管理し、観光へと繋げる〈フィリップ島自然公園〉。
国際的な渡り鳥「ハシボソミズナギドリ」を解き放つ様子。
よちよち行進するペンギンパレード。
よちよち行進する姿が見られるペンギンパレード。
豪州最大のオットセイの群れ
豪州最大のオットセイの群れを間近に見ることができる。

Information

フィリップ島自然公園

ペンギンパレード(30豪ドル〜)、コアラ保護区(15豪ドル)、農作業の見学やバードウォッチングが楽しめるチャーチル島(15豪ドル)、バーチャルな南極旅行が楽しめるノビーズセンター(15豪ドル)の4つのツアーが楽しめるお得なパスは大人63豪ドル。オットセイの群れが見られるクルーズは68豪ドル。各ツアーの集合時間や開館時間は季節によって変わることがあるので、詳しくは公式サイトの予約画面より要確認。

HP:https://penguins.org.au
ペンギン基金への寄付や里親登録は以下から
http://penguinfoundation.org.au

profile

MIFUMI OBATA

おばた・みふみ/コーディネーター。東京都出身、メルボルン在住。日豪企画のプロジェクトを中心に、写真・アート・音楽などカルチャー全般の撮影をコーディネート。報道取材・視察のアテンド通訳も手がける。

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